エーレンフェルスの超急斜面。「60度くらいモーゼルやミッテルラインではよくあるよ」と、言われそうですが、別に畑は
斜度のキツサに単純に比例していいブドウをつける訳ではありません。
だったらブルゴーニュよりモーゼルの方が断然銘醸地になるし、ボルドーなんか目も当てられない、ということになりますよね…。
まあ、でも斜度が急だと興奮します : )…プリンセスも、プロイドゥルのワイナリーに向かう車中、ゼンフェテンベアクの町に入る手前で、それこそ60度を超すような斜面にブドウが植えられる様を見て、「うわ、これあなたの畑?」と嬉しくなって尋ねました。…と、長男フィリップの答えは「ああ、北西向きのこの斜面はホビーヴィンヤードね」というもので、大いに肩透かしを食ったりしています。
斜度がきつくなればなるほど、その向きが決定的に重要になる、というのはヴィジュアルを想像していただけたら、おわかりか、と。
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ゼンフテンベアクの廃墟 |
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ここでプリンセスの頭を掠めたのは、タルコフスキーの“ノスタルジア”のラストシーン |
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廃墟下のあたりでクレムス川は激しく蛇行し、おかげでここに南東~南向きの理想的超急斜面がカタチ作られます。 |
エーレンフェルスはその点、
寒冷限界栽培地に欠かせない太陽光をしっかり受け止める真南(大半)から南東向き。しかも
斜度がキツイことは、ここでは別の意味も持ちます。
北(=背後)に控えたヴァルトフィィアテルの森から吹き降ろす冷たい風から、斜度がキツイゆえ、完全に畑が守られる、という点です。
しかも強風からは守られますが、酸を保持し、ゆっくりと複雑な香味を育むために必要な冷気は、下にストンと落ちる訳です。
この畑のグリューナー・ヴェルトリーナー&リースリングの持つ、
独特にコンパクトなミネラル感は、こうした、斜度だけではない、その斜度の生きる特異な環境要素が全て重なり合った結果であることが、廃墟から彼の他のエアステラーゲを眺めた上でエーレンファルスを見下ろすと、はっきり納得が行きます。
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ホッホエッカーの畑。廃墟の南側にあります。ここは風にさらされます。 |
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ホッホエッカーの更に南の下方がラーメルン畑。道路と川の並行する、ずっと南の先にクレムスの町があります。 |
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センフテンベアクの町。 |
ところで、プリンセス、明日からハンガリーで学校の特別クラス。それまでに大量の翻訳を終わらせようと根を詰めていたら、また、アテンドで下手糞なドイツ語を話し続けねばならぬ状況に陥り、おとといあたりから神経性胃炎になってしまい、昨日は遂に寝込んでしまいました。
けれど今日はしっかり睡眠を取り、お散歩もしたので随分体調は回復。
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再び、廃墟からエーレンフェルスを真下に眺めるの図。 |
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わざわざ私をここまで連れてきてくれたフランツ・プロイドゥル |
明日からのハンガリーでも、B & BのWiFiさえちゃんとつながれば、プロイドゥルシリーズ最終章をお送りしますので、お楽しみに!
そして、土曜に行くトカイからの報告、さらに日曜はトラディツィオナル・ヴァインギューター主催のイベント“トゥール・デュ・ヴァン”の様子を順次お伝えする予定。…ったく寝込んでる暇なんかないイベント目白押し!