2012年6月19日火曜日

帰国時ワイン会のお知らせ 前篇;7月11日まで

昨晩お約束した、日本滞在前半のワイン会です。青字は業界対象。12日以降のお知らせはまた後日にさせていただきます。
625日(月) 12:0015:00@蕎麦流石
和食とオーストリアワイン Part 1
和食店のオーナー及びサービス担当者対象。Schloss Gobelsburg, Hiedler, Rudi Pichlerのワインと和食の相性を見ていただきます。
参加申込締切済。居酒屋オーナーを含むPart2も企画していますので、興味のある方は岩城まで、店名と電話番号を明記の上、ご連絡下さい。

71日(日)12:0015:30@ドゥ・ロアンヌ(恵比寿)
震災チャリティーランチコンサート 現在キャンセル1名あり
フルーティスト山形由美とその仲間によるコンサート、オーストリアワインに合わせたコースランチ、ワイン・オークションなど。
料金 15千円(オーストリアワイン1本お土産付)
キャンセル席への滑り込みを希望される方は、岩城までメールにてご連絡下さい。

7
5日(木) 19:00~@銀座 壮石
ブルゴ-ニュとオーストリア、ドイツの使い分けができますか?
一般に和食に合うと言われている白ワインの中でも、最近のトレンドであり、また素材の持ち味を生かした料理によく合う、ミネラル主体のワインを江戸前鮓と会席料理で楽しみます。
ワインは仏(シャブリ、ムルソー)、オーストリア(ヴァッハウ、カンプタール)、ドイツ(モーゼル)産を予定。
場所 銀座 壮石(http://www.nishitani-sushi.com/
会費 13千円
料理 ワイン(5-6種)に合わせた鮓と特別会席コー

7月11日(水)午後@リカーショップ愛
インポーター対象 オーストリア未輸入ワイン試飲会(完全予約制)
オーストリアの一流どころから未輸入(or 第2取引先を求める)ワイナリーを厳選し、味わっていただきます。ワインに限りがありますので、参加を希望される方は、岩城までメールでご連絡下さい。

2012年6月18日月曜日

ただいまー、また戻って来ました!

スカイツリーは足許が一番美しい。
蒸し暑い東京の夏は大嫌いなのに、何故か一番時間の取れるのがこの時期、ということで早めに戻り、夏休みも含め、いつもより多少長めに滞在します。
今朝は早速、徒歩圏内のスカイツリー見学。いやぁ、月曜の午前中だというのにかなりの人出! "東京ソラマチ"、予想より楽しめます。
こういうモノに目が行く私の視線は既に外人目線??


















そこここであじさいが綺麗!
この足袋屋さんも素敵でした


















特に2階のフードマルシェにある、グローサリーの"北野エース"がユニーク。ちょっと見プリンセスの古巣"やまや"や成城石井"なんかを彷彿とさせる面もあるのですが、品揃えはもっと他愛ないものが中心…というのか、ここは食品スーパーでありながら、立派に食のテーマパークとして機能しています。
例えば、レトルトカレーだけで400種を揃えるというコーナーは、さながらレトルトカレー図書館の趣!! 他にも全国各地のインスタントラーメンなどが充実。
ワインコーナーも決して大きい訳ではありませんが、3つある島のひとつは完全に国産ワインで占めるあたり、なかなか市場の今を敏感に反映している模様。因みにオーストリアもひとつだけありました! 
ベートーベン : )
壮観!レトルトカレー陳列棚。因みに私の横で選んでいた若い女性の手には「いちごカレー」が…

下町だけあって魚は充実。ああ、美味しそうな一夜干し…

江戸職人芸の実演などもあり。今日は市松人形でした。
さて、明日は帰国時ワイン会のお知らせ前期編をお送りします。

2012年6月14日木曜日

耳を澄ませると畑が見える!

学校のためルストに居ました。
プリンセスの住むカンプタール辺りでは、各ワイナリーの所有地は、たとえ同じ畑を複数ワイナリーで所有している場合も、各自の所有畑は比較的ひとかたまりになっているのが普通。ところが、オーストリアは狭いのに、つい最近まで南北で土地の相続法が異なっていたため、ルストのあるブルゲンラントでは、自分の持ち畑がこっちにひと畝、ひと畝置いてまた二畝、みたいな感じに畑を所有していることの方が常態です。なのでそれぞれのワイナリーが自分の畝を間違えないよう、ワイヤーを張る支柱に派手な色の紐を括り付けたり、花を植えたり、道標を置いたり、様々な工夫がなされています。
そしてそんな有様ですから、畑の手入れ方法の違いを短時間にあれこれ比較できるのもこの辺りの畑歩きの面白いところ

それでプリンセス、2日で6時間以上テクテクテクテクひたすら畑を眺めながら歩き回りました。一日目は地図なしで、畑で働く人に畑名を尋ねながら。2日目はルストより隣町オッガウに近い銘醸畑マリーエンタールを目指して。
何が目的かと言えば、この時期各畑では畑の手入れ方法や病害対策、ブドウの木の健康状態などが一番良く見えるような気がしたからです。おそらく自分でワインを造っているヒト達は、この時期の畑を見ただけで「ああ、ここのワインは美味しいだろうな」と看取できるはす。私にもそれが少しはできるかなぁ、と思ったのです。


手始めに防カビ剤、殺虫剤、など色々ある農薬の中でも最も土の生態系に悪影響を及ぼすという除草剤を使っているかいないか、どのくらいはっきり判別できるものか、確認しながら歩きました。

枯草が沢山あるだけで早急に除草剤と決めつけてはなりません
オーストリアのワイナリーの8割方が採用しているサステイナブル農法プログラムであるKIP(Controlled Integrated Productsのドイツ語の頭文字)では、比較的環境への影響が穏やかとされる除草剤の規定量&回数以内の使用は認めてはいますが、少なくともプリンセスのご近所では、日本に輸入されているような一線どころで使っているところはゼロ。ホイリゲで出すワインしか造っていないような農家のみ使用してるという現状です。
我がお城ワイナリーも当然除草剤は使いません。では、どうやってブドウの木の根元や、ひと畝ごとの雑草を刈るか、と言えば、トラクターに除草機材をつけて刈っていきます。この方法、環境には優しいかも知れませんが、ブドウの木の根を傷つける可能性も高い。なのでブドウにも環境にも最も優しい方法は、手で草を抜くことです。ところが手でいちいち草を抜いていたんでは、趣味農園ならいいでしょうが、所有面積が二桁haになってくると、人手が足りなくなるか労働過多になるのが普通勿論、規模が大きくなっても銘醸畑は手で雑草抜きをするというワイナリーも存在しますし、逆に超急斜面が大半で、トラクターを使用できず、完全手作業か除草剤かの選択しかないヴァッハウでは、超一線級でも除草剤を使うのが常識。
上下の写真が隣り合わせた畝だって信じられます?

ということで、この目で除草剤使用、不使用で機械除草、不使用でマニュアル除草、の差をこの目で見分けられるか、が課題です。

パッと見、枯草の有る畑とない畑がありますが、枯草がないからと言って、除草剤を撒いてない、とも言えません。撒いた後しっかり土起こしをしていると、ブドウの根元をよく見ないと畝の枯草の有無だけでは見分けがつきません。
枯草があっても、除草剤で枯れた草と機械で刈った草が枯れている状態が混在しています。このふたつ、極端にわかりやすい違いの見える区画もあれば、最初はちょっと見分けのつきにくい区画もありました。が、妙に長い草がそのまま枯れていれば前者だし、青草と枯草が混ざったような状態なのは必ず後者です。
よく土の固い柔らかいを問題にしますが、化学肥料と除草剤をダブルで撒いているような最悪の畑であっても、今さっき土起こしをしていれば、もちろん土は固くない…。

でも、そんなことを確認しながら1時間以上歩いた頃、プリンセスは面白いことに気付きました枯草の有無や土の固い柔らかいより、畑の(少なくとも土の)状態の善し悪しのわかるサインがあることに。
それは音――虫の音です。
畑の土に住む様々な虫の鳴き声の大小が、隣り合わせた畑間でも全然違うんです。一面枯草で、根元にコケがあったり、葉もそっくり返っているような、間違いなく農薬撒き放題の畝では、シーンと無音。足許で派手に虫たちがジーコジーコ言っているところでは、そこここにモグラの穴もあり、ブドウの葉も生き生きとした緑色をしています

ところで、ブルゴーニュとオーストリアを比較して思うのですが、オーストリアは先にも書いたように、大半がKIPであるため、必要に応じて農薬を使うのですが、こと除草剤に関してはちゃんとしたワイナリーで使っているところを見つける方がまず困難。つまり殆どのワイナリーがニアリー・イコール・オーガニック的在来農法を実践しているのに対し、ブルゴーニュって、ビオディナミかオーガニック以外の生産者のかなりの部分が除草剤を使っているような印象。自然農法と在来農法の乖離が著しく激しい気がするんですが、誤解でしょうか?
今ブームの国産ワインはどうなのでしょう? 雨の多い日本で除草は大変な作業のはずでが。

2012年6月8日金曜日

スマラクト25年:2010~1986年

6月2日、VieVinumの一環として、宮殿の端、Kleiner Redoutensaalで行われた 25 Jare Smaragdのテイスティング・セミナーを改めてご報告します。

エメ・クノルJrを総司会、解説をフランツ・ヒルツベルガーSrとエメリッヒ・クノルSr、テイスティングの進行&英語にまとめ役をローマン・ホルファートMWが担当し、2010から1986年までのスマラクトを試飲しながら振り返る、というなんとも贅沢なイベント
御大お二人の解説、特にクノル氏のオフ・ビート(エメのオフ・ビートは父親譲りと、ここで初めて納得しました)な独語ジョークは私には理解不能部分が多く、得意の豚に真珠状態ではありました。が、そんな不満を吹き飛ばすほど、年代が遡るにつれ、ヴァッハウという土地の偉大さと、偉大な生産者の凄さが浮き彫りに。
試飲リスト、メモ&配布されたヴィンテージ解説をもとに、お気に入りベスト10ワインのみ振り返ります。※ ☆の数はプリンセスの感激度

☆2008 Piewald Kalkofen GV Smaragd
このカビの蔓延した、非常に難しかった年は、一方で非常にミネラル感の強い、土壌個性を反映したヴァッハウならではの味わいに。
☆☆☆ 2001 Hofstaetter Singerriegl Riesling Smaragd
プリンセスはこの年のオーストリアを飲んで嵌った経験を持ちます。典型的な、どちらかと言えば寒い年だったとか。今こうして飲んでみても、素晴らしい酸の伸びと、エレガントなミネラル・ストラクチャーは超魅力的。
☆☆ 2000 Sigl Steiger GV Smaragd
暖かい年のGVはあまり好みでないけれど、こうして熟成しリンゴの蜜のようなニュアンスが出ると別の魅力が出ることを発見。さてこの蜜は貴腐由来? それとも高い熟度から来るもの?
☆☆☆! 1997 Prager Steinriegl Riesling Smaragd
これもプリンセスの大好きな年。どちらかと言えばゆっくりと熟し、成熟期の昼夜の気温差が大きい年だけに得られる、まるでモーゼルのような勢いのある酸と、ヴァッハウらしい堅固なミネラルが両立。素晴らしい!
☆ 1996 FX Pichler GV Kellerberg Smaragd
この年も収穫が遅かったようで、酸とストラクチャーのバランスはいいのだけれど、一昔前のFXスタイルで、やっぱり大柄で苦い…。
☆☆ 1995 Rudi Pichler Riesling Kirchweg Smaragd
貴腐を完全に排するRudiのワインは、貴腐の多い年にこそ異彩を放つ。フレッシュな酸と穏やかな蜜風味がエレガント。長い余韻。
☆☆ 1993 Leo Alzinger Riesling Steinertal Smaragd 
やや線は細いものの、躍動感溢れる若々しい酸と余韻の長さは見事。
☆☆☆ 1992 Nikolaihof Im Weingebirge Smaragd
酷暑で酸が下がるこういう年こそビオディナミの威力を知ることができる。スーっと喉を通ってしまう軽やかな酸とやさしい甘味。

☆ 1988 Jamek Weissburgunder Hochrain Smaragd
既に濃い黄金色。25ワイン中唯一の非GV, Riesling。まだまだ酸も果実味も生き生き。ミネラルのスパイス感はいかにもヴァッハウ。

☆☆☆ 1987 Knoll GV Smaragd
冷涼で収穫が遅かったというこの年は、多少弱いけれど、熱い年のGV特有の苦みもなく、全ての贅肉が削げ落ちた典雅な趣。

因みに最後を飾ったのは1986 Hirzberger Riesling Hochrain Honifogl。早熟で熟度の高いバランスの良いワインを生んだ年らしいのですが、多作で凡庸なクオリティーだったのか、私のグラスのワインはかなり弱っていました。
この年Federspiel-Honifogelという格付制度が発足し、翌年HonifogelはSmaragdと名称変更し、今に至っています。

満足感一杯のテイスティングではありましたが、80年代後半から2001年頃のワインの凄さから、ヴァッハウが今どれだけ進歩しているか、と問われると、他産地に較べて、その進歩は正直見えにくい。まあ、前から偉大だったので仕方ないんですけど。
DACにもErste Lageにもくみせず孤高の立場を貫き、自然農法普及率も著しく低い(には十分な訳があることも力説したいです)“偉大なる産地ヴァッハウ”…その行く先を、愛情が深いだけに、プリンセスは複雑な気持ちで見守っています。

2012年6月6日水曜日

世界一大人なワインショー VieVinum

VieVinumも一昨日で終了し、昨日お城に戻りました。
沢山の日本人業界関係者も招かれ、沢山の内外の知人或いは今まで知らなかったワイナリーとも言葉を交わした数日。
ホーフブルクで行われるワイン・ショーは、Vinexpo, VInitaly, Proweinなどとは一味違う独特の雰囲気
1区中心部ホーフブルク宮殿で開かれるこのワインショーは、業界関係の招待客と一般のワイン好きが入り混じる形式。その立地と『ドイツ語を喋るイタリア人』であるオーストリアのワイン関係者の気質も相まって、毎晩なんらかのパーティーが様々な場所で催され、招待客のタグさえあれば途中の出入りも自由なため、ショーの前後にワイナリーを訪れる人、毎晩コンサートや芝居に出掛ける人、試飲に疲れたらショッピングや美術館で息抜きをする人…も多い、実に大人なワインショー。この国の頂点のワイナリーから新興ワイナリーまで、同じ大きさのブースで5つのワインだけを(表向きは)出展する、一見フェアなシステムでありながら、当然カタログに看板畑のワインを載せているワイナリーは少なく、従って畑名を自分から言えるヒトにのみトップワインを所望する権利が与えられる…てな辺りもオーストリア気質を反映していて面白い。
ワイン好きの皆さん、このショーに絡めてオーストリアワイン観光に訪れる、というのもお勧めできます。

ところでプリンセス、VieVinum前後、風邪で痛めた喉を押してワイナリー訪問の通訳を2日間続け、しかも残糖が多い分おそらく平均的にオーストリアワインよりもSO2の多い(?)ドイツワインを集中的にテイスティングし、お世話になっている方々のアテンドをし、知り合いのワイナリーと挨拶を交わして回る、などを続けた結果、声は掠れて出ず、肺は気管支炎状態、親不知周辺とリンパ腺が腫れまくる、という事態となってしまいました。
でも面白いもので、鼻と口に神経を集中していたせいか、昨日までは鼻と舌は全く健全。今日になって味わいが取りづらい状態に陥りました。そう言えば、真冬の取材で一度大風邪を引いた時も最終日までちゃんとワインを味わえていたのに、帰りの飛行機で酷い咳に七転八倒。東京到着のその足で病院に駆け込み、「気管支炎。絶対安静」を言い渡されたこともありましたっけ。気が張っていると=気が巡っている場所は病原菌に冒されない、って本当みたいですね。

そんな訳で、詳細報告はまた後日。関係者の皆さん、お疲れ様でした!