この年になってもやってます。お昼に栽培醸造長のカーナーさんと一緒になると、食後に必ず、と言っていいくらい、何か聞いてます。
"Ich habe eine Frage(質問があるんですけど)"と切り出すと、「またか」とばかり、カーナーさんは苦笑い。
さて、今日の今さっきの会話…こういうの、典型的なので書いておきます。因みに今日はミッヒも一緒。
P(プリンセス):うちの白ワインで、除梗するものはあるの?
K(カーナーさん):ゼロ。除梗は一切なし。
P:それって、この辺りでは普通のこと?
M(ミヒャエル):いや。オットなんかは全部除梗。100%ホールバンチは少ないと思う。
P:それはホールバンチだと梗まで完全に健康な房でないとダメだから?
K:(ほらほら、来たぞ、いかにもワインジャーナリスト的質問、という顔で含み笑いをしています)
M:ゆかり、多くのワイナリーにとって、それは物理的理由に過ぎないんだよ。
P:???
M:全部のブドウをホールバンチプレスするほどプレス機を置けない。時間も足りない。
P:ホールバンチの方がエレガントで柔らかい果汁が得られる、のよね。
M:確かに酸はより高く、フェノールはより低い。でも、本当に小さな差さ。
K:本を沢山読み過ぎるとよくないよ(笑い)。
こちらに来て、こういう遣り取りが何度あったことか…。
その度に、我々ワインジャーナリスト或いはワイン愛好家という人種が、いかに現場にとっては「見当違い」な質問(その多くが、ワイナリーの実際的事情を全く理解せず、勝手に頭でっかちに、ある特定のコンセプトなり専門用語を振り回す類)をしているか、に気付かされます。
しかもその現場にとって見当外れな質問に対して、明確な回答が得られないと「こいつらわかってない」と、自分の無知を恥じる前に生産者側を見下すような厚顔無恥な同胞すら多い。そのためか、多くの生産者は(ジャーナリストの評価が売れ行きに影響を与える可能性を理解しているためアカラサマには言いませんが)、ワイン・ジャーナリスト一般に対して、実は敵意とまでは行かずともかなりネガティヴな感情を持っているのが、日々の会話の、言葉の端々に顔を出します。
※ワインジャーナリストという人種の、無知無理解を通り越した、あまりに恥知らずな行為については、プリンセス自身、最近呆れ果てた話を聞かされているので、それについては、また改めて。
プリンセスは、自分が大好きなワインの素晴らしさの理由が知りたくて、遂にオーストリアに住み着いてしまっています。自分で言うのもナンですが、その真摯な探究心だけは、特に素晴らしいワインを造っている生産者達には、せめて通じて欲しい、と切に切に願うのみ。
では、良い週末を!
では、良い週末を!