2012年5月9日水曜日

遅ればせながら、トゥール・デュ・ヴァン報告

今年も昨週末に開催されました。トゥール・デュ・ヴァン Tour du Vin。
ドナウ周辺のトップワイナリーの組織であるトラディツィオンスヴァインギューター Traditionsweingüter加入のワイナリーが土日に一斉一般開放され、スタンプラリー形式でお気に入りのワイナリーを回りながら、自由にワインがテイスティングできる、というイベントです。
もちろんこの日に合わせてセラー見学やら、畑へのハイキングやら、他の食品即売やら(うちではオリーヴオイルでした)…他のお楽しみベンドも盛り沢山。4日、5日の土日でお城ワイナり―には約1400名のお客様が訪れました。
左手前の男性の民族衣装、素敵でしょ。他にも若者の民族衣装姿多し。















見よ、この高い天井を! 
こちらに来た当初、プリンセスはこの隣の部屋で休んでいました。


プリンセスは去年に続いて2回目。昨年はまだお城ワイナリーに来て1か月余り故、怖いもの知らずで誰にでも臆せず英語でしゃあしゃあと話しかけていました。ワインの説明も当然英語。
今年は既にこちらにお世話になって1年が過ぎ、この辺の地元民があまり英語を解さない、多少わかってもやはり不自由で使いたがらないヒトが多い、という事実を十二分に理解しましたので、全て不自由なドイツ語で通しました。
でも、そうすると色々説明してやろう…って意欲が萎えるんですよね。お手伝いに来ているエファの友人達は、ワインのことなんか全然詳しくないのに、訪れる人々の世話話に相槌を打ったりしながら、楽しそうにお客様をエンターテインしています。プリンセスにはドイツ語でそんなことのできる技量はありません…いと哀し。
…と、プチ疎外感に打ちひしがれていたプリンセス…。


テイスティングに訪れるワンコ達もプリンセスのお楽しみのひとつ。

ただ、考えてみれば、トラディツィオンや甘口など特殊なワインを除いて、目の前にある全てが私の収穫したブドウが多少なりとも入った2011年ヴィンテージのワイン達です。
それをこうして沢山のお客様に、ワイナリーの一員としてサーヴできるとは、なんと誇らしいことでしょう!!
それに、お手伝いのヒトは「残糖は?」とか「発酵や熟成の容器は?」「熟成期間は?」などテクニカル&オタッキーな質問をされると、笑ってゴマかしていますが、プリンセスの場合、そういう質問が来ると俄然目が輝きます。しかも、聞かれてもいないのに、樽の材質や産地、各畑の土壌まで語ってしまいます : )。まだまだ単語に毛の生えたレベルですが、そういうことをちゃんとドイツ語で言えるように、気が付けばなっているのでした。
…この歳でもゆっくりながら進歩するんですよ。誰も褒めてくれないので、今日は自分を褒めて上げることにしよう…。
お城の大広間(元プリンセスの寝室の隣)ではウチとブリュンドゥルマイヤーの試飲が。
中央は御大ヴィリー。こうしてお客さまの中に入ってワイン談義を楽しみます。

こちらは我が当主ミッヒ。イベント終了間際でも、どんどんワインを開ける太っ腹。
夫人エファも話し込んでいます。
トゥール・デュ・ヴァンは、大体5月最初の週末に行うことが多いので、連休でウィーンにお越しの際は、是非スケジュールをチェックの上、足を伸ばしてみて下さい。

2012年5月7日月曜日

哀愁のブダペシュト

プリンセス、できれば土曜中にお城に戻りたかったんです。

…というのは土日にトラディツィオンス・ヴァインギューター主催のイベント"Tour du Vin トゥール・デゥ・ヴァン"がドナウ一帯のトップワイナリーにおいてスタンプラリー形式で開かれており、いつもお城ワイナリーにお世話になっている私としては、こういうときくらいお手伝いしなかったらバチが当たる、というもの。
なので、土曜の晩にトカイからブダペシュトに戻る時間如何では、そのままウィーンへの汽車に飛び乗ろう、と思っており、最終日はホテルを予約せずにおいたのでした。

けれど戻り時間の目鼻のついたのが、木曜の晩。お城はおろか、ウィーンにすら戻れる時間ではありません。なので木曜の夜中の時点で、booking.comで土曜の宿を取ろうとしましたが、中心街で予算内で泊まれる部屋は、ひとつしかありませんでした。No choiceです。
加えて、またいつものことで、予約したホテルと「予約した積りになっていた」ホテルが違っており、そのため4泊分の荷物&講義資料やら何やら&トカイで購入したワイン4本、を引きずりつつ1時間以上ウロウロするハメに…。道を尋ねようにも、英語はなかなか通じません。プリンセス、自慢じゃありませんが、ハンガリー語はイーゲン(yes)以外、アイウエオすら解しません…。

ああ、でも、ウロウロくらい今思えば可愛いもの。
ようやく夜10時過ぎになんとか辿り着いたホテルは…

●高速と大通りが交差し、物乞いなども散見される、イヤーな感じの立地。
●ホテルのある建物の下は浮浪者一歩手前風の男どものたむろす、猥雑な一角。
●フロントのある5階までのエレベーターは超狭。プリンセスとカップル客が一緒になると、閉所恐怖症のプリンセスは、血の気が引く位、半端ない圧迫感…
●フロントで明日の朝食は朝発つ時間が早過ぎて食べられないことが判明。
●フロントから部屋までは階段。エレベーターはなし。

でも何よりもプリンセスが泣きたくなったのは…
●部屋に入った途端、ク、クサイ!!!!! ドブ臭い…
●しかも目と鼻の先が高速。当然うるさいので窓を閉めたいけれど、臭くて臭くて閉められたものではない…。
●バスルームには石鹸やシャンプーがないのはもちろん、バスタオルすらなく、雑巾か?と思うほど薄汚い、端のほどけたハンドタオルが一枚…

随分色々なところを旅しましたが、おそらく人生最悪の宿…。もう少し時間が早くて疲れていなければ、予算なんか関係なく、もう1泊分ドブに捨てようがなんだろうが、別のホテルを探しましたが…
もう疲れ果てて、そういう気持ちにすらなりませんでした。

今回のハンガリーは、授業、特にワイナリー訪問は大充実(後日のブログで報告します)でしたが、宿と足に最初から最後まで悩まされ通し。

ああ、クサい、もうたまらない!!!!
このままでは眠れない…と思い、冷蔵庫に入ったハンガリー名物のパーリンカ(強いシュナップス)を呷って、高速の騒音消しにテレビの音楽チャンネルをつけっ放しに、眠りにつこうと努力…

ところが翌朝、何せ悪臭と騒音でほとんどきちっと眠っていないのですが、
●フロントから、「電車の出発まで30分だけど、出なくていいの?」と部屋に電話が入りました。→実はプリンセス、フロントに電車の時間を伝えておきながら、自分では6:05分出発を、どういう訳か6:55出発と、またまた得意の勘違い!
●しかも慌ててフロントに降りると、「僕が朝食を作っておいたから」と大きなビニール袋を渡してくれました。
へえ、ハンガリー人って優しいじゃん♥

そんな訳で、プリンセス、大荷物の上になんだか大振りな朝食バッグを携えて駅へ駆け込みました。昨晩は逆方向から来たので気づきませんでしたが、なんとブダペシュトの一番大きな駅が、目の前!!! (ああ、あの怪しさは立地のせいだったのね…) お蔭で時間の勘違いにもかかわらず、滑り込みセーフ! 缶ビールを買って、出発と同時にフロントのお兄ちゃん手作りの朝食をいただいたのでした。ええ、昨晩は結局疲れ過ぎて何も食べる気になりませんでしたから。
チーズとサラミを挟んだバンズ2つとストロベリーヨーグルト、そしてオレンジジース…。
ハンガリ―人の温かさに触れた思わぬ朝食で、お腹一杯、胸も一杯。
ビールも飲んで、ウィーン・マイドゥリングまでしっかり眠りにつきました。
プリンセスの目に感謝の涙が浮かんだことは言うまでもありません。

2012年5月5日土曜日

”ハンガリー” どこよりも新しいワイン大国

学校の特別クラスでハンガリーに来ています。
ブダペストでの授業を終え、昨日はエゲル、今日はトカイを回ります。

オーストリアの隣国でありながら、なんて対照的な国なんでしょう!
気候(なんたってパノニア気候っていうくらいでずっと暑い)も土壌(火山性土壌が大部分)も、文化(そもそも民族的にヨーロッパの孤島的にアジア系)…と何を取っても大違い。造られるワインもゼーンゼン違います。
とは言うもののオーストリア=ハンガリー帝国であった時代も長く、ブラウフレンキッシュ(こちらではケクフランコシュ)やらヴェルシュリースリング(同オラース・リースリング)、そしてご存知フルミント(は、なんと言ってもハンガリーが本家でしょ)などなど両国が"固有地場品種”を主張するなど、ブドウ的には重要なモノがカブっています。
では、何がこの国のワインを捉える上で一番大切なのか…
社会主義だった50年間ではないかと、プリンセスは思っています。
50年の間に古木は抜かれ、伝統的家族経営ワイナリーはその存続を断念せねばならず(民主化後買戻しの動きもありますが)。…つまりオーストリア同様修道士によって築かれた長い伝統を失うのに、50年というのは十分長い時間であった、という点です。
それでも、彼らは過去植えられていたブドウを知っています。過去の銘醸畑も、当時の仕立方法も、生き証人のような人々がまだ残っていますし、その気になれば文献に残っていますし、…。
多くのニューワールドが、土地に適したブドウを見つけるところからスタートし、仏のメジャー産地以外のおそらく世界中のワイン産地がインタナーショナル品種&新樽信仰を経て今に至るのと異なり、大半のワイナリーがそのトレンドの最中或いは後に設立されている、という特殊な国ハンガリー。

では、エゲル&トカイ訪問報告を月曜以降にお楽しみに!

2012年5月2日水曜日

ハンガリーへ受難の旅?

プリンセス、子供の頃からお騒がせな人間でした。…そう、いつでもプリンセスの行くところ、事件が一杯! いえ、私が何かやらかさなくても、私の周囲には常にひと悶着…ま、低気圧みたいな人間ですね(低血圧でもあります)。

昨日も朝食後に食卓で新聞を読んでいると、長女のアナが興奮して入って来ます。
Anna:プレスハウスで、レーがガラスにぶつかって、血が出て、死にそう…
Princes:レーって何?
Anna:(頭の上に腕を伸ばして)ほら、こういう長い角があって、鹿みたいでもっと大きくてクリスマスの橇を引く動物…
Princes:ああ、トナカイね(とは言いませんでしたが)。それでどうするの、そのトナカイ?
Anna:パパがハンターを呼んで、持って行ってもらうみたい。

この時プリンセス、現場にかけつけて写真に収めようかとも思いましたが、そういうモノを見てしまうと、また昼が食べられなくなると困るので、遠慮しました。

そして今度は夕食後。自室でティーレマンのジークフリートをラジオで聴いていると、裏門のベルが鳴っているのが聞こえます。既に家人はプライベート・スペースに引っ込んでいるはず。私が門を開けようとして出ると、2週間交代で、さっき出て行ったはずのお手伝いさんAnna(長女と同じ名前)と、入れ替わりに到着するはずのお手伝いさんDanna(登場人物、実に紛らわしい)が、二人並び立ってスロヴァキア語で何やらまくしたてています。
あまりの剣幕にプリンセス、「さわらぬ神に祟りなし」とばかりに、自室に引っ込みます。少しして夫人エファも出てきたので、今一度様子を伺いに出てみました。
スロヴァキアからこちらに向かう車が、ゴベルスブルクに入るほんの手前で交通事故を起こしたとか。ダナは左の頬を強く打ったようですが、幸い怪我はありません。相手は飲酒運転で、事故車はともに警察の取り調べを受けるので、ダナが乗ってきた車でスロヴァキアに帰る予定だったアナは、その日のうちに家に帰ることが不可能となり、ダナと一緒にパトカーで戻って来た、という訳です。

そして今日。今プリンセスは学校の特別クラスのためハンガリーに向かう車中です。昼の11時か1時にゴベルスブルク無人駅で電車に乗れば、問題なくブダペストに午後7時までには入ります。電車とバスの接続が悪いことも考慮し、両方のプランをプリントアウトした上で、早い方の電車に乗ることにしました。
いつもウィーンに向かう時に使う急行で終点フランツ・ヨーゼフ駅まで。これは楽勝。
次のトラムで12,3分、というのが嫌な距離。初めての路線故、停留所名のアナウンスに神経を集中していなければいけないのに、ついつい置いてあった新聞のマイヌル・アム・グラーベン改築の記事に夢中になってしまい、気が付けば終点のプラーター・シュテアン! あの第三の男で有名な遊園地のあるところ. でも目的地はひとつ手前の停留所でした。傷は大きくありません。ドンマイ、ドンマイ。
そして、スーツケースを引き引きひとつ手前の停留所まで戻ります。
果たして、そこには大型バスが! しかも行き先はブダペストとあります。「助かった」と思いました。バスの発車予定時間5分前。
ところが、
中を覗くと、ドライバー風の男とバスガイド風の女が、上着を脱いで、リンゴなど剥きつつ寛ぎ呆けています。しかも乗客は人っ子一人いません。「これが出発5分前?」といぶかるプリンセス。聞けば、このバスは6時発とのこと。
P「1時発のバスは?」
Bus guide「さあ」
P「ここはミュールフェルトガッセよね。他に停留所は?」
Bus guide「さあ、わかんないわ」
プリンセス、いかにもローカルな感じの通行人にバス停留所の場所を尋ねますが、「ここ以外知らない」とのこと。
ここで頭をよぎったのは1月の学校への道中。あの時は予定通りのバスが来なくとも、土地勘があったので、歩きと次のバスでなんとかしのぎましたが、今回の目的地は正真正銘の「外国」です。しかも過去2回は飛行機で入った場所。いやーな予感がしてきました。本当に今日中に辿り着くのでしょうか?

そうそう、悪いことにはおまけもあるんです。実は今回の特別コース、全て宿泊はブダペストだとばかり思い、今日から3泊予約をしたのですが、今朝改めて予定を確認すると、最終日は学校側で宿を手配してくれていたのでした。今日からの宿泊ですから、あさっての晩だけのキャンセルであっても、キャンセルは100%チャージされる、とのことで、年末に引き続き、1泊分の宿泊料をドブに捨てた格好です…。
得意のとほほ…。

まあ、そんな訳でいつものことながら、暗雲が立ち込めています。
皆様、このブログをこちらの今晩、日本の明日午前中に読めたら、プリンセスは無事今日中にブダペストに入ったと、もしもブログが午前中までに更新されていなければ、問題山積で同日到着を果たせなかった、とご理解下さい。
因みに授業は明日朝9時から、ブダペスト郊外の、ホテルから1時間余りの場所で行われます…。

それでは皆さんご一緒に♪
♪とっほほ~のほ~♪

2012年5月1日火曜日

プロイドル、本物、太鼓判 その5 廃墟より

エーレンフェルスの超急斜面。「60度くらいモーゼルやミッテルラインではよくあるよ」と、言われそうですが、別に畑は斜度のキツサに単純に比例していいブドウをつける訳ではありません。だったらブルゴーニュよりモーゼルの方が断然銘醸地になるし、ボルドーなんか目も当てられない、ということになりますよね…。
まあ、でも斜度が急だと興奮します : )…プリンセスも、プロイドゥルのワイナリーに向かう車中、ゼンフェテンベアクの町に入る手前で、それこそ60度を超すような斜面にブドウが植えられる様を見て、「うわ、これあなたの畑?」と嬉しくなって尋ねました。…と、長男フィリップの答えは「ああ、北西向きのこの斜面はホビーヴィンヤードね」というもので、大いに肩透かしを食ったりしています。
斜度がきつくなればなるほど、その向きが決定的に重要になる、というのはヴィジュアルを想像していただけたら、おわかりか、と。
ゼンフテンベアクの廃墟

ここでプリンセスの頭を掠めたのは、タルコフスキーの“ノスタルジア”のラストシーン
廃墟下のあたりでクレムス川は激しく蛇行し、おかげでここに南東~南向きの理想的超急斜面がカタチ作られます。
エーレンフェルスはその点、寒冷限界栽培地に欠かせない太陽光をしっかり受け止める真南(大半)から南東向き。しかも斜度がキツイことは、ここでは別の意味も持ちます。北(=背後)に控えたヴァルトフィィアテルの森から吹き降ろす冷たい風から、斜度がキツイゆえ、完全に畑が守られる、という点です。しかも強風からは守られますが、酸を保持し、ゆっくりと複雑な香味を育むために必要な冷気は、下にストンと落ちる訳です。
この畑のグリューナー・ヴェルトリーナー&リースリングの持つ、独特にコンパクトなミネラル感は、こうした、斜度だけではない、その斜度の生きる特異な環境要素が全て重なり合った結果であることが、廃墟から彼の他のエアステラーゲを眺めた上でエーレンファルスを見下ろすと、はっきり納得が行きます。
ホッホエッカーの畑。廃墟の南側にあります。ここは風にさらされます。

ホッホエッカーの更に南の下方がラーメルン畑。道路と川の並行する、ずっと南の先にクレムスの町があります。



センフテンベアクの町。
ところで、プリンセス、明日からハンガリーで学校の特別クラス。それまでに大量の翻訳を終わらせようと根を詰めていたら、また、アテンドで下手糞なドイツ語を話し続けねばならぬ状況に陥り、おとといあたりから神経性胃炎になってしまい、昨日は遂に寝込んでしまいました。
けれど今日はしっかり睡眠を取り、お散歩もしたので随分体調は回復。
再び、廃墟からエーレンフェルスを真下に眺めるの図。
わざわざ私をここまで連れてきてくれたフランツ・プロイドゥル
明日からのハンガリーでも、B & BのWiFiさえちゃんとつながれば、プロイドゥルシリーズ最終章をお送りしますので、お楽しみに!

そして、土曜に行くトカイからの報告、さらに日曜はトラディツィオナル・ヴァインギューター主催のイベント“トゥール・デュ・ヴァン”の様子を順次お伝えする予定。…ったく寝込んでる暇なんかないイベント目白押し!

2012年4月29日日曜日

プロイドゥル、本物、太鼓判 その4? 超急斜面

お客様のアテンドでずっと時間が取れませんでした。

では、つべこべ言わずに今日はその、プリンセスの惚れ込んだグリューナーとリースリングを産むエーレンフェルスEhrenfels畑をご覧いただきます。
>>因みにあの日は重い土にタイヤが嵌ってしまい、畑には入れず、小さなの2枚はウェブサイトより拝借。

現在の遠景
急斜度がよくわかるカット
第一次世界大戦前のエーレンフェルス。もの凄く細かい段と超密植。
お父さんの頃。斜度のキツイ右手前(=南東)の畑が森林になっているだけでなく、
南向斜面も石段がなくなって妙なことに。
アングルと接近度が多少違いますが、現在。フランツが復活させた段状畑。段の幅は昔より広い。
廃墟から見下ろしたところ。畑はこの真下急過ぎて見えません…。
下方の赤レンガのコの字型の建物がニグル。
さて、もう1枚、驚きの写真をお見せしましょう。
フランツが手にするパネルで、一番濃い緑の部分は森林ですが、ブドウ畑の中で周囲より緑色が濃い区画は、全部彼の畑です。百聞は一見にしかず、とはこのこと!

因みに彼はビオディナミでもオーガニックでもありません…。

2012年4月25日水曜日

プロイドゥル、本物、太鼓判 その3 テイスティング 辛口編

プロイドゥルを訪ねたのは土曜。
当主のフランツは、セラードアでの試飲目当ての客を相手しているので、プリンセスは窓側のテーブルに座って、奥さんのアンドレアにワインを注いでもらいます。
…おっと…息子達は英語が上手かったのに、彼らはあまりできない模様。仕方ない、プリンセスの下手なドイツ語で質問するしかありません。以下、テイスィング・コメント。☆はプリンセスの感激度。

最初のワインはGV "Freiheit" 2011 ☆(以降断りのない限り全てvintageは2011)
実はこのワイナリー、畑名ではないワイン名にはスペイン語の吹き出しのように左下と右上にチョンチョンのつく“”を付けています。“”付はこちらで言うところのSites Cuvee、つまり色々な畑の若木や最初の収穫のブレンドだと思って下さい。
セラードアでたったの€5.40のワインにもかかわらず、しかも熱波のあった11年にもかかわらず、とてもフレッシュな酸、適度なミネラルと果実味。余韻こそ長くはないものの、見事! 

ところで、お断りしておきますが、テイスティングを始めた時点で、プリンセスは高原台地状の畑しか見せてもらっておらず、このヒトの看板畑が、ニグルからいつも見上げていた超急斜面であることも、その名前がエーレンフェルスであることも、全く知りません。
また、各畑の土壌も、あえてテイスティング前には聞かず、コメントを書いてから聞くようにしました。知識を先に入れると、ワインをそれらしい味に捉えてしまうからです。

2番目はGV Rameln ☆☆:原成岩と小石
ハネデューメロンとミネラルを予想されるコンパクトな香り。これだってたったの€6.70だけれど、はるかにシリアスなミネラル感とよく締まったテクスチャー、スパイス。抜群のコスパ。

3番目はGV "Burg" :砂、砂がちのレス
Pellingen畑の若木(5-10yrs)より。優しい個性。粉砂糖風味とやや焼けた感じの果実味。最もパワフル。その余韻の長さからもRamelnより遥かにクラスが上なのはわかるが、多少苦みもあり、私の好みではない。

ここで、グラスを大振りのものに変えて、ここからはFassprobe(=barrel sample)

GV Pellingen Alte Reben (30yrs +):砂、砂がちのレス
黄色の花と熟れた果実の香り。カモミール、ボリューム感、酸はやや低めで鈍いが、余韻は非常に長い。このワインのみ、発酵が終わって1か月後に大樽へ移して熟成。他は発酵&熟成ともにステンレスタンクのみ。

GV Ehrenfels ☆☆☆ 1989-90にかけて植えた畑:Gクナイス on 花崗岩
ずっとタイトで内に秘めた香り。伸びのいい酸。石果風味がとてもピュア。フランツは塩辛いミネラルと言うけれど、プリンセス的にはスパイシーなミネラル(注:前者はプリンセスにとっては石灰土壌のミネラル。後者はやや酸性に傾く岩土壌のミネラル)。リニアで長い余韻。

ここでフランツと、ワインを味わいに来ていたフェルディナンド・マイヤー氏(ヴァインアカデミーの講師。プロイドゥルで自分のワインを造っている)を巻き込んで、エクストラクトの話になりましたが、それはまた別の機会に。
そして、小さなグラスに戻って、リースリングへ。

Riesling "Steilheit" ☆
白い小ぶりの花、ジャスミン。能弁でやわらかい酸。余韻は長くないが、多少の残糖と酸のバランスも抜群。€7.65のリースリングとは思えない出来の良さ。

Riesling Rameln
ちょっと内気な、締まった香り。スパイシーなミネラルと多少の苦み。熱さと強さ。長い余韻。

ここでプリンセス、同ヴィンテージの2つのベーシックなリースリングの、土壌、樹齢、収量差などから出る微妙な差とは異なる、あまりにあからさまなキャラの違いに、「何か醸造方法に決定的な差はありませんか?」と質問。
果たしてフランツの答えは「最初のはMLFしてるんだ。万人向けにね」
「ガビーンンン!」…ここで初めて、プリンセスは、最初の本の取材候補に挙がっていながら取り上げなかった経緯を、まざまざと思い出しました!

気を取り直してGelber MuskatellerとMercaz Roseへ。コメントは省略。そして再び大きなグラスでRieslingのバレルサンプルへ。

Riesling Pfeningberg ☆ 南西向き、片岩の上に砂とレス
青っぽさを伴うシトラスと焼けたニュアンスが混ざる香り。湧き出るようなエネルギー感はないが、良質の酸。ミネラルと熟した果実味。バランス良い。長い余韻。

Riesling Ehrenfels ☆☆ 89, 90年に植えた畑
閉じた香り。湧き出る酸。抜群の透明感。かなりスパイシー。とても長い余韻。大好きなタイプながら、まだワインとして未熟。

Riesling Hochäcker Gクナイス on 花崗岩 南と西
深く柔らか味のある黄色い花の香り。酸はEhrenfelsほど高くない。力強く腰が据わった印象。余韻も十分。

長々とお付き合いいただきましたが、ここまで読んでいただいて、プリンセスの♥が、テイスティング中から“エーレンフェルス”畑に集中していることがおわかりいただけるか、と。ただし、試飲の順番からしても、それがワイナリーで最も高価だったり、最も力強いワインでないことは明らか。しかも、バレルサンプルのリースリングはGVより全体的にまだ未熟で、特にこの畑のものは内気で閉じた印象。でも、両品種を貫くその勢いのある酸とコンパクトなミネラル感、凛とした佇まいに、プリンセスは心底惚れ込みました。

さて、この辺りでフランツが合流。そして手にしていたのは…