2012年10月5日金曜日

ルーディ・ピヒラー ヴァイスブルグンダー スマラクト1993 

丁度一週間前のお話です。G夫妻と畑を見た後はテイスティング。
いつもの通り、FederspielからSmaragd Terrassen、そしてシングルヴィンヤードへ、とGVを味わい、途中にWeissburgunderヴァイスブルグンダー(=ピノ・ブラン) and/or Roter Veltlinerローター・ヴェルトリーナーを挟んで、リースリングをGVと同様の順番で試飲します。
夜のセラー。ヴァッハウではまだまだ珍しい超モダン
ところで、プロの通訳の方、或いは優秀な頭脳をお持ちの方は、通訳をしながらその内容を記憶したり、テイスティングをしたワインの味わいを覚えていたりできるのかも知れませんが、脳みそ断線気味のプリンセスにとって、頭の使い方の違う「通訳」と「記憶」を両立させることは、残念ながら不可能。訳すために数字や地名などのメモは残りますが、それが何を意味するのか、後から振り返っても全く不明なのです。何より残念なのは、「訳す」という行為をしていると「鑑賞する」「感動する」という、ワインを味わう最大の魅力である快楽のスイッチが、完璧オフの状態に陥ることです。

…という訳で、今回G夫妻にアテンドしてのテイスティングも、ほとんど味わいを振り返ることができません。

ただ、それでもふたつだけ書き残しておいておきたいワインがあります。

ひとつは2011年 Weissburgunder Smaragd Kollmützの後にブラインドで出されたワイン。
ソムリエG氏が品種を、G夫人が生産者 : )を、そして私がヴィンテージを言い当てなさい、というルーディーからのリクエストです。
この日初めて、ワインとしっかり向き合う時間ができました…。品種はG氏も迷っているよう…プリンセスはもう最初から諦めています。…何故って、傑出した畑のオーストリアワインは、リリース当初ですら、ブラインドで出されると品種より畑の個性が前面に出て、グリューナーとリースリングを取り違えることがよくあるからです。ましてやこれはかなり熟成し、土壌由来の素晴らしいミネラルに溢れています。「GVでもRieslingでもおかしくないな」と思っていました。
生産者は、まあサービス質問 : )として、さて年代ですが、前日に飲んだNikolaihof Riesling Steiner Hundの83年よりははるかに若々しく比較的暖かな年であろうことは味わいから想像がつきます。午前中に飲んだ珍品中の珍品、Hirsch Riesling Pfaffenberg 94あたりと同じようなエネルギー感です。…ただプリンセスの舌メモリには2000年以前の記録はあまりありません。

答えはなんと驚いたことに、Weissburgunder Smaragd 1993 ! コルミュッツ畑のブドウが大半ですが、別の畑のブドウも使っているので、畑名はありません。熟成を経て果実味の落ちた分、コルミュッツ特有の目の詰まった清らかなミネラルの味わいだけが残っています。

ヴァイスブルグンダーという品種は、その穏やかな個性が災いし過小評価されており、ルーディーのスマラクト コルミュッツも、GVスマラクトの同じ畑と比べてかなりお安くなっています(美味しいけどつまらない、とか言われがち)。にもかかわらず、19年を経てのこの味わい! かねがねルーディーのヴァイスブルグンダーの独自のミネラル感(普通この辺りではピノブランは深いレス土壌に植える)のファンだったプリンセス。益々ぞっこんに惚れ込みました。

さて、もうひとつ驚いたのは晩秋には日本市場に登場するRiesling Smarad Achleiten 2011年。
そのテイスティング の様子は、また後程。
※写真はルーディ・ピヒラーのウェブサイトより