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2012年9月3日月曜日

シェーンベアガー創立20周年記念イベント その5 チョー気持ちいい!

イベントの翌朝、まだお酒の抜け切らぬ上機嫌で坂道をハミング&スキップ状態で町の中心部に向かって下りると、昨日すっかり仲良くなったエルマーに車中から「こんにちは」と妙な日本語で声をかけられます。で、シェーンベアガーに行くなら乗って行け、と。彼も今アルコール検知器にかけられたら、一気にアウト、という風情。プリンセス、今はまだギュンターはワイナリーだから、と答えるも、じゃあワイナリーまで乗せて行くから、というエルマーの親切に甘えることにしました。

ワイナリーはいかにも実質的な作業小屋、といった感じ。
驚いたことに、私がレストランを後にした朝の2時過ぎにもイベントはまだ終わっていなかったにもかかわらず、既に母親ミカエラは自宅で客を迎え、ワイナリーでは父親ギュンターだけでなく、息子のヤーコブと長女(名前失念)で、ワインの出荷箱詰め作業をしています。頭が下がるとはこのことです。

仕事中と知っていて邪魔をする非礼を詫び、時間はあるのでいくらでも待てる旨を伝えると、長女が「でもウィーン行のバスは一日2本しかないから」とスマホで時間をチェックしてくれます。「10時59分と17時59分」だそう。ひえ、10時59分に乗らないと、今日中にお城に帰れませ~ん!

…それを知ると、ギュンター、作業を子供たちに任せて、すぐに私を車に載せ、家に向かってくれました。プリンセス、こういうとき自分の図々しさ、というか厚かましさにホトホト嫌気が差すのですが、ここに至って「いいえ、結構です。」と言ってみたところで、後の祭り…。
メインストリートから路地に入った左手の淡いブルーのドアが入口
そんな事情で、お宅で話ができたのはほんの30分あまり。

故郷シュドオストシュタイヤーマークではなく、あえてメービッシュを選んだのは、ソーヴィニヨン・ブランだけではなく、赤もブルゴーニュ品種も貴腐も作りたかったからだということ、ワイナリーは20年前のスタート当初から一切農薬を使っていないこと、最初に買った土地は1haで、その後毎年少しずつ畑を買い足し、今は27haあまりにまでなったこと。最初の畑は古木で、それが品質に決定的な影響を与えたこと、土壌はローム、砂岩、シスト、石英など多様だけれど、サブソイルは所謂ライタゲビアゲの貝殻石灰とシストで(やっぱり!)、石灰といっても活性度は低く、ルストとの違いは、メービッシュには“ルスターショッター”と呼ばれる小石土壌は存在しないこと、などなどを手短に確認してから、本題に。

プリンセス「3年半前にあなたの赤ワインを飲んだとき、失礼ながらせっかくの素直な果実味が重たいタンニンで曇っているような印象を受けたのですが、今年Vie Vinumで飲んでみるとそれがなくなり、大きくスタイルが変わったように思います。タンニンの抽出について何かここ数年で変えた点はありますか?」

当然プリンセスが予想していたのは、マセラシオン期間を減らした、ピジュアージュの頻度を下げた、ピジュアージュ中心からルモンタージュ中心にした、セニエを止めた、発酵温度を変えた、フット・ストンピングを採用した、新樽比率を下げた(これは聞かずもがな)、などなどなのですが、答えはなんと"No"!

ええ? でも3年半前に飲んだファスプローベ(=バレルサンプル)のBF レームグルーベと、今年の5月に飲んだそれは全く別物でした。…納得行かないプリンセス。

するとギュンダーが、3年半前って09年の春? 飲んだヴィンテージは? と聞いてきます。

P: おそらく07。
G: ああ、だとするとヴィンテージのせいだ。とてもいい年だったけれど、タンニンがこなれるまで随分時間のかかった年だ。
P:うーんでも、そういうタンニンの量とか時間のニュアンスではなく…質なんです。重くて曇った…昨晩飲んだ97にもあったニュアンスです。
G: そりゃもちろん新樽の比率はあの頃から随分変わっているよ。
P:かつては新樽100%…

と言いかけてプリンセス、ハっと自分が答えの近くを掠めている直観に打たれます。

P: 新樽と言えば昨日のGV 2000は素晴らしかったですね。私はGVに沢山新樽をかけたワインが大嫌いな筈なのに、あれは新樽が沢山かかっているのに、とても美味しかった。前にテメントの同時期の新樽100%のツィアレッグを飲んだときには、やはり10年以上を経ているのに、焦げた樽香がありありで、いただけませんでした。
G: ああ、あのGV 2000年は新樽100%だけど、焦がしはほとんどなしなんだ。

ここまで来て、私が果皮からの「抽出」と思い込んでいたのは、焦がした樽由来のタンニンであることに2人してハッキリ気づきました。
G:そうだね。赤も新樽比率を減らしただけではなく、焦がしも最近随分軽くした。
P: ああ、なるほど、そういうことだったんだ! そうでなくても果皮のタンニンが強固で、しかも果実味にも力のある07に、新樽のタンニンと焦香がプラスされたニュアンスだったんですね! (対してこの春に試したヴィンテージはタンニンの完熟した09と弱めの10)

こういうのを正しく腑に落ちる、と言います。
所謂焦がしの強い樽に入れたワインは、白の場合はっきり焦げた香りが出ますし、赤でもコーヒーやらチョコレートのようなニュアンスが出て、わかる場合が多いのですが、非常にタンニンが多量かつ稠密で、しかも果実味が濃く深く力強い場合、白ほどストレートに焦げ香とは認識しづらい場合があります。

この辺で長女から「そろそろ行かないとバスに乗り遅れるわよ」と巻きが入ります。バス停はお宅のすぐ向かい。挨拶もそこそこにミカエラから「バスで食べて頂戴」とトラウベンシュトゥルードゥル(ブドウパイ)をいただき、停留所でバスを待ちます。

ところが、ギリギリの時間だったはずなのに、一向にバスは来ません。こういうときプリンセスは全く慌てないというか、どうせ遅れているんだろう、くらいに思っていたのですが、気が付けば目の前にギュンターが。「今日はお祭りだから、この停留所には止まらないのかも。僕の車に乗って」と促します。なんだか事情が呑み込めないまま、猛スピードで連れて行ってくれたのは、バスを先回りすること2つ3つ先の停留所。

シェーンベアガー家の皆さん、何から何まで本当にお世話になりました!

そしてバス&電車を乗り継いで、また4時間以上の長い帰路についたプリンセス。今度は昨晩遭遇したローラント・フェリッヒのワイン・スタイルについて、車中で色々考えを巡らせました。

2012年9月2日日曜日

シェーンベアガー創立20周年記念イベント その4 一匹狼達の意外な接点

ああ、もうあの衝撃的ショーから丸々1週間が過ぎてしまったのですね…。

プリンセスが、シェンベアガーの2000年グリューナー・ヴェルトリーナーの、はっきり樽が強くかかっているのに、とっても美味しい訳を酔っぱらった頭で考えているときに出会ったそのヒトは、下の写真に映っています。

ここでわかったヒトはかなりのオーストリアワイン通! わかっても何も出ませんけど : )

では、正解を拡大しますね。
はい、オーストリアの赤としてはパーカー過去最高得点を叩き出したモリッツMoricのローラント・フェリッヒRoland Velich、そのヒトです。

実はプリンセス、この写真を撮っている時点で彼の存在に気づいていませんでした(写真より実際はかなり暗かったし)。だってまさか、こんな一般人のイベントにポツンと彼が紛れ込んでいるとは考えられないでしょう?
で、「うーん、誰のワインに似てるんだろう…」と色々思い巡らせているとき、まさにバッタリと出会ったというか、オールドヴィンテージを注ぐ列に並んでいるときに、至近距離に立っていて、互いに「まさか?」という感じで目が合ったのです。挨拶を交わした途端に「ああ、そうだ、彼のGV St. Georgenだ!」と、疑問の一部が氷解。St Georgenの方がずっと新樽率は低いでしょうけれど。

ローラント・フェリッヒとギュンター・シェーンベアガーの組み合わせというのは、ワイン(特に赤)のスタイルからはちょっと意外…。「仲がいいの?」と聞くと「…というか、ずっと彼はいいワインを造っているしね。昨日来ないか、と電話があったので、どういう集まりかも知らずに来たんだよ」との答え。
けれど共通点もあって、どちらも業界にお友達の多いタイプではなさそう : )。所謂我が道を行く一匹狼にプリンセスには見えます。
思えばこのとき、もっと突っ込んで彼のワイン造りとギュンターのワイン造りの違いについて尋ねておけばよかったのですが、何せ例ののけ反ったお色気ショーの後のこと。プリンセスも、もうすっかり酔いが回っていますし、その場は日本文化に大きなリスペクトを寄せるローラントと、日本市場やら原発事故のその後などについて世間話をして別れてしまいました。

当のギュンター(シェーンベアガー)も、20周年記念の主役ですから、常に誰かと談笑しており、繰り返しますが、例のショーの後にワインについてのテクニカルな質問をするような雰囲気では間違ってもなく、しかも「まだノートなんか持って飲んでるの?」と笑われてしまう始末。
最後におやすみなさいの挨拶をする段になって、「本当は色々聞きたいことがあったんだけど」と切り出してみると「じゃあ、明日の朝、帰る前にウチに寄ればいい」と、思いもかけない答えが返ってきました。既に時間は2時を大幅に回っています。

プリンセス、その晩はギュンターがまだ醸造施設も買えない時代に、彼が間借りをしてワインを造っていたというワイナリー”シンドラー”のフランツ・シンドラー氏に丘のてっぺんのB & Bまで車で送ってもらい、顔も洗わず服も着替えず、そのままベッドに倒れこんでバタンキュー。

翌朝、まだお酒の抜けきらぬ図々しさで「本当に伺ってもいいですか?」と、何せ昨晩約束をした時間も時間だったし、半信半疑で電話をすると「これからワイナリーで仕事があるので、1時間半後くらいに家を訪ねて欲しい」とのこと。
朝食をし、B & Bの支払いを済ませ、坂道を下って、メービッシュ・アム・ゼーのメインストリートにあるお宅を目指したのでありました。
to be continued

2012年8月28日火曜日

シェーンベアガー創立20周年記念イベント その3 ディナー@Andrea Casarda

のっけからイキナリ物凄い写真で恐縮です : )
そうなんです、そういうディナーだったんですよ…って、いえいえ(…と、書きながらも狼狽するプリンセス)…

最初は粛々と始まりました。ギュンターの挨拶、ビュッフェスタイルの前菜とワイン…。
ノイジードラーゼー名物葦で葺いた屋根が牧歌的なレストランで行われました。
南(=左側)にあと数百メートルでハンガリー

右奥のアヒルのフォアグラに左手間のフルーツソースが美味

ギュンターを支えてきた家族達。イベント中も大忙し。
前菜もそろそろ食べ終わろうか、という頃、家族紹介があり、しつらえられた小さなステージで寸劇というか、クラシック軽音楽のようなピアノ伴奏で夫婦を演じる男女が歌います。Kabarettとでも言うんでしょうか?

実はプリンセス、ステージにエレピが置いてあるのを最初から見逃しませんでした。ひょっとして、20年プロのサックス奏者だったギュンターの演奏が聴けるのでは? …という期待が高まります。
…でも、3人の歌う音楽は、ゼーンゼン趣が違うし、第一、クラシック音楽の本場オーストリアとしてはちょっといただけないハモり具合。音楽プロパーのプロとしては悪いけれど失格!

…残念ながらプリンセスには歌詞が一部しか理解できないのですが、ときどき笑いをとっています。そして模様眺めをしていると、どんどん様子が際どくなって行きます。喘ぐ、腰を振る、…もうプリンセスにも言葉は必要ありません : )。


この叔父さんの歌はなかなか味がありました
船の上では「あれだけよく飲んでいるにしては実にお上品」と感心していたゲスト達ですが、考えてみればもうこの時点で6時間余り、途中1時間ほどの休憩をおいて飲みっぱなし。そろそろ理性が麻痺状態に突入しているのか、舞台がお下劣になればなるほどドッと大きく客席も沸く。


ハイネやゲーテの詩が替え歌になっていたり、政治ネタもあったりと、意外に文化度高し。
そして休憩を挟んで、メインはシェーンベアガーのシンボルであるアヒル。当然ブラウフレンキッシュがすすみます。因みにプリンセスがこの辺りでどのくらい酔っ払っていたかというと、同席したアイゼンシュタットから来たグループと堂々流暢な : ) ドイツ語で会話を楽しめるくらい (=危険信号)!

ブドウの実の沢山入ったシュトゥルードゥル

メインがサーヴされると、さっきまでビュッフェの料理が並べられていたテーブルに、今度はシェーンベアガーのオールドヴィンテージやら、ディナー開始後にポツポツと集まってきた親交の深い生産者のワインが並びます。こちらは最初はセルフサービスでした。

まずピノ・ノワール97を飲んでいると、エルマーに「そんな小さなグラスで飲んでちゃダメだ。バーカウンターで大きいのをもらっておいで」と言われ、その通りにすると、しっかりワインをたっぷり注ぎ直されます。長男ヤーコブも大分ワインが回ってきているのか、「君はこれも飲まなくちゃ」「次はこれ」と、プリンセスに選ぶ余地も与えず、その大きなグラスに次々にナミナミとワインを注いでくれます。

そんな訳で、もうただの酔っ払いに成り下がっていたプリンセスではありますが、ちゃんとここに来た問題意識だけは持ち続けていました。
ブラウフレンキッシュ レームグルーベ 97は、熟成して確かに円やかにはなっていますが、取材時に「せっかくのいい果実味を殺している」と思った重いタンニンは健在です。「赤はやっぱり最近の方がいい」と再確認。

一方で白は2000年のグリューナーが美味しいのにビックリ! 実はプリンセス、新樽のタップリかかったグリューナーにも殆ど興味がありませんでした。というより、むしろアンチと言ってよかったでしょう。ところがこのGVは、12年を経た今でも、新樽の痕跡はしっかりありますが、それが見事に果実味&ミネラルに溶け込み、磨き込まれた本当に素晴らしいワインになっています。
「こんなに樽がかかっているのに、こんなに美味しいってどういうこと?」…と、プリンセス、酔いの回った頭でぼんやりと考えていました。そしてまた、このグリューナーが「あるワインに似ている」と、「それが何だったか」と、やはりピンク色に染まった脳みそで幸せな思考を巡らせていました。

---とその時、プリンセスは思わぬヒトと出くわします。ヒント:そのヒトは実はこれまでの写真に登場しています。
…to be continued

シェーンベアガー創立20周年記念イベント その2@ノイジードラーゼー テイスティング・クルーズ

シェーンベアガー創立20周年イベントの第一部は、テイスティング・クルーズ。
2時間あまりかけて、ノイジードラーゼーをゆっくり一周します。
この船に乗り込んで2時間余りのクルーズ
波止場を後にしたところ
その間、一家の庭や畑で獲れたフルーツやナッツ、骨付き足1本のハムにパン、そして勿論ワイン、ビールが飲み放題! しかもワインはカレント・ヴィンテージ全種(20種近い)を、何杯でもお代わり可。


家族4人でサービスに大忙し。
語りはご挨拶のみ。ワインについての細かい説明などは一切なし。

何せ周囲は家族、仲間同士かカップル。単独参加のプリンセスは最初ちょっと寂しい思いをしましたが、天気はいいし、ワインは美味しいし、私をバス停まで迎えに来てくれた、ギュンターの親友エルマーと、彼が何度も仕事で訪れた池袋の話で盛り上がり…本当に気持ちのいい時間を過ごしました。
メアビッシュ名物の肉粒を練りこんだパン。
畑のブドウ、洋ナシ、奥がマンデル
マンデル=アーモンドの生。食べたことありますか?
こうして殻と皮を剥いて食べます。上質の杏仁豆
腐やマジパンが持つ、魅惑的な香りが口中に。
ただ、ひとつだけ困ったことが…。
業界向けイベントと異なり、ここには吐器がありません。皆どんどん豪快にお気に入りのワインを楽しそうに空けて行く中、予備のグラスをひとつもらってペッペと吐き出す、などという不調法は憚られます。
プリンセス、それでも当然全種試したい訳ですが、いくら「ほんの少し」と言っても、普通のテイスティング量の2倍以上は注がれますから、全種制覇してしまったら、ディナーの前に立てなくなることは必須。そこで、白はスタンダードなキュヴェと、取材時に良かったブルゴーニュ系に狙いを定め、赤のプレミアム・クラスはディナーでのお楽しみとし、クラシッククラスからを試すことにしました。この作戦、実はディナーに現行ヴィンテージはクラシック・クラスしか出されず、裏目に出ることにります。
シュタイヤーマーク産ハムに西洋ワサビを
たっぷり添えて。実に美味。
最初は自動的に注がれたグリューナー。面白いことにこの辺りのGVは全然スパイシーでもペパリーでもない。個性がなくてつまらないとも言えますが、こういう暑い日、戸外で冷やしたのを出されると、思わずゴクっと一息に飲んでしまいます。美味しい!
ピノ・ブランは前回の取材同様、ミネラルがキリっとしていながらカリカリ硬いところは全くなく、「ああライタベアクの味だな」と、プリーラーあたりとの共通点を感じていました。とても魅力的です。シャルドネも、ピノ・ブランより一歩ブライトで、一歩ストラクチャーも大きく、オーストリアならではのシャルドネに仕上がっていました。これもなかなかいい。

赤に移って、ハムを食べながらブルゲンラント・ロートのツヴァイゲルトからブラウフレンキッシュ、ブラウフレンキッシュ クラシーク、ブラウフレンキッシュ クレーフテン、と試して行きました。普通一番ベーシックな赤は、ツヴァイゲルトの方が飲めたりする場合が多いのですが、ここのベーシック・クラスのブルゲンラント・ロート ブラウフレンキッシュは、攻撃的なところの一切ない、なかなか包容力のある味わい。けれどクラシックには、ブルゲンラント・ロートにはない、官能的で複雑な風味が混ざり、余韻も長い。格の差を見せつけます。

そして船を下りる直前に単一畑であるBFクレーフテンを所望。やはりVieVinumで感じた通り、果実味を覆い隠すような過剰で重いタンニンはなく、キチっとミネラル感もあるので、味わいがダレません。このワイナリーの赤は、fine tunedという感じとは正反対の、よく言えばナチュラル、悪く言えばちょっと風味に垢抜けないところがあります。全赤ワインに共通する、フィニッシュに出る蒸した小豆のようなニュアンスが、そう感じさせるのでしょう。このほかほかしたニュアンスが大好き、というヒトも結構多いはず。所謂ビオ臭と称される不快な還元香では全くありません。


帰りはキャナルを通って。周辺は公園のようになっています。
なんだかんだ言って、クルーズ中にほぼ1本くらいのワインを体に入れてしまいました : )
西に傾いた陽を浴びて、プリンセスがとっても幸せな気持ちになっていたのは言うまでもありません。
これまでも数回ルスト=イルミッツ間のクルーズを経験しているプリンセスですが、細長いノイジードル湖を東西に突っ切るだけより、メアビッシュ発着でグルリ一周の方が、沢山ワインも飲めるし、景色も多彩に変わるし、より楽しいことを発見。
三々五々船を降りる参加客。
飲み放題でも騒いだり、乱れるヒトが皆無なのは立派。
さて、明日は船を降りて町に戻り、小一時間後に始まったディナーの様子です。

2012年8月26日日曜日

シェーンベアガー創立20周年記念イベント その1@遠出の訳

さて、グチもこの辺にして : )

昨日土曜は、Weingut Schönbergerシェーンベアカーの20周年記念祝イベントにお呼ばれし、はるばるノイジードラー西岸をルストよりさらに南、ハンガリーから数百メートル、というところまで行って参りました。
シェーンベルガーは、元プロ ロック・サックス奏者にして音楽教師のギュンターとミカエラ夫妻が、Mörbischメアビッシュで営むビオディナミ(デメター認証)のワイナリーです。
さすが元シアトリカル・ロックバンドの
プロ・サックス奏者。絵になります。
車があれば別ですが、公共交通機関だと接続が順調でも3時間半、下手をするを5時間近くかかる距離。当然宿を取って行く必要があります(ここからだとウィーンでちゃんとした夕食を摂っても必ず泊まりとなります、トホホ)。
なので最後まで行くか行くまいか迷っていたのですが、背中を押した理由は以下の2つ。

1)スタイルの変化
今年5月末のVieVinumで試飲した彼のワインには、3年半前、拙著執筆のための取材の際とは、明らかな変化が認められたこと。
VieVinum時のブログにも記しましたが、タンニンがより軽く円やかでエレガントなスタイルへ、という方向は9年前からプリンセスが待ち望んでいたこと。取材時に「この重苦しいタンニンさえなければ、いい果実味なのになぁ…」と残念に思っていたプリンセスは、この変化を大変好ましく思う一方で、あまりに多くのワイナリーが、振り子が逆に振れたかのように一斉にこの方向に向かっているのを、多少怪訝にも感じていました。それで、実際に何を変えたのか、どうして変えたのか、などなどその背景について、生産者に直接色々聞きたかったのです。

2)汎ライタベアク・キャラクター
オーストリアの赤、と言えばブラウフレンキッシュ、ブラウフレンキッシュと言えばミッテルブルゲンラント、というのがこの国の常識。ではあるのですが、プリンセスは最初にオーストリアの土を踏んだそのときから、本場ミッテルブルゲンラントの赤は、少数の例外(モリッツのネッケンマークトやルッツマンスブルク、ゲゼルマン、イビー、シルヴィア・ハインリッヒなど)を除いて、質はともかく趣味の問題として、特にホリチョン近辺のワインは、重く垢抜けないスタイルが苦手でした。有機やビオディナミ採用と新樽比率の低下により、ヴェーニンガーのワインにしなやかさと鮮度感が出て、イビーにも更にエネルギー感が増し、セメシュなどトラディショナルでナチュラルなスタイルの造り手も見えてきた今でも、プリンセスの赤一番の関心事は、シュピッツァーベアクやアイセンベアク、ライタベアク…(おお、見事にbergばかり!!)、と言った、むしろ周縁の、エレガントなブラウフレンキッシュです。
中でもライタベアクは、その白(特にピノブランとGVの古木)の質の高さやお値頃感、それから、厳密にはライタベアクには含まれないけれども土壌(貝殻石灰 on シスト)や中気候(特に山から吹き降ろす冷たい風)に、その影響を非常に強く受ける“汎ライタベアク”とでも呼ぶべき地帯でできるブラウフレンキッシュ(i.e., ETのマリーエンタール、オーベレアヴァルト、ヴェンツツェルのバントクレーフテン、プリーラーのゴルトベアク辺り)こそ、力と繊細さを兼ね備えた世界トップレベルの赤を造れる最高のポテンシャルを持つのではないか、と常々思っているなど、とても興味深い産地。で、このメアビッシュという土地も、その汎ライタベアクに被るのでは、と思われたからです。※ライタゲビアゲからかなり距離があるにも関わらず、ルストと異なり、メアビッシュは法制上もライタベアグの範囲内です。

さて、例によってÖBBのサイトの乗り換え時間通りには走ってくれない週末のオーストリアの交通事情。4時間ちょっとの時間を費やしてたどり着いたメアビッシュは、ルストに負けず劣らず、いやルストよりも更に魅力的な瀟洒なリゾート・タウンの趣でした。










ドイツ語で案内を受けたプリンセス、実はこの行事を業界向けイベントだとハナから思っていたのですが、参加してみれば、これは根っからの一般顧客向け! 一人で参加しているヒトなど誰もいません…(涙)。
けれどその分、ちょっと凹んでいたプリンセスの気分転換にはもって来いの楽しさでした!

と言う訳で、これから3回に分けて、イベントと翌朝のお宅再訪問の様子をお伝えします。
明日はまず、ノイジードラーゼーの遊覧船での2時間に及ぶテイスティング・クルーズの模様から。

2012年8月20日月曜日

伝統を守るということ

土曜のゲイ・ウェディングの翌日曜、夜明かしのケーター達とともに、お城ワイナリーの主、モースブルッガー一家もお片付けに大忙し!

プリンセスははじめ、お城ワイナリー一家は結婚式の場を貸しているだけで、デコレーションなどは全てケーターが持ち込んでいるものと思っていましたが、違うんです。椅子、テーブルはもちろんのこと、蝋燭の燭台やらランプやら、そうした小道具の多くが実はお城の備品。
ですからイベントが終わって持ち込み機材が撤収されると、今度は使用人を中心にお城所蔵品の片付けが始まります。

そして、そうした撤収作業一切を現場監督しているのが、夫人エファとエファ方の両親。

この朝、カードの不正使用が先日報告を受けた分だけでないことを、起き抜けのメールチェックで発見したプリンセス。なんだか気分が一層沈みがちだったので「こういうときは、まず肉体労働!」と、朝食後にお婆ちゃんとお手伝いさんが手をつけた、蠟のこびりついた燭台のお掃除を手伝うことにしました。

これが中々根気のいる作業…。蝋燭受けの皿状の部分の蝋をバターナイフで取り去った後は、同じナイフで蝋燭を挿す筒に溜まった蝋を掻き出します。粗方蝋を出し切ったところで、底の角やくぼみ部分に嵌り込んだ蝋を、今度は竹串でほじくり出し、化学雑巾で綺麗に拭き去ります。底の隅から隅まで綺麗にカスを取り除くまで、お婆ちゃんの入念なチェックが :) ! そして完璧に蝋を取り去った後に、底面を安定させるためのシート状の蝋チップのようなものを敷いて、作業完了。8本手の出た燭台を一つ掃除するのに、1時間半以上かかりました。

どうしてここまで? …とプリンセス、正直思わないでもありませんでした。
だって蝋燭を受ける筒部分は少なくとも深さが4-5cmはありますから、別に底にうっすらと蝋が溜まっていようが、外からは見えないばかりか、次の使用にも何ら差し支えることはありません。
しかーし!
燭台は少なくとも何百年の単位で使用されて来たものです。その蝋の残骸が微量ずつでも、長い年月を経て溜まりに溜まって、きちんと蝋燭が挿せないところまで来てしまったら、それを掃除するには、とてつもない力と時間が必要で、ひょっとしたら歴史ある修道院からの大切な預かり物を傷つけたり、損壊することになってしまうかも知れません。
お城はこうした文化財のような家具や調度品の宝庫。当然お掃除も優しく、丁寧に。
そう言えば、お城にVIPをお迎えしたり、クリスマスなど特別なイベントの際だけに使用されるお城所蔵の銀製のカトラリーは、シミや傷をつけずに常に銀器が柔らかな輝きを保つよう、食洗機には入れず、我々家族でひとつひとつ手洗い&手拭きしています。

伝統を守る、とは意外にこういう地味な作業に宿っているのかも知れません。

プリンセスはお城ワイナリーで、ブドウをどう育てているか、そしてそれをどうやってワインにしているか、観察したいと思っていました。そして大好きなこの近辺のワインの、それぞれのワイナリーの微妙な個性やスタイルの違いの原因が、どこにあるのか突き止めたいと思ってやってきました。

もちろん畑やセラーで様々なことを学んだり気づいたりすることは多い。でも、こういう瞬間にこそ、プリンセスは我がお城ワイナリー、シュロス・ゴベルスブルクのスタイルのエッセンス見る思いがします。

ワイナリーを統括するミッヒは、お婆ちゃんやエファがお城の備品の扱いを使用人に徹底させるのと同じように、修道院からの預かり物である、12世紀以来続くワイナリーの畑やブドウの状態に気を遣い、樽や収穫カゴ、タンクやボトルの完璧かつやさしい清浄や扱い、狂いのない配置などをカーナーさん以下作業スタッフに、妥協なく隅々まで徹底させているのです。

そうした日々の実に細かい作業の積み重ねが、典雅で優しく、けれども端正なシュロス・ゴベルスブルクならではの味わいに帰結していることを、プリンセスは少しだけ自分の手足と心で、捉えられたような気がしています。

2012年8月14日火曜日

夏休み畑偵察 その3 鳥肌の正体は珍味?

さて、昨日の続きです。
シュタインセッツ畑を後にし、お城に向かって極緩い斜面を降りていく辺りに、またまた畝の左右で仕事の全然違う部分を発見したプリンセス。
お城から一番近いホフシュタット畑。畝の左右で様子が違うでしょう?
妙に畝が広いですが、中央にあった一列が抜かれている模様。
右側は除葉も十分。キチンと下草も刈って、土も柔らかい。若木で灌漑有。
左側の木は伸び放題。除葉もちゃんとしていないし、第一土がガチガチ。
どうせ左側はさぞかし収量過多なのだろうと一瞥すると、プリンセスの背筋を何故か悪寒が走ります。…その正体は何かと近寄って目を凝らすと…
うひゃー、ブドウの実ほどの小粒のカタツムが大量に!
ご覧の通り添え木にもびっしり…
フランス人やスペイン人はこれを見てヨダレを垂らすんだろうか?
ああ、これがWeinbergschnecker ヴァインベアクシュネッカー=ワイン畑カタツムリと呼ばれているやつですね! 仏のエスカルゴやアンダルシアのタパとして人気の高いチコと同類のはず。
いやあ、でも気持ち悪い…とても食欲は湧きません。
特に若木を覆った緑色のプラスティックの筒…。それを見てプリンセス、鳥肌どころか卒倒しそうになりました。
すさまじい大量発生。
さらに小さなゴミにようなブチブチは、卵なのか、ウンチなのか??
ところで、ハタと気づけば、手入れの行き届いた右側の列にカタツムリは全くいません。
何故だ?
ここからはプリンセスの想像ですが、手入れが悪い→農薬&化学肥料沢山、と見るのが順当。でもまさか農薬にカタツムリは集まって来ないでしょうから、何か美味しい肥料でも撒いているのでしょうか?

後から色々調べてみたところ、カタツムリは別にブドウに悪さはしないらしい。けれど、畑の土の死に具合と、このカタツムリの異常発生のコントラスト…。なにかとても不健全な印象です。いや、もっと深読みしてみれば、右の健康に見える若木の方こそ、「GVにこんな土壌で灌漑までするなんて、手入過多の兆候。農薬もタンマリ撒かれていて、そのため生物が皆右列から左列に移動した」と考えられないこともありません。…そういう風には全然見えませんけど。

あさってからワイナリーも休み明け。真相はミッヒかカーナーさんに尋ねてみることにします。