さて、今日は気持ちの良い秋晴れ。お城ワイナリーでは昨日、今日と引き続きRennerレンナー畑のグリューナーを収穫しています。
朝日が美しい、お城のバックヤード風景。 |
ラムLammがハイリゲンシュタインHeiligensteinの麓にあり、ラムとレンナーはだから二つの山の麓に隣同士で並んでいるのですが、この二つのグリューナーの畑の土壌も、また異なります。
左がハイリゲンシュタイン(麓右側がラム)、右がガイスベアク(下部がレンナー)。間の窪みがグルップ。 |
ハイリゲンシュタインとガイスベアクのサブソイルそのものが異なる岩石であることは前にも書きました。そしてそれぞれ底岩の上に結構深く土が被っているのですが、この土がまたラムとレンナーではかなり違うのです。それも、石そのものが異なるから違う、というのではなく、テクスチャーが違うんです。
レンナーからガイスベアクを望む。いかにも平穏な眺め。 |
それに対し、レンナーは砂。レスを通り越して、もう少し粒子の大きい所謂砂なのです。
両者最も大切なことは、ロームがコングロマリットの上に、砂がパラクナイスの上に被っているところ。このカップリングこそが味噌。
というのは、グリューナーは乾燥に弱いので原成岩だけでは灌漑なしには育ちません。なので古来保水性の良いレスやローム土壌に植えられて来ました。
けれどそれだけではフルーティーな、或いは豊かなワインにはなっても、複雑で深いミネラリティー溢れるワインにはなかなかならない。そういうワインになるブドウを育てるには、やはり岩石の土壌が不可欠で、だからこそ、こうした岩の上にある程度保水性のある土の被った畑が、グリューナーの銘醸畑としてフィーチャーされる訳です。
西からの冷たい風から守られ、朝日を浴び、そよ風の流れる緩斜面。 |
この微妙な局地気候の違いに、さらに二層の土の構成の違いが加わって、ラムとレンナーのワインの個性の違いが形作られます。
ハイリゲンシュタインとガイスベアクのリースリングが、隣同士に並ぶ山とは思えないほど、それぞれ異なる個性を表現しているのと同様、ラムとレンナーの持ち味も、大きく異なります。
サブソイルの岩そのものは、粒子の大きな小石のコングロマリットであるハイリゲンシュタインより、粒子の細~粘土のやや低い温度で生成された変成岩であるパラクナイスのガイスベアクの方が、若干保水性が高い。けれど岩石の色としてはパラクナイスの方が黒く、熱を保持する。
一方で、上に積もっている土はロームの方が砂よりずっと保水性が高い。
こちらは昨日の朝のレンナー。どんよりでしたが、雲が時々はっとするくらい美しい画を描いていました。 |
そして、熱く乾燥した年にはリースリングはむしろガイスベアクの方が瑞々しさを保つのに対し、グリューナーは、ラムの方が乾燥に強い、ということになります。※レンナーは樹齢の若い部分は灌漑している場合が多い。
そして今年のレンナーは??
プリンセス昨日は午前中に収穫に参加。今日はソートの様子を見学していましたが、出来は抜群です!
去年のグリューナーは甘くて食べて美味しいものの、酸はやや低く皮が厚め。対して今年は酸と甘さのバランスがとても良く、昨年よりずっとフレッシュに感じます。また、グリューナーの房はクローンにもよりますが、一般的にリースリングよりずっと大きく、房が双子、三つ子のように肩部分でつながっているようなものも多いのですが、そうしたジョイント部分が実は悪玉貴腐に冒されやすい。そして、昨年はあんなに乾燥していたにもかかわらず、房の内部ジョイント部分には、そういう腐敗果が結構ありました。
それが今年は本当に果実が健全。梗に鋏を入れる度に嬉しくてニヤニヤしてしまいます!
実は、お城ワイナリーのエアステ・ラーゲの中で、最大面積を誇るのがガイスベアク、続いてレンナー。勿論知名度的には、そして価格的にも、ハイリゲンシュタインとラムがフラッグシップ、ということになるのでしょうが、所有畑の大きさの意味でも、またお城ワイナリーの得意とする優しさ溢れる飲み心地という意味でも、カーナーさんにとっては、この二つの畑に対する愛着が一番大きいようなのです。
こうしてソートコンベアへ。受台は微振動しており、 細かいゴミは自動的にはじかれる仕組みです。 |
この写真、渋さが魅力のカーナーさんらしくない。けれど、 ブドウの状態がここまでいいと、彼にして浮かれることもある、 という証拠写真です : ) |
そして超健全なレンナーのGVは、こうしてベルトコンベア式にプレスへ。 |
プリンセス、今日は早めにパッキングを万全にして、明日は早起きし、天候が良ければ予定される天下のラム畑の収穫の様子を写真にだけでも納めたいと思っています。
お楽しみに!