プリンセス、昨年末から年初にかけて、せっせとワイナリーを回っています。
この時期畑は雪に覆われているか、溶けていれば土がベチャベチャなことが多いし、第一クソ寒いし、ワインも2012の単一畑ものを味わうには、まだまだ早いし…ということで訪問に決してベストな時期ではありません。
ただ人気ワイナリーの単一畑ものの場合、白の2012のベーシックから中間クラスのリリースされる春には、2012年ものの購入量などをきちんとリザーブする必要がある上、新規扱いとなるとその時期では既に遅いことも有り得ます。しかも春になると、オーナーやワインメーカーはプロモーションで不在か、わざわざワイナリーに居るときは居なければならない切羽詰まった用事があることが多い。全ての畑を見せてもらったり、哲学をゆっくり聞いたり、という時間はなかなか取ってもらい難いもの。結局、前年度のワインの仕込みが終わり、最もベーシックなワインの出来もはっきりしたこの頃が、裏方としては情報の掻き入れ時なのです。
そんな訳で、12月30日(日)という非常識なタイミングで訪問を決行したのが、ウィーンのHajszan Neumannハイサン・ノイマン。
伝統を誇るワイナリーの多いウィーンにあって、2005年創業という新顔。ハイサン氏とノイマン氏のジョイント・ヴェンチャー・ワイナリーです。ハイサン氏はウィーンでビア・パブを成功させた人物。もう一人のノイマン氏は有名な建築家。実際のワイナリー・オペレーションはワイン・メーキングを含め、ハイサン氏が行っています。※ハイサン氏にノイマン氏が合流し、ハイサン=ノイマンとなって、まだ2年経っていないので、本当に出来立てホヤホヤ、です。
ところで、プリンセスが日本市場におけるホイリガーやゲミシュター・サッツ、そして観光地的クリシェをなぞるだけのウィーン・ワインの安易なプレゼンテーションに複雑な思いを持っていることは、ブログ読者の皆さんもご存知か、と。
安酒の代名詞と堕していたゲミシュター・サッツ再興の動きは、私自身その先鋒を担いで来たのですが、最近は特にそのトレンド化が著しく、おや??…なことも多い。
「混植された単一区画の少なくとも4種類以上のブドウを一度に収穫し、一度に混醸する」というゲミシュター・サッツ本来の定義から外れたウィーナー・ゲミシュター・サッツが増えているし、様々な政治的圧力により、法的な定義もブドウは3種に減るは、付帯要件は外されるはで骨抜きになってしまったし、「ブドウ数ギネス新記録!」という触れ込みで、完全な口コミ狙いで試験畑のブドウを商品化するワイナリーすらあります。
プリンセスとしては、正統派のグリューナーやリースリングの銘醸畑ものすら定着しているとは言えない日本市場で、ゲミシュター・サッツや新酒ばかりが、ある種の「色物」として本国以上に持て囃される傾向を、素直に喜べないところがあるのです。深情け、ってやつですかね:)
まして、こちらで300-400円からせいぜい700-800円で買える(ボトルの値段。グラスじゃありません:)ユンカーや新酒の類が、日本のレストランでボトル7,000-8,000円で売られている状況を目の当たりにすると、冗談ではなく気絶しそうになるのです。
でも、誤解しないで下さい!
プリンセスはミネラルに溢れつつも軽やかなゲミシュター・サッツが大好きです! こんなにウィーン「らしい」、ひいてはオーストリアらしさ溢れる飲み物はない、とさえ思います。そして、地元のホイリゲで気軽にホイリガーを飲むのはとても寛ぐし、その楽しい風習を日本に持って来る動きも、オーストリアワインを普及させるためには大切なこと、と応援しています。
ただし、プリンセスは「クリシェにまみれたウィーン」とはひと味異なる、「エキサイティングなウィーンの今」を日本の皆さんにご紹介したい、と常々思っていました。
クラシック音楽のみならず、ジャズや打ち込み音楽にも独自のセンスを発揮し、建築、演劇でも世界をリードする文化都市ウィーンの山々や畑で、今起こっている「グリーン・ムーヴメント」を体現するようなウィーン・ワインはないものか…。
漠然とそんなことを思っておりました。
そんなプリンセスの思いに、ズバリはまったのが、このハイサン・ノイマンHajszan Neumannだったのです!
実はこのワイナリーを知ったのは単なる偶然。友人ソムリエ夫妻とウィーンでランチをした際に頼んだ、(ワイナリー名すら書いていない)普通のグラスワインのゲミシュター・サッツが、いかにも「らしい」ミネラル溢れる味わいだったので、ちょっと事後調査してみたところ、このワイナリーのものだと判明。数種をワインショップで購入し、アイテムを品定め。
品質に確信を得たところで、いざワイナリーを直撃! と相成ったのであります。
では、次回はその訪問の様子をお伝えします。お楽しみに!