2012年11月21日水曜日

Gソムリエ、3つの大罪

月曜の晩、プリンセスは、インポーターのO社からご招待いただいた、代官山のivy placeで行われた、
とーってもお洒落なパーティーに参加した後、旧友ムッシュNのお店"Vin de Reve"で、悪友達と合流。
Mさんのお店選びのセンスの良さには、いつもながら脱帽!
ここでプリンセス、お腹の皮のよじれるほど笑い転げました。
笑かしてくれたのは、都内で複数の人気店を経営するソムリエのG氏。

彼にはそもそも銀座の一流バーC勤務時代に2つの大罪があります。

大罪その1. ひとでなし
サイフォンのコーヒーを熱し過ぎ、勢い良く煮えたぎるゴーヒーが噴出。あろうことか、お客様の頭にお見舞い。
お客様は何事もなかったかのように、静かにコーヒーを飲み続けました。一方彼はその光景に笑いをこらえ切れず、厨房に下がって心行くまで笑ってしまいました。

大罪その2. ビタースイート
シャンパーニュ抜栓の際手許が狂い、コルクをお客様の額に至近距離で見事に命中させてしまいました。
さぞかし痛かったであろうに…。それでもお客様は「これがバーの醍醐味だよね」と素晴らしくも苦し紛れのフォローを入れて下さいました。

ここまでは既に仲間内の知るところ。

そしてこの晩、彼はC勤務時代に犯した3つ目の大罪を告白しました。

その晩カウンターに陣取ったのは、左遷か退職絡みの人物&彼を送る同僚の計5人。それぞれ別々のカクテルを所望しました。
サイドカー、マティーニ…、と順番に異なるカクテルを作ってサーヴし、最後に一番奥に座る悲しき主賓のカクテルを作ります。
G:「洋ナシのカクテルです」
左遷人物:「…そうだよね。僕って用無しだものね。」…自虐的微笑みを浮かべてポツンと一言。

以来彼は、店で洋ナシは「西洋ナシ」と呼ぶよう、肝に銘じているそうです  : )
Vin de Reveのシェフ、エージ君のお料理は、
友人の店という贔屓目抜きに素晴らしい!
☆☆☆
パーティー会場で、実はちょっぴりシュンとしていたプリンセス。
そうでなくてもパーティーのような人の多い賑賑しい席では気後れしっ放しな性分なところに持ってきて、久々にお目にかかった業界の先輩に「ご無沙汰しております」と、礼儀正しくご挨拶した積りが、「あら、尻尾を巻いて戻って来たの?」と、ジョークにしても意地の悪い言葉を返されてしまい、一瞬目の前がクラクラと暗転してしまったのでした。
けれどそんなブルーな気分このチョーおばかな告白でパパっと雲散霧散

いつでもどこでも、持つべきものは、やっぱり一緒にバカ笑いのできる友人達です!
※お酒の席でのバカ話故、詳細の正確さは一切保証されないことをご了承下さいまし。

2012年11月19日月曜日

冷涼ワインと極北ワイン―自信を持って後ろを向こう!

「有料アップグレードせねばブログに写真がアップできない!」と激怒していたプリンセス。
facebookつながりのH氏が教えてくれたリンクから、一定サイズ以下の写真はピカサへのアップロードとしてカウントされないことを知りました。であれば、H氏のアドバイスに従い、オーバー分だけ既アップ写真のサイズを削って再アップし直し、今後はカウントされないサイズで写真をアップし続ければいい訳です。

やりましたよ、プリンセス! 土曜のセミナーの準備をしながら。そして日曜の夜中に音楽を聴きながら。とーっても面倒ではありましたが…。

そんな訳で晴れて皆さんに、セミナー@provinageのご報告ができます。
テーマはオーストリアン・アップデート。
ほっかほかの2012年ヴィンテージ情報と、現地暮らしをして初めて見えてきたオーストリアワインの側面について、お伝えできれば、と思っていました。
一番右は残念ながら微ブショネだった、原成岩のGV代表RudiのKollmütz。
右から5本目がその代わりのプロイドゥル GVエーレンフェルス。
けれど、オーストリアの魅力を十全に伝えたい、という漠然とした思いでラインナップしたワインをどのように皆さんにご紹介しようか、と思い巡らせるうち、プリンセスは何か"最新情報"とは別の側面のメッセージが、自分の中に芽生えつつあることに気付きました。

それは、セミナーを主催して下さったプロヴィナージュの田中浩ソムリエの提唱する”冷涼ワイン”の、もうひとつの側面、あるいは”広く冷涼ワインと呼ばれるものの中でも特殊な位置を占める北のワイン”とでも呼ぶべき伝統をお伝えしたい、という思いでした。

田中さんは冷涼ワインを「味わいの基軸を成すものが高いアルコールや果実味でなく、良質な酸とミネラルに由る凛とした味わいで余韻の長いワイン」と定義しています。

まんま、プリンセス好みのワインです。
ただ、プリンセスはそうした冷涼ワインの中でも、本当に北のワインが好きなんです。特に、白ワインに関しては「涼しい程度じゃ生ぬるい!」…ワイン産地の極北をこそ愛しているのです!
セミナーに参加して下さった皆さん、Neumeisterの産地がSüdsteiermarkになっていたかも知れません。
訂正してください! そして好評だったMニーポートのカルヌゥントゥムは最新情報によると、なんとこの価格!!!
では、冷涼ワインの中でも極北ワインだけが持つ特徴って何でしょう?
ズバリ、同じ畑の同じ品種の、同じ木のブドウから、いくつもの異なる個性のワインを生むことだとプリンセスは思っています。

これは北の産地の長い収穫時期の為せる業。言ってみれば天然の氷室で、天候とのやり取りが作る独自のスタイルの確立やら、酸や糖の値がほとんど変わらなくなった後に、少しずつ風味の成熟を待てる気候的利点です。

土曜のセミナーでご紹介したワインからもわかるように、オーストリアでは、ハシリを楽しむユンカーやユングヴァインから始まり、1年以内に飲み切るのが基本のホイリガーやシュタインフェーダーリリース後数年間ユニヴァーサルな食事のお供となるDACやフェーダーシュピール10年以上の熟成も十分可能な辛口の遅摘みであるDACリザーヴ&スマラクト、そしてアウスレーゼ、BA、アイスヴァイン、シルフヴァイン、TBA…と、異なる収穫時期成熟時の天候如何により、様々な個性のワインを生みます。

別の言い方をするなら、だから、ブルゴーニュの白は冷涼ワインではあっても極北ワインではありません。そしてプリンセスにとって、ブルゴーニュの白ワインの魅力は、同産地の赤ワインの魅力の足許にも及ばない…。

仏産地から挙げるなら、気候的にはシャブリが冷涼ワインと極北ワインの境目で、シャンパーニュはオーストリアやドイツとはまた別の、極北ワインのひとつの完成形だと思うのです。

ゲルマン言語圏のワインが多様なスタイルを保持し続け、ラテン文化圏がその最適な単一のスタイル(辛口/甘口/泡)1本に絞られているのは、それしかできない気候的要因(糖度の上がりようがない、貴腐が少ない、貴腐果の腐敗化率が高いetc…)がそうさせるのか、文化的な要因(自然は人間の英知で征服&洗練すべきもの、と考えるラテン的、或いは仏的文化)がそうさせるのか、その両方が絡んでいるのか、とても興味深いところです。

因みに仏のもうひとつの冷涼=極北ボーダーワイン産地であるアルザスが、仏銘醸地の中で、いまいち一貫した個性(品種的にも、スタイル的にも絞るのか多様さをアピールするのか)を打ち出し切れていないように見えるのは、この地が歴史的に仏文化と独文化の狭間を揺れ続けて来たことと大いに関係しているように思われ、この辺も実にプリンセスのマイナー探究オタク心をそそってくれます。

今、地球経済は大いなるグローバリゼーションの波に晒されています。ワインも例外ではありません。
そんな中、日本市場にオーストリアワインをご紹介する立場のプリンセスには、ちょっと気になることがあります。

それは、上に書き連ねて来たような多様なスタイルを保持し続ける生産者のワインより、辛口一本に絞り、アロマを最大限保持するようなインターナショナルスタイルのワインにフォーカスする生産者の方が、一般的に市場で評価されやすい、という傾向です。
併せて、早飲みや軽いスタイルのワインばかりが話題に上り、熟成可能な辛口の遅摘みや、アウスレーゼ、貴腐やアイスヴァインがあまり紹介されていない実情です。

墺の作曲家マーラーの”伝統とは灰を拝むことではなく、松明を灯しつづけることである”という言辞を引くまでもなく、現代人の社会的関心(例えばビオ)や味覚的嗜好(軽快な辛口)に対応することはもちろん大切です。テクノロジーを活用し、品質や生産性を上げることも、それが適切に用いられる限り肯定的に評価したいと思います。

けれど、我々消費者が無知であるばかりに、伝統文化の豊かさを自分の既知のスタイルやグローバル・スタンダード・スタイルに狭めてしまうようなことにだけはしたくない、というのがプリンセスの思いです。
消費者である我々が、早飲みホイリガーや軽い辛口ばかりを評価するなら、生産者はよりリスクの高い遅摘みやプレディカーツヴァイン(アウスレーゼ以上の甘口、貴腐、アイスヴァインなど)の生産をどんどん縮小して行くでしょう。
そして、それは極北ワイン産地の豊かな伝統文化の衰退&絶滅を意味します。

今こそ冷涼ワインファンの皆さんには、”灯しつづけるべき松明は何か”を真剣に見据え、ブームやトレンドに踊らされることなく、自信と誇りを持って後ろ向きになり、北でしかできない多様なワインの伝統と文化を支えて欲しい、と切に切にお願いしたいプリンセスなのであります。

2012年11月15日木曜日

帰国早々、プリンセス激怒!

皆さんただいま~!
と、ご挨拶する間もなく、翌朝から親友のお祝い事で北海道へ。
SIMの切り替えがうまくいかず、ネット不通状態となってしまっていました。

その北海道からもようやく戻り、昨日からいよいよ日本でお仕事モードです。

ただ、その前に。
プリンセス、帰国早々大いに怒っています!
それはこのブログに関してのこと。

11月3日土曜、プリンセスがゴミ拾い下女から宴のホスト一味へと華麗に変身を遂げた回のブログをご覧下さい。
かつて写真のあった部分に、人を食ったようなΘみたいな白記号が、ゾロゾロ出て来るでしょう?

実は出発前日の朝の写真をブログにアップしようとしたところ、ピスカだかピカサだかの「容量が一杯です。アップグレードしますか?」という表示が出ました。
どうやらブログにアップしている写真は、自動的にこの写真管理ソフトにもアップされるらしく、既にその容量が一杯だ、というのです。
このままブログを書き続けたければ(写真をアップし続けたければ)、ピカサを有料バージョンにアップグレードせよ、と、そう言われているのです。

そんなソフトはあまり使うこともないので、わざわざお金を払ってまでアップグレードするなんてもっての他!
大体、誰がブログにアップした写真をピカサにもアップロードしてくれ、って頼みましたかぁ?

そんな訳で、近日のアップデート写真の中から、わざわざ管理ソフトに保存しておくまでもないような写真を数枚削除し、その日のブログにアップしたかった写真分の容量を稼いてお茶を濁すことにしました。
ブログの写真は他にバックアップもあるので、このソフトに2重にバックアップする必要もない。ですから他のアルバム同様、アルバム単位でブログ写真の全てを一発で削除したかったのに、何故かブログ写真だけは、アルバム単位での削除の文字がクリックできないようにされています。仕方なく、1枚1枚削除して行きました。

そして、今日になって気づきましたが、その、ピカサから削除した写真の部分がΘという無残な姿の正体だったのです。※まあ、ですから一発削除できていたら、今頃全て写真がブログから消え失せていた訳で、それよりはマシだった訳ですが…。

こういうのって詐欺だと思いません?

無料を謳っておいて、使い手がそれを道具として重用する頃には、お金を払わねば実質上使い続けられない状況に陥れる…。

…ったく、帰国早々チョー気分の悪いプリンセスであります。
そんな訳で、写真をアップしようとする度に、古いブログから写真を削除せなばならないプリンセス…。

読者の皆さんのどなたか、写真をブログにだけアップしてピカサにアップしない方法をご存知ありませんか? ピカサをアンインストールすればいいのかしら?
でもピカサから削除した写真がΘになってしまうところを見ると、ソフトをアンインストール=ブログ写真全喪失事態を招きますよね、きっと…。

そんなの超面倒臭いから、うーん、もうブログ止めちゃおうかなぁ…

2012年11月9日金曜日

グリューナーとリースリング。この雲泥の差!

空港へ向かう前に、早起きしてせめてラムの収穫風景の写真だけでも、と思っていたのですが、残念なことに今朝は冷たい雨。収穫は午後からになってしまいました。

なので、このブログは1,2日お休みをいただきます。
いってきま~す! あれ違うか。もうすぐそちらに参りま~す!

さて、プリンセス、一週間くらい前のブログに、「これ以上何を待っているんだろう?」と書きました。

ハイリゲンシュタインの美味しそうな実が、木枯らしで随分落ちてしまっていたからです。
実際に収穫しても、どこから鋏を入れようかと梢や房をいじっていると、はらはらと梗がちぎれて、ボトッと房が落ちてしまうことが何度もありました。
霜や雪の影響で、もう木が弱っているのです。

それでもお城ワイナリーは収穫は急がず。
「大丈夫なのか?」と心配していたプリンセスですが、水曜にレンナーのブドウを自分で収穫してみて納得!
グリューナーの梗はリースリングよりずっと丈夫なのです。
こちらハイリゲンシュタインのリースリング
こちらレンナーのグリューナー
ところで、去年もそうでしたが、近隣のビオの生産者達は2週間から3週間近く早く収穫を終えています。彼らは「ビオにすると生理学的成熟が早くなる」と主張しています。
ですが、この2-3週間、糖と酸は値上はもうほとんど変わりません。フェノールの成熟が進み、風味が向上するのみ、です。
そうした生理学的成熟の頂点が本当に2-3週間も早く来ているのか、それともビオという超労働集約栽培をできるだけ早く終わらせたい、或いはそうした労働の結実をリスクに晒したくない、という心理が働いているのか…。

その答えはワインを飲み比べて風味と味わいで判断するしかありません。
また、Vinaria誌にフレッド・ロイマーのインタヴューが載っていて、なんともいいタイミングで“成熟とはなんぞや”みたいなタイトルがついているので、これも辞書を引き引きじっくりと読んでみようと思っています。

それでは皆さん、プリンセスはこれから故国へと旅立ちます!
ほんの一か月の滞在ですが、どこかでリアルにお目にかかれるのを楽しみにしています!

2012年11月8日木曜日

お城の隠れた主役、ガイスベアク&レンナー。今年の果汁はビューティフル!

明日日本へ旅立つプリンセス。オーストリアでのブログはこれで最後になるでしょうか? 
さて、今日は気持ちの良い秋晴れ。お城ワイナリーでは昨日、今日と引き続きRennerレンナー畑のグリューナーを収穫しています。
朝日が美しい、お城のバックヤード風景。
レンナーはガイスベアクGaisbergの麓にある畑。
ラムLammがハイリゲンシュタインHeiligensteinの麓にあり、ラムとレンナーはだから二つの山の麓に隣同士で並んでいるのですが、この二つのグリューナーの畑の土壌も、また異なります。
左がハイリゲンシュタイン(麓右側がラム)、右がガイスベアク(下部がレンナー)。間の窪みがグルップ。
ハイリゲンシュタインとガイスベアクのサブソイルそのものが異なる岩石であることは前にも書きました。そしてそれぞれ底岩の上に結構深く土が被っているのですが、この土がまたラムとレンナーではかなり違うのです。それも、石そのものが異なるから違う、というのではなく、テクスチャーが違うんです。
レンナーからガイスベアクを望む。いかにも平穏な眺め。
早い話はラムはその名の通りローム土壌 ※ラムはドイツ語でロームの意味のLehmのこの辺の方言。つまり粘土を含むかなり重い土壌です。
それに対し、レンナーは砂。レスを通り越して、もう少し粒子の大きい所謂砂なのです。

両者最も大切なことは、ロームがコングロマリットの上に、砂がパラクナイスの上に被っているところ。このカップリングこそが味噌
というのは、グリューナーは乾燥に弱いので原成岩だけでは灌漑なしには育ちませんなので古来保水性の良いレスやローム土壌に植えられて来ました。
けれどそれだけではフルーティーな、或いは豊かなワインにはなっても、複雑で深いミネラリティー溢れるワインにはなかなかならない。そういうワインになるブドウを育てるには、やはり岩石の土壌が不可欠で、だからこそ、こうした岩の上にある程度保水性のある土の被った畑が、グリューナーの銘醸畑としてフィーチャーされる訳です。
西からの冷たい風から守られ、朝日を浴び、そよ風の流れる緩斜面。
プレミアム・グリューナーに理想的な二層構造の両畑ですが、更に仔細に観察すると、両畑の局地気候が微妙に違う。ラムはやはりハイリゲンシュタインの下部なので、より日中は暑く、朝晩は冷えます。一方朝日を浴びる部分が多く、カンプヴァレーからの冷風からは完全に守られつつも常にそよ風の流れるガイスベアクの麓にあるレンナーは、より穏やかな局地気候

この微妙な局地気候の違いに、さらに二層の土の構成の違いが加わって、ラムとレンナーのワインの個性の違いが形作られます
ハイリゲンシュタインとガイスベアクのリースリングが、隣同士に並ぶ山とは思えないほど、それぞれ異なる個性を表現しているのと同様、ラムとレンナーの持ち味も、大きく異なります。

サブソイルの岩そのものは、粒子の大きな小石のコングロマリットであるハイリゲンシュタインより、粒子の細~粘土のやや低い温度で生成された変成岩であるパラクナイスのガイスベアクの方が、若干保水性が高い。けれど岩石の色としてはパラクナイスの方が黒く、熱を保持する。
一方で、上に積もっている土はロームの方が砂よりずっと保水性が高い。
こちらは昨日の朝のレンナー。どんよりでしたが、雲が時々はっとするくらい美しい画を描いていました。
以上様々な要因が絡まって、ラムでは筋肉質でキメの詰まった、ドッシリと力強い長熟のグリューナーができ、レンナーではより繊細で優しい味わいのグリューナーになります。
そして、熱く乾燥した年にはリースリングはむしろガイスベアクの方が瑞々しさを保つのに対し、グリューナーは、ラムの方が乾燥に強い、ということになります。※レンナーは樹齢の若い部分は灌漑している場合が多い。


そして今年のレンナーは??
プリンセス昨日は午前中に収穫に参加。今日はソートの様子を見学していましたが、出来は抜群です!

去年のグリューナーは甘くて食べて美味しいものの、酸はやや低く皮が厚め。対して今年は酸と甘さのバランスがとても良く、昨年よりずっとフレッシュに感じます。また、グリューナーの房はクローンにもよりますが、一般的にリースリングよりずっと大きく、房が双子、三つ子のように肩部分でつながっているようなものも多いのですが、そうしたジョイント部分が実は悪玉貴腐に冒されやすい。そして、昨年はあんなに乾燥していたにもかかわらず、房の内部ジョイント部分には、そういう腐敗果が結構ありました
それが今年は本当に果実が健全。梗に鋏を入れる度に嬉しくてニヤニヤしてしまいます!


朝7時に始まる作業で続々と運ばれる果実を選果するケラーマイスターのカーナーさんも、本当に嬉しそう。
実は、お城ワイナリーのエアステ・ラーゲの中で、最大面積を誇るのがガイスベアク、続いてレンナー。勿論知名度的には、そして価格的にも、ハイリゲンシュタインとラムがフラッグシップ、ということになるのでしょうが、所有畑の大きさの意味でも、またお城ワイナリーの得意とする優しさ溢れる飲み心地という意味でも、カーナーさんにとっては、この二つの畑に対する愛着が一番大きいようなのです。
こうしてソートコンベアへ。受台は微振動しており、
細かいゴミは自動的にはじかれる仕組みです。
この写真、渋さが魅力のカーナーさんらしくない。けれど、
ブドウの状態がここまでいいと、彼にして浮かれることもある、
という証拠写真です : )
そして超健全なレンナーのGVは、こうしてベルトコンベア式にプレスへ。
さて、明日は天気が良ければラムのグリューナーの収穫を予定しています。
プリンセス、今日は早めにパッキングを万全にして、明日は早起きし、天候が良ければ予定される天下のラム畑の収穫の様子を写真にだけでも納めたいと思っています。

お楽しみに!

帰国時ワイン・ディナーのお知らせ

読者の皆さん。プリンセス、11月10日から12月13日まで再び故国に戻ります。
恒例のお食事会と、プロ向け試飲会のお知らせをさせて下さい。

その1
毎回帰国する度に、普段オーストリアワインを置いていない、プリンセスも初めてのレストランでお食事会をさせていただいていますが、今回のお初はfacebook & 冷涼ワインつながり&飲食店のITコンサルなども務める平田耕治氏ご推薦"La Grappe@西麻布"
お店との新たな出会い、読者との新たな出会いを楽しみたいと思っています。ブログの裏話なども大公開しちゃいますので、この機会によろしければお出掛け下さい。

1120日(火)ワイン・ディナー@ラ・グラップ(西麻布)
場所:ラ・グラップ http://la-grappe.net/
時間:19 :00~ 定員16
会費:13,000
テーマ:オール・アバウト“シュロス・ゴーベルスブルク”
プリンセスが昨年4月からお世話になっているご存知お城ワイナリー。1171年以来のシトー派修道院の畑とワイン造りの伝統をどのように現代に受け継いでいるのか、を中心に、日々オーナー家族とともに暮らす者にしか知り得ないインサイダー情報も含め、その姿を余すことなくご紹介。エアステ・ラーゲを含む限定輸入、未輸入ワイン中心のラインナップで、ラ・グラップ加藤シェフの美味しいフレンチとの相性をお楽しみいただきます。
申込:幹事平田jordan21th@hotmail.comまで。

その2
それから、このブログを読んで下さっているプロの方、特に最近オーストリアワインが気になる、というインポーターさんや飲食関係者の皆さんにお越しいただきたい、出入り自由のカジュアルなテイスティング会をやります。
日本未輸入、或いは新たなパートナーの開拓を望むトップワイナリーのワインを自由に試飲し、プリンセスと情報交換もできますので、是非オーストリアのレベルをチェックしにいらして下さい。
また、お城ワイナリー"Schloss Gobelsburg"のドメーネ・シリーズとエアステ・ラーゲのワインについては、その場で次回の限定輸入オーダーもお受けします。

1117日(土)プロ向け出入り自由試飲会
場所:プロヴィナージュhttp://www.provinage.com/
時間:1:3018:00 定員14名(入場17:30。18:00にはご退場いただきます)  
会費:無料 ※食べ物は出ません
申込;岩城 piantao@nifty.com まで。ワインは基本的に各1本ずつしかありませんので、必ず事前にご連絡下さい。

その3
そして渡墺以前から、オーストリアワインと和食の相性を楽しんでいただくワイン会を続けて来た、鮓と和食の店“壮石”で、プリンセスが最初に日本にご紹介した3つのワイナリー(世界最高の市営ワイナリーと言われるシュタット・クレムス、ナチュラルで誠実なワインを造るヒードラー、そしてお城ワイナリーことシュロス・ゴーベルスブルク)の味わいの趣向や造りの個性にググっと迫ります。

12日(水)ワイン・ディナー@壮石(東銀座)
時間:19:00~ 
定員19名 会費:12,000
テーマ:赤ワインの嗜好から迫る、オーストリアの3生産者の個性
鮓&和食にピッタリの白ワインを造るオーストリアのトップ生産者に、自分の造るワイン、オーストリアワイン以外で、和食に合いそうだと思う「赤」のお勧めを選んでもらい、自身の白と他流の赤を、壮石自慢の季節のネタとともに楽しみます。“赤ワインと和食”という、彼らにとってもチャレンジングな組み合わせから、生産者の嗜好や和食とワイン一般についての考え方の一端を覗き、味わいに対するアプローチに違った角度から切り込もう、というとてもスリリングな企画です。
申込:壮石 03-6228-4659まで

では、どこかで皆さんとお目にかかれるのを楽しみにしています!

2012年11月5日月曜日

プリンセス、華麗なる変身を遂げるの巻

前回のブログを読んだお仕事関係者から「岩城さんのお仕事って大変なんですね」と、マジに同情されてしまったプリンセス : )
ご安心下さい! ドロのような肉労の後にはこの笑顔! photo  Barbara Koller
お城でコキ使われている訳では決してないので、誤解のないように書いておきますが、落ち葉拾いはプリンセスのウィークデーのお仕事ではなく、週末の家族としての、謂わばプライヴェートなお努めなんです。

因みにプリンセスがウィークデーは何をしているのかと言えば、オフィスでの自分の仕事が大半で、少しだけお城ワイナリーの主に日本市場に対するPRをお手伝いしています。
そして、あくまでプリンセス自身の勉強と、長期取材の一環として、畑仕事やセラーワークを部分的に体験させてもらっている、というのが日常です。
ちょっとお城の家族役割分担を解説しますね。バラを始め四季折々に目を楽しませてくれるお城敷地内の様々な植物の手入れは、基本的に夫人エファ方の両親ペーター&イルゼがやっています。イルゼはそのために、なんと大学の園芸学部の社会人コースまで履修しており、趣味の域を超えたスペシャリスト。それをペーター、エファと家事を手伝う使用人、そしてプリンセスがサポートしている体制です。
だから、もし私がやらなかったら、おばあちゃんかエファが枯葉を集めて、コンポスト置き場へは使用人が捨てに行くことになったでしょう。実際、先週は、エファが庭の別の場所で枯葉集めをしていましたが、この日彼女は朝6時起きでディナーの料理を準備。その間にプリンセスが肉体労働をしていた、という訳です。
住んでみて実感しましたが、広大な敷地の数百年を経たお城に暮らすって、実は庭仕事だけではなく、日々半端でなく色々な雑用があるんですよ…。

しかーし!
お城の週末は華やか&賑やかでもあります。
プリンセス、土曜は4時半近くに庭仕事をギヴアップし、シャワーを浴びてからしばしメールチェックなどをし、6時からはエファのワイン勉強仲間のお客様をお迎えします。彼女のホテル学校時代のクラスメートで、これからお城ワイナリーの海外営業を手伝うことになっているバーバラもやってきました。

では、アットホームな週末の宴の模様を写真でご覧いただきましょう。
全員集合! この日のお客様は右の3人。お爺ちゃんお婆ちゃんと子供たち、お手伝いさんはこの後退却。

ワインはぐっとくだけてこんな感じ。
6人でこれだけ飲みました。ちょっと飲み過ぎ?
お城ワイナリーのゼクト、シャンパーニュ、と続いた後、白のスターターとしてグリューナー トラディション 2010を持って来たのにはちょっと驚き。後に飲んだChateau de Chamirey 2010が、最初はメチャメチャ薄くレモニーに感じられちゃいました : )
プリンセスが落ち葉拾いをしている間、キッチン
ではこんな光景が繰り広げられていじました。
そして、この日の主役はなんと言ってもエファが朝6時起きで用意した手料理。
何度も書いていますが、彼女の料理の段取りの良さ、手際の華麗さはプロはだし。十八番である、東南アジア風料理の数々をご覧いただきましょう。
プリンセス的に、ワインの主役はハイマン・レーヴェンシュタイン レットゲン アウスレーゼ。うーん、最近は写真にも写っているムンケンタール的なアウスレーゼくらいの甘さのワインがオーストリアでも沢山出て来て一種流行の兆しを見せているけれど、そしてそれも全然悪くないんだけれど、プリンセスはやはり、アウスレーゼ以上の甘口、極甘口については、少数の例外的生産者(例えばハイディ・シュレック)を除いて、やっぱりドイツワインの方が凄い! って正直思うことが多いのです。
本日のヒット、レットゲン アウスレーゼ 2010
あの緊張感溢れる口中でぐんぐん湧き出るような酸があってこそ、甘口はキラキラと輝ように感じます。あれは本当にひっくり返ってもドイツ以外には出せない味わいだ…。
ゼクトグラスはリーデル特製、お城ロゴ入り。

土曜は本当に、よく働いてよく食べよく飲み、…うーん、まだまだドイツ語では笑いのタイミングをほぼ完璧に逃してしまうのが癪だけれど。何故かワインの話をしている間だけは、それがドイツ語で行われていることを忘れて、自然に受け答えしているのが我ながら不思議… : ) 
テーブルセッティングも美しい…、けれど
この日使用のシルバーは、実は4段階あるうちの下から2番目のクラス : )
散々飲んで食べて、…随分飲んだので、ガラスの大皿を洗うのはちょっとビクビクものでしたが、割ることもなくこなして、お片付けの終わったのは夜中の2時。
朝6時からずっと準備をしていたエファは先に寝かせ、片づけを手伝ってくれたのは、エファの親友バーバラ。

あのさぁ、バーバラ。パーティーの間中、5人の独語大爆笑会話になかなか入っていけないプリンセスに対しても、手加減なしに英語を全然使わないのは、それはいい。仕方ない、っていうか当然のこと。
ナプキンも美しい…
だけどね、その後二人きりになったときこそ、鍋はあっちだ、フォークが上だ、ナイフが下だ、大皿はどの棚だ、明日何時起きだ、朝食は何人だ…、そういうた~んじゅんな会話を『英語』っていうのは、お願いだから止めてくれない? 一対一の簡単な会話こそ、ゆっくり話してくれるとか、こっちだってわからなかったら聞き返すとかできるんだから。そういうときこそプリンセスの壊滅的ドイツ語を少しずつでも向上させるチャンスなんだからさぁ…。ぶつぶつぶつ…。

2012年11月4日日曜日

今年の落ち葉掃除は…夢がなかった…

収穫が楽しみ、だなんて書きましたけど、土曜日はワイナリーでは一部獲り残したハイリゲンシュタインの貴腐ブドウだけを少し収穫し、水曜の貴腐果と一緒にTBA用のブドウをソーティングしていました。ですからラムとレンナーの収穫は週明けまで持越し。
写っているのは、掃除範囲の半分以下。膨大な量の枯葉です。
プリンセスは、と言えば先週からエファに「帰る前の週末は庭掃除と昼食をお願い」と頼まれていたので、子供も含め11人分の昼食を作りと庭掃除を担当
なんと100ℓサイズの大型ゴミ袋に少なくとも10袋以上のクルミの木の落ち葉を掃き集める破目に陥りました!!!
前にも書きましたが、隣の教会と壁を挟んで仏像のようなものが…
…と書くとたやすいのですが、午前中は朝8時から11時に落ち葉掃除と2回リヤカーでお城下のコンポスト用枯草捨て場を往復。

11時からご飯を炊いて…時間をかけていられないので、今日はオニギリ。具は日本から持ち込んだ鮭フレーク&シソの葉、イクラ、そして黒豚味噌と玉葱を飴色になるまで炒めたペーストのミックスの3種。
11人分 × 3種のオニギリをサクサクと作ることは、段取りの悪さでは並ぶ者のないプリンセスにとっては、そんなに簡単なことではありません。33個分、具を入れて、握って、海苔で包んで…。リゾットライスなので妙にベチョベチョと手にまとわり付く割には、まとまりが悪くて見栄えは悪いは…。夏から置きっぱなしの海苔は香りもへったくれもないは…。お城の一番下の女の子ルイーゼからは「ブラック・ペーパーなしで作ってくれる?」と言われてしまう有様…うーん、ま、そんな感じだよね :)
この至近距離は大胆過ぎます…
昼食を終え片付けをして、1時ちょっと前からまた庭掃除。
大きなゴミ袋の数が足りないため、リヤカーであと2回お城下との往復。
実は落ち葉掃除そのものより、このリヤカーの下りがキツイ! 前を向いて押すと、下り坂でスピードがついてしまい、プリンスの力では手に負えないので、後ろ向きになって坂を下ります。そしてコンポスト用枯葉捨て場でリヤカーに積んだゴミ袋の枯葉を空け、帰りはそれ自体が決して軽くないリヤカーを押して今度は坂を上ります。既に積荷はないのですが、上り坂は力が要ります…。
この坂の上り下りが重労働…
午後3時には庭仕事を終わりにしたかったのですが、その時点でまだ、あと2割方枯葉は残っていました。…でも、袋を空けないと枯葉を集められないし、もうこれ以上のリヤカーでの坂の上り下りは、プリンセスの腰には危険、と思われたので、残りの葉は2台のリヤカーと収穫箱に詰め込み、それでも残った枯葉は、申し訳ないけど一か所に掃き集めて、その状態でギヴアップ…。時間は既に4時を回っています…。
うーん、疲れたぁ…。
6時からはお客様があるので、これからシャワーを浴びて着替えて…。
作業終了状態。この前に8袋分の枯葉を下に運んでいます…。グッタリ…
ところで、今年は週末にプリンセスがしばしば留守にしていたこともあるのですが、週末お城に居ても枯葉掃除を頼まれることがありませんでした。
そして今週になって「帰国する前の週末に頼んでいいかなぁ」と初めて言われたのですが、やってみて、今まで掃除をしようとしなかった訳がわかりました。
分け入れども分け入れども枯葉ばかり…実はない…
今年はブドウ同様霜の影響でクルミの実がほとんどないんです。実が沢山落ちると、美味しいうちに採りたいので毎週末掃除をする訳です。やっぱり美味しい実が沢山採れると、掃除のし甲斐もありますが、ただのゴミ集めは、はっきり言って疲れます。あ、いえいえ、来年のブドウのためのコンポストを作っていると思えば、これも大切な作業なんですよね : )

そうそう、今年はクルミだけではなく、プラムもアプリコットも全てほとんど実をつけていません。昨年からの酷い乾燥と遅霜の重なった結果がこれ。だから来年は自家製ジャムも底をついてしまうかも…。

今年の冬には、どうか沢山の雪に降って欲しいものです。

2012年11月2日金曜日

本日収穫なし…一体何を待っているんでしょう?

プリンセスあと1週間ほどで日本に帰ります。
貴腐やアイスワインはともかく、辛口用ブドウの収穫見届けてから帰ろう、という魂胆です。
今年の収穫@ハイリゲンシュタイン。葉がほとんど落ちています。
実は水曜の、ハイリゲンシュタイン畑の、葉ばかりか、少なからぬ健康な房まで地面に落ちてしまっている状況に、プリンセス「いくら最初の霜で風味を磨く」と言っても、ちょっと待ち過ぎたんじゃあないの? …と訝っていました。
ですから当然、祝日の昨日を挟んで今日はラムかレンナーのGVの収穫…と心の準備をしていたのですが、予想に反し今日は収穫はお休み!!
実まで落ちてしまっています。
うーん、糖度は十分達しているだろうに、これ以上実を木にぶらさげたままにしておいても、梗がどんどん弱って、木枯らしが一陣吹く度に美味しく実った房がボトボト落ちてしまうんじゃないか…とプリンセス心配でたまりません。

どうしてここまで待つのか?? 予想できる理由は;

1. ひとつの畑から最大DACリザーヴ、トラディション、アウスレーゼ、BA、TBA用のブドウを収穫するので、「アウスレーゼ以上の貴腐ブドウと、辛口(DACリザーブやトラディション)用のブドウの収穫のタイミング合わせをするため、貴腐化がもう少し進むまで待っている。

2. 待てば待つほど風味が向上する。

3.単に人員布陣にミスがあって、十分な人数の摘み手がいない。

去年の収穫時のハイリゲンシュタイン。葉は青々としています。
うーん、と唸りながら去年と今年の収穫について、あれこれ考えてみます。

今年は去年に引き続き暖かい年なのですが、それでも色々なことが違います。例えば、畑の収穫の順番が違うし、同じ畑でも去年と貴腐ブドウの扱いが異なったりします。
去年は少なくともエアステラーゲについては、葉が枯れ落ちる前に辛口ワイン用のブドウは収穫を終えていました。
確かハイリゲンシュタインは、去年は辛口用のブドウを摘んだ後、貴腐の房を残しておいて、随分待ってから収穫したような…。
ブドウの状態は去年もハイリゲンシュタインは良好でした。
去年の方がより乾いた収穫期だったと記憶します(11月の中旬になって突然気温が下がり、霧にすっぽり覆われてしまうまでは)。今年の方が10月中旬に入るとどんより曇った日が多く、湿度は去年より高めに推移したように感じます。
ところが、グリューナーの悪玉貴腐はむしろ去年の方が多かった今年のグリューナーは、たとえ格下の畑であっても果実がパーフェクトに健全。
リースリングにしても、去年は結構お酢の臭いを発散させる悪玉貴腐にやられた房も多かったけれど、今年はそういのは本当に少ない。特にエアステ・ラーゲに話を限れば、今年は見事に善玉貴腐しかついていない…。
そう言えば今年は湿度の上がる頃、ググっと気温も急降下しましたっけ。気温の下がる以前の10月上旬までに運び込まれた買いブドウには、善玉も悪玉も含めて、貴腐が結構多かったことも思い出しました。
これも去年の収穫時。まだ実に瑞々しい。
…と、色々思い返しながら去年の記録を参照すると、収穫が始まったのは去年はゼクト用のシャルドネ、今年は1ℓワイン用のトラミーナーでしたが、9月6日で全く一緒。もし明日11月3日にラムのGVを収穫したなら、それも去年と全く一緒ということになります。
けれどハイリゲンシュタイのリースリングは、やはり記憶通り、去年は健全果は10月21日貴腐果はなんと3週間おいて、11月13日の収穫でも今年はおととい10月31日に、貴腐の房も健全果と一緒に全部摘んでしまいました。

なんだか昨年の方が、まず8月後半の熱波であわくってゼクトの収穫に入り、9月に入っても真夏のような気温に、やはりお尻に火をつけられたように本格的な収穫が9月半ばに始まり…。全てにおいてせかせかと収穫を進めたような気がするのはプリンセスの心の余裕が足りなかったからなのでしょうか…。
そして今年
一方今年は、夏の間も夜の気温はきちんと下がり、9月に入るとさらに朝晩は涼しくなり、10月半ばに湿度が高まる頃には十分昼の気温も下がり、悪玉貴腐のつく余地がなくなりました。
だからこそ、数日前のブログに書いたように、『待つ』ことが可能でした。

ところがここに来て、霜や雪がブドウの木と房をつなぐ梗を著しく弱めました。貴腐のついた房も、あまり放置してはおけない状況ではないか、と。そのためハイリゲンシュタインでは健全果と貴腐の同時収穫となったのでしょう。

ではガイスベアクはどうなのか? ラムやレンナーは何のために、どこまで待つ積りなのでしょう?
ニコライホーフやヒルシュ、セップ・モーザーなど、ビオディナミやビオディナロジックの生産者達は、とっくの昔、3週間近く前に収穫を終えてしまっています。
うーん…プリンセス頭が混乱状態です
しかしブドウはいかにも力強い。
まあ、こういうときは自分で畑に出て、作業してみるのが一番です。
明日収穫する畑が、ブドウが、私に何を教えてくれるか…。
またまた楽しみなプリンセスです。
※ハイリゲンシュタインの続き、忘れてません。どこかで必ず戻って来ます!