昨日ヴァッハウのデュルンシュタインにあるドメーネ・ヴァッハウで、同ワイナリーのディレクター、Roman Horvathローマン・ホルファートMWによる、ノイブルガーのブレンドを含むテイスティング・ワークショップがあると聞きつけ、本来オーストリア・ソムリエ協会メンバーを対象とした1年がかりの――剪定からラベル・デザイン、販売までに関わる――プロジェクトの一部なのですが、プリンセスもチャッカリ参加させていただきました。
ノイブルガーをソムリエによりよく理解してもらい、レストランで売ってもらおう、 というプロジェクト。売上の1割は墺ソムリエ協会に寄付されます。 |
後方に見えるのはデュルンシュタインの地名の由来であるお城(廃墟) |
開始前、ちょっと時間があったので、脇道を山登り。そこは有名なパン屋さんの上でした。 |
左がローマン・ホルファートMW。 右がソムリエ協会の偉いヒトらしい。 |
ワインは全部で5フライト x 3種+α(伊仏スペのチーズに合わせたお楽しみやら、参加者の持ち込みワイン、ドメーネ・ヴァッハウの銘醸畑モノ等々)。
GaubyもRedomaも素晴らしかったけどGravnerはねぇ… |
参加者持込マグナム |
こうしてシュナンブランとリースリングに挟まれていいシャルドネを味わうと マロをしているにも関わらずキリっとした酸はさすが。 |
最初の2フライトがノイブルガーで、第1フライトの3種は同じシュピッツの畑の2011年の、1) ステンレス100%、2) 大樽70%+ステンレス30%、3) 大樽とステンレス半々のブレンド。3者からキュヴェ・ソムリエ・エディションを選ぼうという訳です。
ノイブルガーという以外何のクルーもなくブラインドで味わいますから、最初は3つ別のノイブルガーを味わっている積りで飲む訳です。すると、計測上、物性的数値はほぼ同一な筈ですが、酸、残糖、余韻は結構異なるように感じられます。
一番人気はステンレス100%。ポイントは、あまり高くないノイブルガーの酸が一番フレッシュに感じられた&ノイブルガーらしいナッティな風味が最も綺麗に出ていたところでしょうか。逆に大樽率の高いものの魅力は、とても落ち着いた円やかな香り。半々、というのが一番面白味がなく、最も苦みを強く感じました。1足す1は2にならないのがどうやらブレンドの面白さのよう。
続く3種はオーストリアで最も高く評価される1) ヒルツベルガー、2) ドナウバウム、3)F.J.グリッチのノイブルガー。はっきり違いが出たのは、2者が09、ひとつ10というヴィンテージの差。けれど、ブラインドで飲んでもやはりヒルツベルガーは、上手く酸素を味方につけた風味でキラリと光っていました。
ノイブルガーも勉強になりましたが、興味深かったのはその後のAutochton & Natural(地場品種&自然派)に焦点を当てた2フライト。最初がオーストリア。続いてオーストリア国外の自然派。
味わう前に自然派にははっきりとした定義がないこと、がまず説明されます。そして、『地場品種と自然派』がテーマとだけ知らされて以下の順にブラインドでワインを味わいます。
Cristian Tschida Cuvee Laissez-Faire 07
Ott GV Quevre 10
Hirzberger GV Axpoint 09
超怪しいワインが2つ出た後、Hirzbergerも自然派だと思って味わっているのですが、私のテイスティングノートには「中でこれだけマシ」と書いてあります : )(なーんだ、AutoctonだけでNaturalじゃないのね…)。最初の2つは今話題のワイン達ですが、悪いけれどプリンセスはこういうワインに高いお金を出す気にはなれません。
続いてInternational Autocton & Naturalのフライト。
Domaine Gauby Catalanes Blanc Vieilles Vignes 08
Josko Gravner Anfora Ribolla Giala 05
Niepoort Redoma Branco Reserve 09
最初のワインはちょっと神経質ながらミネラル感が素晴らしい! アルコールも軽快で、 "岩清水"という言葉が頭に浮かびました。私の前に座っていたソムリエはローマンに「何故このワインはピュリニーMではないのか?」と問われ「うーん、ミネラルがちょっと違って、これはゴービーのような…」と見事に銘柄を当ててしまいました!
2番目はプリンセスも指名こそされませんでしたが、Gravnerであろうとコメントに書き込んでいます。一度飲んだら忘れがたい味ですものね。これもエポックメイキングなワインですが、味わい自体は、プリンセス的にはちょっと評価し難い…。
3番目のニーポートは、完全に南の味なのですが、しっかりとミネラルもあり、いかにもオールドワールドで、品の良い樽のかかり具合も見事です。
こうして比較してみると、「オーストリアの最近話題の自然派は、概してワインとしてのレベルがまだまだ」だと言うことがわかります。
また、ペーターVマールベアクがいた頃のGraf Hardeggあたりが最初であるはずの、白ワインを果皮とともに発酵させる手法や、ムスターが先行した甕を土中に埋めての発酵&熟成を、最近は実に多くの生産者が試していますが、果皮からのタンニンを心地良いと感じさせてくれたのは、今のところ私の味わった限りではシュトローマイヤーとムスター(これも心地よいと言うには多少ビミョー : ))くらい。
あー、それにしても、オールドイツ語でのワークショップは、指示を理解し、討論のテーマについて行くだけで、死ぬほど神経を消耗(議題が面白いだけに、その細かなニュアンスや討論の行方を見失うのがイライラの種…)。お城に帰ると疲労困憊で、夕食を摂るともう何をする余力もなく、プリンセスはバタンキューと眠りに就きました。