2011年12月31日土曜日

あまりに不思議な一年

いやぁ、本当に。
自分が今ここで、こうやってプリンセスしていること自体、去年の年末には全く考えもしていないことでしたから。
今年の出来事は、1月に成田でパスポート切れが発覚し、泣く泣くセミナーへの参加を諦めたところから始まります。そしてその目的地は、なんと今通っているルストのヴァインアカデミー! 因果応報、輪廻転生??
2月末にお城ワイナリーの当主ミッヒを大阪と東京でアテンド。彼を見送った翌日に、我が家のミニ引越しをしたと思ったら、その1週間かそこら後に地震&原発事故。こちらのワイナリーや友人達から雨あられの避難オファーを受け、気がついたらお城ワイナリーでプリンセスとなっていた、という本当に訳のわからない一年でした : )。
急な決断故、色々な方にご迷惑をお掛けしました。熟考と準備を経た上での渡墺ではなかったため、あちらで不都合、こちらで失敗…、を重ねる日々でした。ここで何を見て、何ができるのか、走りながら考えるしかありませんでした。
こちらに来た当初の目論見が見事に外れたり、一方で全く予期しなかったチャンスに巡り合ったり、大人になって久しく忘れていた中学生の頃の情熱をオーストリア文化の中に再び発見したり…。
何はともあれ、これまでに接点のあった全ての友人、家族&親族、仕事関係者、道端や食物屋さんで出会った人々…、ペット達、ワイン畑、ブドウ、ワイン、日本酒、本、音楽、おいしいお料理、花々、木々、森、川、太陽と月と星々…に感謝の気持ちを捧げたいと思います。
ありがとうございました!
来年もどうぞよろしくお願いします。

2011年12月30日金曜日

ミサ初体験

ちょっと時間が前後しますが、25日、クリスマスの夜中0時から行なわれたLaimgrubenkirchのミサに参加してきました。
因みにプリンセスはカトリックでもクリスチャンでも何でもありません。単にクリスマスミサの音楽と雰囲気に触れてみたかっただけなので、オルガンか合唱のコンサートのついたミサをチェックして出かけました。
http://www.pfarrelaimgrube.at/stjosef/index.php?mid=Kultur&cid=Musik

11:45pm入場と案内にはあったのですが、40分頃着いてもひとっこひとり居ません。45分にようやく叔母さんが一人。「ここでクリスマスミサとコンサートがあるんですよね?」と尋ねると「私もそう読んだんだけれど…」と不安そう。50分過ぎてようやく教会の係員らしきヒトが現れ、礼拝堂に入る鉄格子のドアを開けてくれました。その後三々五々ヒトが入って来ますが、0時開始の時点ではせいぜい10-15人。
正面の灯りが華々しく点燈され、いよいよ神父さんが何やらエロエムエッサイムみたいなコトをムニョムニョ唱え始めた頃、ようやく20-30人のヒトが集まったでしょうか。せいぜい1/3の入り。クリスマスミサに住民が大挙するような時代ではないのですね。

目当てのオルガンと合唱隊はオルガニスト、マーティン・ノヴァークのディレクション&演奏による立派なもので、生の管楽器まで入った豪華な編成。礼拝堂の垂直に伸びる空間に響きわたります。オルガンも合唱隊も見えないので、文字通り天から音が降ってくるような按配。トリップできます : )
絢爛豪華なカトリックミサの光景を写真でお見せしたいところですが、さすがにプリンセスもそこまでやる勇気はなく、まだ誰も訪れる前に鉄格子の隙間から撮った、灯りが豪勢に点される前の暗い礼拝堂の様子だけ、添えておきます。
写真はかなり明るく加工しました。実際にはこの時点ではもっと暗く静謐な雰囲気でした。
さて、何度か神父さんが入れ替わり、区切り区切りでアーメンだのソーメンだのと一緒に唱え、最初プリンセスは脚が短いヒト用の足置きだと思って罰当たりにも足を載せていた台にぬかずき、十字を切り、最後にオーストリア起源のクリスマスソングとして有名な“聖しこの夜”を合唱し(礼拝堂は暗いので歌詞まで読めず、プリンセスは当然クチパク)、神父さんや周囲の信者達とFrohe Weihnachtenの握手を交わし、ミサは終わりました。
途中聖杯の儀というのでしょうか、パンとブドウ酒を神父さんが参列者ひとりひとりに与える儀式もありましたが、さすがに信者でもなんでもないプリンセスは、そこまでやると祟られるような気がして、遠慮しておきました(いかにも旅行者然とした他の数人も、私同様席を離れずその様子を観ていました)。
最後に神父さんご一行が退場する際、恐らくイエスに見立てたいかにもアンティークな赤ちゃん人形を一番偉そうな神父さんが抱き掲げて去って行くのですが、これは観ようによってはかなりキッチュな光景でした。

そしてこの後、プリンセスの身には賜わりケバブ、発熱の後に数ヶ月続いた胃痛の嘘のような解消、パスポート入りウェストポーチ紛失&発見…と、怒涛のように色々なことが起きたのでありました。恩寵か祟りか…。

ああ、来年こそは平穏な年でありますように…。

2011年12月28日水曜日

時差ボケが治らない…


時差ボケって、普通地球の自転方向、つまり時間を先取りする方向への移動の方が辛い、と言われていますよね。
でも、プリンセスは新説を発見!
絶対、光の量が足りないと長引くと思うのです。

だから日本から冬のヨーロッパに移動する今回のような場合、本来楽な方向への移動なはずですが、実際にはいつまで経っても日本時間を引きずります
なんたってお日様こそ時間を身体に刻み込む一番のサインですからね。いつもノンベンダラリと暗い(高緯度で日照時間が少ない上に、気候的に冬はほとんど曇り、雨か雪)と、いつまで経っても身体がこっちの時間を覚えてくれないのですよ。

逆に日本からアメリカ西海岸などに移動した場合、時間を追い越す方向だし、時差は大きいし、しかも太陽が燦燦と注いでいるので、一挙に身体が時差を解消しようとするので、一瞬キツイですが、3日もすればすっかり現地時間に身体が慣れている、ということになるのです。きっと。

今回、プリンセスの場合は、身体が慣れかける3-5日目にクリスマスミサ&コンサートが夜中から朝方にかけてあったという特殊事情もあり、そのせいでクリスマスの日に身体が一挙に日本時間に逆戻りしてしまったよう

それとも時差ボケを引きずるのは老化の兆候?

…いずれにしても、プリンセス、苦労しております。

お城に帰って既に3日目。今晩こそ朝までちゃんと眠りたい、と願うプリンセスです。

2011年12月27日火曜日

出て来ました!!!

もう他に何も言うことはありません。合掌。

なんとか、みつかりますように

昨日ブログを書いた時点では、ほぼ置いてきた電車も特定できるし、それからまだ1時間も経っていなかったし、必ず見つかる、と信じていました。
昨日は休日で、今日になればその電車の終点に直接電話もできる、とも信じていました。
しかし、役割分担と効率的労働がモットーのこちらでは、田舎の主要駅に直接電話をすることもできません(売店、発券などそれぞれの担当部署の番号はわかるのですが)。lost & found 関係は全て別会社の運営で、そちらに朝イチで改めて連絡すると、今日の2時過ぎに昨日見つけられた落し物のリストができるので、それから連絡してくれ、とのこと。
パスポートも入っています。クレジットカードと銀行のキャッシングカードも。
このまま出て来ないと、本当に大変なことになります。
どうか、どうか、見つかりますように…。

2011年12月26日月曜日

お城正門にて…奈落の底へ

プリンセスまたやってしまいました。
2台のPCが入ったバックパックを背負いつつ、2つのスーツケースを引きながら、ゴロゴロとお城正門へ向かう坂道をよいしょ、よいしょ、と登り切ったところで、正門が閉まっているので、開けてもらおうと家族に電話をしようと思って…
ガーン!!!
ウエストポーチがない!?
クレムスに向かう列車の中で外したところまでは覚えている。
さて、その電車に置いて来たのか、そこから乗り換えた最後の電車か…。
IDカード、2枚のヴィザ、1枚のマスターカード、その他重要なもの全ての入った財布、お気に入りのカメラ、携帯、名刺入れ…。そもそも無くしたそのウエストポーチ自体、今回日本に帰国中に買ったばかり
思えばハーダースドーフに近づくにつれ「ああ、帰ってきたな」と気を許してしまった…。

やっぱり信者でもないのに音楽と雰囲気を楽しむためにミサになんか参加したので、神様のお怒りを買ったのか(しかもお恵みケバブに浮き立った気分になったりして)…。
カードを止めるべきなのですが、止めてしまうと、また日本に帰るまで再発行の手続きすらできないし、カードがないと身動きできないし…。
今日はこちらは休日でLost & Foundや警察の落し物係りは電話が通じないので、どうすることもできません。一応OEBB(鉄道会社)と警察に落し物&紛失届けは出しましたが…。

土台、プリンセスに2つのスーツケース(ひとつは飛行機チェックイン、ひとつは機内持ち込み)とバックパック、ウエストポーチという4つの荷物というのは、無くすな、というのが無理な相談でした。
だからこそ、腰に括り付けておけば大丈夫、と踏んだのですが、それが今回は裏目に出ました…。
出てくるように皆さんも祈っていて下さい…。

2011年12月25日日曜日

イエス様からの賜り物はケバブ?

昨晩は夜中の0時から教会で行なわれるクリスマス・ミサとコンサートに参加しました。絢爛豪華なカトリック教会のしつらえと音楽に浸るのが目的。素晴らしいオルガンがあると調べをつけた、St. ヨーゼフ オプ デア ライムグルーベ教会まで、例によってシティーバイク・ウィーンを使ってGo!
灯りはあります。でも、実はこのイルミネーションも9時で消えてしまいます…
驚いたのは、ウィーンイチのショッピング・ストリートであるマリア・ヒルファー通りの、人通りの少なさ。しかも時間は9時前後。「ウィーン子って0時のミサまで自宅で仮眠でも取ってるのか?」と訝るほど。


教会前のクリスマスマーケットもこの有様。ミサまで開けておかない、って日本人的には信じられない…

9時過ぎて道路のイルミネーションすら消えてしまった後の寒々とした街の様子は、写真にすらなりません…。
プリンセスは本当はミサ前に腹ごしらえがしたかったのですが、タカビーで騒々しそうなカフェバー1軒とトルコ系ファーストフード屋1軒しか開いていないので、キルヒガッセやノイバウ通りまで行ってみました。カフェで何かクリスマスっぽいスイーツが食べたかったのです。
…ところが、どちらも同様にシーン…。でもこのときプリンセスは「ミサが終わったら、まさか周囲のレストランも開くだろう」と高をくくっていました。

さて、ミサの様子はまた別の機会にお知らせすることにし、荘厳なミサを終え外に出ると、結局さっきから開いていた店以外、開く気配はまったくありません! 
…ったく、いくらクリスマスは家族行事だと言っても、ウィーンに独身者はいないのか? 夜遊びする若者はいないのか? 
もうプリンセスの空腹はミサの途中から限界で、お腹が鳴らないか気になって気になって仕方がなかったほど。やむなく一度パスしたターキッシュの、ファーストフード・スタンドのような店に入りました。

…ここはオーダーの取り方がすごい! 入るなり「はい、君もケバブ? あなたもケバブ?」って感じで、まあ、空腹塞ぎなので、メニューを解読し迷ってる手間が省けてよろしい

すると隣に並んでいた男性が「どこから来たの?」と声をかけてきた。「東京から」と私。「住んでるの? 旅行?」と聞くので、「住み始めたの」と返答。
彼「オーストリアにようこそ! で、どうして来たの? 海外に住むってことはラヴが原因に違いないね」(その前に地震後の日本を心配してくれましたっけ) 
普通プリンセスはこういうアプローチは冷たく無視しますが、何か人懐っこい物腰で悪い感じがしなかったし、ミサの後で心が清く寛容なっていたのか、そのまま話を続けました。

私「そうだといいけど。仕事なの」
彼「ああ、それは残念なことだ。で、何の仕事?」
この辺で確か我々のケバブの番に。中の具はどうするか、スパイスは入れるかなど、細かく聞いて来ます。それぞれ好みを伝えて、会話再開。
私「ワインジャーナリストなの。オーストリアワインが大好きで」
彼「え? そりゃあ驚きだ」(と言って名刺を取り出す。)「僕店をやってるんだ。ソムリエなの。ソムリエって言っても色々あって…」
込み入ったことになると途端に聞き取れなくなるプリンセス。ここから会話は英語に。
彼「信じられないな。日本からわざわざオーストリアのワインのために移住しちゃうなんて。君もよく知ってると思うけど、ヴァッハウとかカンプタールのワインは安くないけど、品質は素晴らしい」
ここでプリンセスがオーストリアワインが和食にぴったりだと話すと、
彼「僕は和食と他のアジア料理の違いがはっきりはわからないけど、僕にとって日本食は特別なものなんだ。」
この辺りでケバブが出来上がる。どういう訳か、彼は連れ(兄弟だと紹介された)と私の分まで一緒に支払ってしまう
私「そのカンプタールのシュロス・ゴベルスブルク、って知ってるでしょ? 私そこに今住んでるの」
彼「もちろん知ってるよ、そいつはスゴイ。でも何故?」
私「そのワイナリーを日本に紹介した縁で。ところで、ケバブ代いくらだったの?
彼「本当に信じられない! 僕にメール頂戴。色々なワインや面白い店を紹介したりできるし、何か知りたいことや困ったことがあったら力になれるから。ケバブ? たかがケバブだ。メリー・クリスマス!」…と、颯爽と店を後にしてしまいました。

そのケバブ、プリンセスはもちろん、涙が出るほど美味しくいただきました!
よく考えてみれば、ホテルのノー・ショー代で250ユーロほどすっているので、ケバブ1個恵んでもらったところで、砂漠に一滴の水状態には違いありませんが、なんだかミサのご利益がすぐ現れたようで : )、 いや、何かとても暖かい同志の心に神様の配慮で触れさせていただいたような気がして、心がホクホクになって、寒いクリスマス真夜中のウィーンを一人“タダチャリ”に乗り、帰途についたプリンセスでありました。

プリンセスが“地球にひとりではない”と強く感じる一瞬です。

2011年12月24日土曜日

メリー クリスマス!!

皆さん、どんなクリスマスイヴをお過ごしでしょうか?
プリンセスにとっては初めての、そして一人で過ごすウィーンでのクリスマス。
実は22日の晩、昨日のブログに書いたシティバイクを利用してクリスマスマーケット=ヴァイーナハツマークトWeihnachtsmarkt に行く積りでした。
ところが午後10時過ぎにはもう灯りも消えてお仕舞い(後から調べたところ、大体9時で終わるよう)。うーん、この辺が東京とウィーンの圧倒的に違うところです。

昨日は午後にウィーンの裏原宿みたいなノイバウNeubauやミュージアムクオーターMuseumsquartierに近いアム・シュピッテルベアクAm Spittelbergのヴァイーナハツマークトまで行って来ました。














朝から雨がしとしと降っていた上、午後は雨足が強まってしまい、ダウンが塗れ、いくらグリューヴァインやプンシュをお代わりしても、顔が火照り足元は怪しくなってくるのに、身体はドンドン冷えるばかり。暗くなるまで待てずに退散しました。…無念。


今日イヴも朝は霧雨模様でした。でも今は雨も上がっているよう。今晩は夜のクリスマス・マーケットから始まり、夜中の教会ミサ&コンサートの三連荘を予定。このまま雨に祟られずに楽しみたいものです!

2011年12月23日金曜日

一人旅にお勧め“シティバイク・ウィーン”

ウィーンを観て歩くのに皆さんどんな交通機関を利用されますか?
最初にウィーンを訪れ、ケルントナーシュトラーセ辺りを歩くだけから始まって、リングシュトラーセの市電や1区に乗り入れているU-Bahnなどに乗り始め、必要に応じて、さらに周辺に伸びるトラム、こちらのJRにあたるÖBB、バスなどなど、段々利用範囲を広げることになるのが普通でしょうが、中でひとつ”お一人様”の旅行者にお勧めのとってもユニークな交通機関があります。
プリンセスも今回初めてウィーンに5日ほど滞在する機会に利用してみました。
そうなんです。意外かも知れませんが、これまでプリンセスはウィーンに来ても取材、イベントや会議絡みで泊まるだけで、一人でゆっくり2泊以上して観て歩く、ということができなかったのです。
その名もCitybike Wien  http://www.citybikewien.at/
簡単に説明するならパブリック貸し自転車網。登録さえすれば、ウィーン市内に張り巡らされたステーションから、カードひとつで自由に自転車を借りて、好きなステーションで乗り捨てられる、という仕組みです。利用形態は色々あるようですが、旅行者用は一日2ユーロで乗り放題。
前述サイトや次のようなサイトhttp://citybike.noebl.com/#homeを利用して、どのステーションにどれだけ自転車が置いてあって、何台分の空きがあるかをリアルタイムで知ることが出来ます。
因みにプリンセスはクレジットカードを登録し、1時間以内は無料。それ以上は時間に応じて課金されるシステムを利用しています。
なんと言っても自転車のいいところは、自分の行きたいところへ、好みの経路で、景色を見ながら、お店を冷やかしながら、バイズルやカフェに寄り道しながら、自分のペースで走り回れること。しかも乗り捨て自由なので、後先を考えず、好きな区間だけの利用が可能。

石原都知事、橋下大阪府知事にも是非導入をお願いしたい、とっても便利なシステムです。

2011年12月22日木曜日

no show

飛行機にも乗り遅れなかったし、何も落としたりもしていないようだし、今回の旅は上出来、上出来、とひとりほくそ笑んでいたプリンセス
特にウィーンのぼったくり中心部からちょっと外れた場所にある、閑静なバジェットホテルには大満足。気分も麗しく、朝のメールチェックをしていて
ギクリ!
冒頭タイトルのメールの内容をそのまま個人情報のみ伏せてコピペします…。
BOOKING.COM online hotel reservations
Cancellation
Dear xxxxxx xxxxxxxx,
The hotel has notified us that you did not arrive at the hotel on the check-in date of your booking.
booking.com booking number477975527
Pincode9771
Your namexxxxx xxxxxxxxxx
Your emailxxxxxxx@nifty.com
Booking first made onFriday, 21 October 11, at 11:12:32 [CET]
Last ModificationThursday, 22 December 11, at 06:51:53 [CET]
Your booking
Hotel information
HotelHotel Kunsthof
AddressMühlfeldgasse 13, 02. Leopoldstadt
Vienna, 1020
Austria
Phone            +4312143178      
Cancellation policies
Total cancellation cost€ 225
Your reservation details
Check-inWednesday, 21 December 11
Check-outMonday, 26 December 11
え? そうです。二股かけてたんです。どっちのホテルにしようかな、って。クリスマス前だし、とにかく押さえるだけ押さえて、キャンセルはいつでもできるから、って。
で、忙しさにかまけて泊まる予定のない方をキャンセルするのをトント失念したという次第。

オーストリア生活再開は、早くもとほほ…から始まりました。
一日50ユーロで節約した積りが、しっかり実質一日100ユーロの御大臣暮らしに…。
100ユーロかかってると思うと、大満足だったバジェットホテルまで、なんだか色褪せて見えます(涙)。懐の寒さが身にしみるぜぃ…。

ま、プリンセスの人生、いつもこんなもの。クヨクヨせずに、クリスマス・イルミネーションでも観てきまーす!!

2011年12月21日水曜日

ぎりぎりセーフ!!

ウィーンに着きました!
雨模様ですが思ったほど寒くも無く、今のところ何も落とさずに戻って来れたような。

あ、でもやりましたよ。恒例のドジ丸
飛行機は12:15発のOS52だったのですが、アタマの中で”じゅうにじじゅうごふん”がいつのまにか”じゅうにじごじゅっぷん”にすり替わっており、しかも前日にオンライン・チェックインを済ませていたので、「余裕のよっちゃん」と、出発の1時間前に空港に入った積りが…。
まあ、このテの勘違いはもう馴れっこでビクともしません : )
…あー間に合ってよかった…Phew!

ところでプリンセス、今回は空港から直接お城に戻らずにウィーンにホテルを取りました。
というのは、4時過ぎに空港に着くと空港を出るのが5時頃。そこから電車を何本も乗りついて、その度に重い重い荷物を持ち上げて階段の上下があり、しかも接続が悪いのでド田舎ゴベルスブルク駅まで辿り着く電車はもうないし、最寄の駅からタクシーを呼んでお城に着くのは10時半過ぎになってしまい、ほとほと疲れ切るからです。信じられます? 車だったら1時間半くらいの距離なのに…。

で、一晩58ユーロのバジェットホテルがなかなか快適なので、さらに延泊して今まであまりゆっくりできなかったウィーンを探訪。イヴ&クリスマスもこちらで過ごしてしまうことにしました。本当は色々ヤボ用が溜まっているので、缶詰め状態にしてみたんですけど : )
でも、プリンセスのことですから、クリスマスマーケットやら何やら、息抜き目白押しになることは間違いありません。
報告します! お楽しみに!

2011年12月20日火曜日

墺太利へ戻ります!

プリンセスは以前のブログに「オーストリアワインと言えば、ホイリゲとモーツアルト、ベートーヴェン、シューベルトしか切り口のない日本のワイン業界の現状を「悲しい」と書きました。
「ホイリゲ」という言葉だけが、その本来の意味を理解されることなくひとり歩きする現状を憂えました。

けれどあの後、某ミーティングで「何事も一歩一歩、段階的に」と指摘されハッとしました。
せっかく芽生えつつある市場の「きっかけ」を、応援団長を自任するプリンセス自ら冷や水をかけてどうする?

そう、今我々オーストリアワインに関わる全てのプロが一緒に考えねばならないのは、まずワイン産地としてのオーストリアをいかに認知してもらうか
そのためにはホイリゲ(酒場)の『場』としての、そして『解禁日の時限的ヴァリュー』をどうやって最大限活用できるか。さらに、作曲家やお城、宮殿などの音楽&歴史モノのネームヴァリューやセッティングを利用することで、毎年大挙してウィーンを訪れる観光客、ザルツブルクを訪れる音楽愛好家などのワイン需要をいかに掘り起こすか。…といった基礎固めが必要です。そしてそこをクリアして初めてどうやって本格的オーストリアワイン・ファンを育てて行けるか、が議論できる、という王道の道筋が見えて来ました。

まあ、そうは言っても、王道は王道。かくあるべしは百も承知ですが、プリンセスの得意技は断然抜け駆け、奇襲、目くらまし、肩透かし、けたぐり…: )。当然のことながら様々なゲリラ戦も展開して行きますよー : ) 。ゲリラ戦を一緒に戦えそうな同志にも色々な場所でしっかり巡りあえましたし。
元々生産量が少なく知名度も低い割には品質は断然高い(ついでに価格もお安くない)オーストリアワインには、むしろゲリラ戦の方が似つかわしいし、この低価格プレッシャーの嵐の中、フツーにやっていても埒が明かない、と思っているのはプリンセスだけ?

帰国期間中、様々な立場の業界人や消費者と接することで、色々なアイデアが浮かぶとともに、自分にできること、できないこと、本当にやりたいことへの見極めも進みました。

プリンセスにミーティングやワイン会などで直接会ってくださった、或いはメールやfacebookで意見を交換させて下さった全ての業界人、消費者、そして友人の皆さん。加えて世界に誇る日本の美味しいお食事を食べさせて下さった、素晴らしいワインを日本酒を飲ませて下さった飲食店の皆さん。
ありがとうございました!

明日プリンセスはオーストリアに戻ります。ウィーンのクリスマスを凍え死ぬまで : ) 満喫する積りです!

2011年12月19日月曜日

ご近所お気に入りレストラン vol.3 たまキャアノ

たまさんは、お子さんを育て上げてから南イタリアへ単身料理修行に出た頼もしい女性。帰国後ご自宅の1階を、舞台美術が本職のご主人の手を借り改造し、カウンターのみ10席程度の文字通りアットホームなイタリアンを開きました。丁度その頃ご近所のマンション(徒歩5分くらい)に越して来たプリンセスは、だからそうショッチュウお邪魔する訳でもないのに、古株なのでちゃっかり常連顔: )
たまキャアノの魅力は、
●ちょっと平野レミ似のたまさんのサバサバした人柄。特に自腹で食べに来る働く女性には優しい
手間暇を惜しまない、ハーティーなイタリア家庭料理。一人で作るのにメニューも豊富。
●家賃のかからない分、味わいや素材、手間から考えると、とーっても廉価!
ワインの値づけも超リーズナブル。セレクションは限られますが必要十分で、ここばかりはプリンセスも持ち込もう、という気にならないほど。因みにこの日飲んだヴィーノ・ノビレも4000円台中盤でした。それが店で一番高価なワイン!
狭い店内に常連さんがひしめいていますから、最初はちょっと居づらい雰囲気に遭遇するかも知れませんが、一旦常連の輪に入ってしまえば、愛情と手間のかかったマンマの味をこんなにリーズナブルに満喫できる店はそうないでしょう。
だから予約は必須。http://r.tabelog.com/tokyo/A1313/A131303/13018034/
最初に前菜盛り合わせと飲み物を頼み、ゆっくりと黒板のメニューを吟味するのがプリンセスのいつものやり方。この日は下のうずらが美味しかったなぁ。ちゃんと中に詰め物がしてあって、パンチェッタでお腹をくるんでくれています。連れは見かけがグロだと言いましたが、なんのなんんの、惚れ惚れするようなプロポーションではありませんか : )。


4,、5年前にリタイアしたご主人も、敷地内に“おとふけ”というオーディオ・カフェというのか、オーディオ・バーというのか、そんなスペースを開店。こちらは広々としたスペースで、コーヒーやお酒を飲みながら、壁一面のLPコレクションをマニア垂涎のオーディオ(自作真空管アンプとスピーカーの、ハンパでないスゴイ奴)で楽しめます
http://r.tabelog.com/tokyo/A1313/A131303/13054132/

2011年12月18日日曜日

チェンバロコンサート@舟江斎

昨日1年ぶりで我がチェンバロの師匠、高橋尚子先生のご自宅での"舟江斎”サロンコンサートが行なわれました。http://cembalo.jp/
尚子先生のお得意はバッハとフレスコバルディ。でも今回前半でフィーチャーされたのはドメニコ・スカルラッティのソナタ。
美しい高橋辰郎さん製作の楽器。

スペイン舞曲の影響を受けた躍動感あるリズム、対照的に前進しないもどかしい旋律展開、ミーントーンを土台としたフレスコバルディを思わせるデコボコ感の大きい懐古的旋律があるかと思うと、バッハと同い年でありながら、その後の古典主義的和声展開や、さらに一足飛びに近代現代音楽を思わせる不協和音満載の曲もあるなど、とても多彩で興味深い反面、何が本当にやりたかったのか判然としない、なんだかその尻尾のつかみ難い不思議な作曲家です。
プリンセス的には、バッハの音楽が、オルガンだろうが、ピアノで弾こうが、ジャズアレンジを施そうが、「ああ、バッハってこういう音楽ね」とすんなり受け容れられるのとは対照的に、スカルラッティの音楽は、どの演奏家の、どんな時代や様式の楽器を使った演奏にも「本当にそんな曲なのかしら?」と疑いを抱かせるような妙な印象があります。
尚子先生もだから(かどうかはわかりませんが)、今までなかなか挑戦できなかった、とのこと。

先生自身の解説によると、スカルラッティと彼が音楽教師として生涯仕えた王女マリア・バルバラの間には身分上「決して口にはできない」恋愛感情が存在したそうです。あのもどかしい旋律展開は、そんな精神風景の反映だった節もあるのですね。
プリンセスはスコット・ロス演奏の颯爽&決然としたリズム感が結構お気に入りなのですが、尚子先生の演奏は、どちらかと言えば“逡巡”の方にスポットが当たってるように聴こえ、スカルラッティの新たな音楽世界を垣間見せていただきました。

ところで舟江斎の魅力は尚子先生の演奏だけではありません。ご主人のチェンバロ製作家、辰郎さんの前半&後半の演奏前の解説も、プリンセスにとっては毎回大きなお楽しみ。
辰郎さんはいつも「こんなことは、世界広しと言えどもここでしか言っていません」「私は異端ですから」と前置きし、チェンバロの重要な音楽的表現能力として、弾き方により微妙に音程をコントロールできる点を強調します。そして、昨日は純正律と古典調律(昨日のはミーントーン? いや、バッハも弾いたのだからヴェルクマイスター?)の両方でドレミを弾き、低く感じる後者のレ音をタッチで自然な高さに持っていけることを実演してくれました。
で、本来チェンバロ音楽はそのようなピッチ・コントロールを要求する場所が沢山あり、演奏家はピッチの高低、或いは歌いまわしを常に意識しながら演奏をしなければいけないそうです。
プリンセスは尚子先生にクラヴィコードとチェンバロをあわせて4年ほど教えていただいたので、それがどんなに難しいことか身にしみて知っています。そういうことをアタマの中で意識しながら旋律を歌うこと自体、なかなかできることではありません。
ですが、チェンバロの泣き所は、温度変化にさらされるとビュンビュン音が狂ってしまうこと。微妙な音程コントロールや協和・不協和に心情を託すことが命の楽器であるだけに、音程の狂いはとても痛い! 昨日もストーブの熱さで前半の終わり頃は狂いが目立ち、尚子先生もさぞ辛かっただろうなぁ、とお察しします。

コンサートの〆はバッハのイギリス組曲6番。大曲です。
プリンセスは先生のバッハを聴くと、何故か心が落ち着きます。それは先生がいつも仰るバッハの父性愛によるものなのか? 尚子先生の演奏の圧倒的な迷いのなさから来るものなのか? コンサートに向けてスカルラッティにも多くの時間を割かれたとは思いますが、バッハの音楽には所謂ユニヴァーサルな”バッハ節”が随所に散りばめられていることもあり、これまでに先生が弾いて来られた膨大な数&時間の蓄積が生きるのでしょう。辰郎さんの楽器も、やはりバッハを弾いてもらうと得意気に鳴り響いています。
打ち上げ後半、お酒の足りない?辰郎さんはまともに写ってくれません :  )
コンサートの後、スタッフ打ち上げの仲間に入れていただき、独暮らしの長い先生にはヨーロッパ暮らしの愚痴をこぼし、辰郎さんにはドメニコの父アレッサンドロとの関係なども聞かせていただきました。

来年も楽しいコンサートを期待しています!(プリンセス帰国中に、是非!)

2011年12月16日金曜日

オタク道まっしぐら@大阪            お好み焼きパセミア&ランジュ・ヴァン

昨日はプリンセス、大阪近辺でビジネスミーティングを2つこなし、夜は若い同業者のツバメK君と業界人の間で話題のお好み焼き"パセミア"でデート: )。
K君は22歳の医学生でありながら、既にワイン誌への寄稿もしているというスーパーボーイです。
さあ、オタクナイトの始まり始まり!


私のために自宅からワインを持って来てくれるに当たり、どんなものが飲みたいか尋ねられたのは当然ながら「ブラインドにしますか?」という問いにまずビックリ
プリンセスはお食事で飲むときにそういうことはまずしません。
そして最初のワイン、Rietsch Riesling Grand Cru Wiebelsbuerg 08に口をつけるといきなり「揮発酸出てますね」
うん、まあ。酸化もしている。でも空気に晒したリンゴの芯のような感じで、汚い感じはなく、私的にはセーフの範疇、と伝える。
すると、「岩城さん的には何点ですか?」
なのでいきなり説教。「あのね、安物に点数つけるのはいいかも知れないけど、グラン・クリュに点数つけるなんて、昨日のアルゲリッチは80点、って採点するのと同じ。そんな失礼なことはしないでしょ。アートに点数はつけられないでしょ。」
そう、プリンセスは誌上試飲やワインコンクールのジャッジなどで止むを得ぬ場合を除いて、ワインに点数を付ける行為は、特に個性を味わうべきプレミアムクラスについてはナンセンスだと思っています。

最初のオリーヴ
次にOstertag Riesling Menschberg 06。こちらも色合いはかなり濃くなって、酸化のニュアンスはあるものの、ガリっとしたミネラル感があり、しっかり土地の個性を現している、という意味で、最初のワインより一段も2段も格上。
様々な葉っぱと風味の異なる生ハムが2種、そこに柿のフレークやマーマレード、野菜のパテなどが配されたサラダ
カブのスープ。カブの甘さに黒胡椒がピリリ

ところでパセミアのお料理。突き出しの小豆島のオリーヴ、そして最初のサラダから素晴らしい! さながらお皿は野菜のパレット。微妙な風味のハーモニーを楽しんで欲しい、という作り手の繊細な味覚とさりげない配慮が感じられます。
とにかく野菜が美味。特に蓮根や人参など根菜類が秀逸。
2つ目の皿は初めて聞くような名前も含む多種の温野菜と鴨肉。鴨を見たら反射的にピノが欲しくなってしまいました。
すると、さすがはK君。そういうことも想定し、FourrierのGevrey Chambertin 09も持参してくれていました。ナイスな読みです。ただこのワイン、まだまだ幼児虐待的。もっと置いてから開けてあげるべきでした。ちょっと生真面目で生生しい感じではありましたが、体躯のしっかりした無口な健康優良児、といった感じで、時間とともに深みを増しました。

ちょっとちょっと、私達2人で3本め! しかもツバメ君は甲斐甲斐しくグラスにワインをどんどん注ぎ足してくれます。

メインのお好み焼きが来る頃にはプリンセスはすっかり出来上がり、K君と「テルペン、MLF、酸化、還元、ブレタノマイシス…」と呪文ばかりの超オタク話に花が咲きます。「あなたオタクとしては大したものだけれど、人間としてはサイテー」などなど、もうプリンセスは言いたい放題。オーナーで焼き手の中川姉弟には「今の録音しておきたかった」と、何度も言われましたから、もうこの辺りでアラフィフ&正真正銘息子の年代の医学生の”デコボコ ワインオタク漫談”みたいになっていたんだと思います。





お好み焼きを焼く間にfacebookでメッセージを入れておいた大阪在住のワインエデュケーターのK田氏より合流するとtel。彼の持ち込んだ泡とLouis LatourのCorton Granceyも、お好み焼きを食べながらどんどん注がれます。
ここでまたヴィンテージをブラインド。私2001、K君2002の予想で、彼の勝ち。確かにあのポテっとした焦点のない感じは01ではなかったかも。でも私、もう既に呂律が回っていないのが自分でもわかるくらいキテいます。

お好み焼きはオーバーでなく、アートの領域。焼き上がりにポン酢を振り掛けると、香ばしい匂いが鼻腔をくすぐります。ちょっとこのシズルをお楽しみ下さい!
K田氏曰く、「お好み焼きは粉料理ではない。キャベツを最も美味しく食べる技である」。全く同意。

さて、パセミアで死ぬほど満足しているのに、さすがにK君は若い。キタ新地のワインバーへハシゴを誘われます。
そしてここでもK君の選んだワインをK田氏と私でブラインド。
K田氏の予想はヌフ・デュ・パプ。もう完璧に出来上がってしまっている私のアタマにはぼんやり最初に「熟成したブルネッロ」。続いて「ボルドー系の還元熟成」という言葉が浮かび、答えは後者にしておきました。シラフならブルネッロ+ボルドー=スーパータスカン、と正解が言えたかなぁ?
 Tignanello 83? 写真では判読不明だし、もう皆パーフェクトな酔っ払いだったし。K田氏は怪しい金属棒を鞄から取り出し、グラスに漬けてかき回しているし…。でも実際、銅の棒でワインの汚い還元香はかなり飛ぶことが判明。それがわかると酔っ払い3人で交代交代グラスを混ぜ混ぜ…。いやあ、近寄りがたい怪しいオタクオーラ全開の光景だったでしょうねぇ : )

本来人間もワインも、欠点を探すよりいかに美点を評価できるか、が幸せへの鍵だと考えるプリンセス。
しかし昨晩は”ワインのアラ探しゲーム”にどっぷり嵌ってしまいました。しかもそれが“子供の頃秘密基地で秘密実験”をした時のような痛快な楽しさで…。
オタク取りがオタクになりきった昨晩でした
ブラボー、ダブル オタッKs!

2011年12月14日水曜日

ブルネッロ、ブルネッロ、ブルネッロ!

昨晩はフルーティストの山形由美さん主催のワイン勉強会“メルルの会”の帰国特別お食事会。
ヴィーノ・デッラ・パーチェで行ないました。
パーチェでのワイン会は、毎回テーマを変えながらの3度目で、昨晩のお題はトスカーナ。
勉強会の講師役の私が内藤師匠とワイン&お料理について事前に詰めるのですが、私がどうこう言うより、内藤師匠にゼーンブお任せした方が素晴らしいに決まっているので、いつも極々簡単なリクエストを伝えるのみ。
今回もお願いしたのは、1) 最後に飲み頃のブルネッロが飲みたい。 2) どちらかと言えばトラディショナルな造りが好き。 3) 季節柄ジビエを何か入れて下さい。ただし、あまりクセの強くないもので。…と、それだけ。

最初の泡と私が特別にお願いして持ち込んだ〆の貴腐ワインを除いて、オール・トスカーナ。それはまあ、会の趣旨からして当たり前なのですが、"ひとつくらいは飲み頃の美味しいブルネッロが飲みたい”という私のリクエストに、なんと200%、いや500%応えて下さった、オールブルネロ絡み、と言っていい構成。
Tosco 06 Villa Poggio Salvi 濃い黒系果実主体のキャンティ、という風情。既に熟成感もあって、のっけから美味しい!
Rosso di Montelcino 07 La Gerla これは抽出の柔らかい独特のスタイル。とてもチャーミング。
Rosso di Montalcino 98 Salvioni  おお、濃厚!前者との差は造り手のスタイルの違い? それとも90年代と昨今のトレンドの差か。両極端なRosso。
Brunello di Montalcino 96 Salvioni これも濃いのですが、テクスチャーがより緻密で、糖蜜を思わせるブルネッロ特有の退廃的魅力ムンムン。
Brunello di Montelcino 95 Capanna 折り目正しく控えめ。最初やや地味でしたが、ジワジワと旨みが開いてきます。キレイなイチゴ風味が残っていて、レアに焼いた鹿と絶妙な相性。
Heidi Schroeck Ruster Ausbruch 04 透明なミネラルと極甘の背筋を通す高い酸。最良のルスター アウスブルッフの典型的味わい。

これだけブルネロの兄弟姉妹を飲むと、おのずとサンジョヴェーゼとネビオッロの(これがブラインドで片方だけ出されると意外に判別がムツカシイ)、そしてキャンティとブルネッロの違いが見えてきます。ブルネッロというのは、卓越した生産者の手にかかれば新樽&結構強めの抽出、という化粧映えがするタイプのワインだ、ということも。
ハイディのアウスブルッフは、内藤師匠のコメントがワインに負けず劣らず美しく、プリンセスは心の中で感涙にむせんでいました。

イタリアとオーストリアが並ぶと、改めてイタリアの豊満で濃密な色香と、オーストリアの研ぎ澄ました透明感の対比が浮き彫りになりました。

いやはや豪勢なお食事会。このあとグラッパまでいただき、すっかり昇天したプリンセスでありました。

2011年12月12日月曜日

ご近所お気に入り飲み喰い処  vol.2 徳竹    “和食にオーストリアワイン”の頂点を満喫

昨晩は新川の”徳竹”http://www.toku-take.com/で友人達と総勢7人で遅い夕食。
ご主人徳竹さんの奥様とは、ワインスクールの生徒だった頃からの15年を越す長いお付き合いです。
一流料亭での修行が生きる素材命のオーセンティックな和食をベースに、ワイン飲みに嬉しい“ひとひねり”を加えた(i.e.,レバーペーストの磯部巻き、油揚げのピザ…)オリジナル・メニューが並びます。
多彩なメニューは毎日徳竹さんが市場で“おいしいとこどり”して素材を仕入れているので、量は限られていますから、食べたいものは最初のオーダーでキープするのが秘訣
プリンセスは通常、刺身の盛り合わせ、雑魚とミョウガのサラダ+季節の野菜料理、魚、肉料理から適当に焼く、煮る、揚げるなど調理法を組み合わせて選びます。
お酒もワインもお手頃価格でほど良く揃い、気軽な割烹料理屋としても、質の高い居酒屋としても大変使い勝手良好。また、〆のうどんやお握りなど米粒ものも充実しているので、肴を1、2品頼んで“クオリティ定食屋”として使うテもあり。季節のお勧めが頻繁に変わるので、通い詰めても飽きないでしょう。

さて、昨日の飲み食いの様子をご紹介します。
いつものようにハートランドで喉を潤した後、豪の泡、シシリーの赤、長者盛(冷とぬる燗)、そして私の持ち込んだルーディ・ピヒラーRudi Pichlerの2010年2種を各自それぞれ食べ物に合わせて勝手に飲む、というスタイルで楽しみました。
ぎんなん唐揚

刺身盛り合わせ。RudiのGV Federspielで美味さ倍増。
白菜、カブ、柚子のサラダ。柚子とGVが究極の相性。

牡蠣のオイル漬け。
オリーブオイルと上に載せたタプナードのおかげで、日本酒よりワインにピッタリ。
牡蠣&タプナードの苦味にGVは大人のハーモニー。
狙っていたとは言え、いやぁルーディが素晴らしかった! 
Rudi Pichler Smaragd Weissburgunder 2010 
このヒトの、貴腐も木樽も完全に排した100%ピュアなスタイルは、貴腐のあまやかさと円やかさが魅力のヒルツベルガーの対極にあり、徳竹さんのような、素材の鮮度を生かしたこねくりまわさない和食や、シンプルな和魂イタリアンなどには、圧倒的にルーディのスタイルの方がよく合います。
2010年のような、どちらかと言えば涼しい酸の高い年に、貴腐ゼロ、木樽熟成ゼロ、という手法では、普通“冷たい”“無愛想な”ワインができそうに思われます。
ところが、ルーディのワインは、酸の高さを貴腐の甘さで打ち消すのではなく、ブドウのひと房ひと房の熟度を完璧な状態で摘むことで、酸そのものを角の取れたやさしい旨みにまで持っていってしまっています。ここまでやれば、酸が高くても、貴腐を使わなくても、とっても柔和なワインにすることができるのです。言い換えれば、酸そのものを美味しい酸にすれば、それが多量にある、というのは美味しさが増す、ということにつながるわけです。

凄いぞルーディー!
鴨&白菜。Weissburgunderで味に深みが。



冷やしトマトはリースリングが欲しかった!

風呂吹き大根。胡麻油風味がWBのミネラル感を呼び覚ました感じ。

カブ&鴨。WBの底力を実感。
ハリハリ鍋。WBがスープを優しく引き立てます。

徳竹さんの無骨な優しさもお店の魅力。
〆は当然こうして雑炊に。
一番驚いたのが、『いくらなんでも役不足。ここはリースリング スマラクトでしょ』と思った、かなり風味に重さとクセのある風呂吹き大根のゴマ油風味や鴨肉にも、優しくてピュアなヴァイスブルグンダー スマラクトがしっかりマッチしたこと。
ダメ押しは常連の特権、賄いカレーライス。

ところで、オーストリアでヴァイスブルグンダーを造る場合、できるだけ風から守られた、やや重めの石灰を含む土壌に植えるのが普通。ところがこのヒトのヴァイスブルグンダーは、原成岩土壌かつ風の強いのコルミュッツに植えられています。そして結局、土壌由来のスパイシーなミネラルこそが、ゴマ油や鴨を俄然引き立てました。

さっきルーディのスタイルはヒルツベルガーの対極にある、と書きました。
でも両者表向きの魅力は全く違っても、最後に発揮するその本領は、土壌由来のミネラルの底力。アレンジはオペラ風と現代音楽風でも、歌っている歌は同じだった、みたいなものですね。
そしてそれこそがヴァッハウの魅力なのです。

それにしても、こんな素敵な組み合わせの楽しめるお店がご近所にあるなんて、プリンセスは東京でも本当に幸せです!
日本の食はなんたって世界一!!!