古典的中欧の美そのもの! |
人口はウィーンに次ぐオーストリア第2の、と言うものの、30万に満たない小都市。その規模ながら一応インターナショナル・エアポートもあるし、6つも大学はあるし、プリンセスが大ファンである古楽の巨匠ニコラウス・アーノンクールが主催する音楽祭“Styriarteスティリアルテ”の本拠地でもあるし…一度訪れたいと思っていました。そうそう、世界遺産にも指定されているし、欧州文化首都でもあるそうです。
Gross訪問を尻切れトンボで切り上げ(「今出ないと電車に間に合わない!」ということで)、ギリギリ・セーフで列車に滑り込み、グラーツ駅に降り立つと、駅舎はモダンで綺麗ですが、魅力的な街には見えません。土地勘がないので駅からなるべく近い場所に取ったホテルまでの道のりも、なんだか単調…。
Grossのシュテファンが予約してくれたレストラン Landhaus Kellerの場所をチェックし、徒歩で出掛けてみても…
しばらくひたすら退屈な裏町風情。
ところが、ムーア川に架かるハウプトブリュッケ(中央大橋)を見つけ、向こう岸遠方の暗闇にぽっかりと浮かぶ要塞が視界に入るやいなや…、
そこは別世界!!
ムーア川の流れは速い! |
向こう岸にぽっかり浮かぶ要塞(Grazはもともと要塞の意) |
何かの都市伝説でしょうか。橋の欄干に錠前が山のように下げられています。 |
刃物屋の惚れ惚れとする整然としたディスプレー |
ラヴリーな旧市街。お伽の国に紛れ込んだかのよう。 |
スワロフスキの入るビルの美しいこと! |
そして旧市街に入ると、予感通りある意味ウィーン以上に古い建物や銅像が美しい!
さて、レストランを探しつつ小道に入ると、素敵な刃物商や民族衣装店が目につきます。プリンセスは全く民芸趣味はありませんし、クレムスでもウィーンでも民族衣装屋で素敵な服に出会ったことはないのですが(因みに、ブルゲンラントに至っては悪趣味の窮み)、なんだかこの町の民族衣装屋のショーウィンドウは洗練されています。
レストランも、どこかウィーンと違う…もっとずっと給仕もマダムもヒトあたりが柔らかく暖かい。内装も、意匠・様式の違いとは別のところで、どこかにウィーンより明るさと艶やかさがある。でありながら、ラテン諸国や南ヨーロッパのそれとも異なり…如何にも古き善き中欧=ミッテルオイローパ。ウィーンより更にその色を濃く感じます。
シルヒャー・ゼクトの奥は木表紙のワインリスト |
抑えた中間色の色使いがとても繊細 |
そこにおそらくまだ二十代前半に見える給仕がオーダーを取りに現れます。この若造(失礼!)、鼻をヒクヒクさせんばかりの勢いで客の動向をくまなく観察。バイトとおぼしき女の子のサーブの仕方に文句をつけ、彼女をムっとさせたりしています。その懸命さと誇り高さが、とっても愛らしい : )…(と、この歳になって初めて思える、多少頑張りが前面に出過ぎるタイプ)。
「グラーツは初めてだからクラーツ名物を」と頼むと、なんと「Fisch魚」だと。「うーん、私は日本人なので、魚にはうるさいんだけど、まさか海の魚じゃあないでしょうね」と予防線。給仕君「ウチのはムール川で獲れたフレッシュな地物ばかり」と誇らし気なので、乗ることにしました。お勧めはSaibling岩魚。「メインはシュタイヤーマークらしく牛肉、でも重いものは食べられそうにないので…」と言うと、給仕君、ターフェルシュピッツを勧めて来ます。あまりに芸がないけれど、仰せの通りに。
ワイン自体極々普通の、シュタイリッシェクラシーク的なもの。いかにもSBな香りはドギツくなく、ほっと一息。
そして、岩魚が来て納得。ワインがキュウリのソースにとても良く合うではありませんか! …1ポイント!
キュウリ・クリーム・ソースと岩魚&SBがとてもいい組み合わせ |
ターフェルシュピッツはこうして盛り付けてくれます |
左上の骨髄部分が特に美味でした。お野菜たっぷりで軽快なお味 |
しかも頼んでもいないのに「このデザートにはこれなんだ」と、茶色になった“1990年 ゲヴュルツのアウスレーゼ” という、目一杯「凄い」んだか、「外しまくり」なのか、判断のしようもないような : ) ワインを一緒に持って来るではありませんか!
手前はカリっと香ばしいカボチャの種 |
いちいち外しそうなお勧めでドキドキものでしたが、なんのなんの。とっても楽しませていただきました!
なかなかイケテルぞ、グラーツ。
次回はもっと明るい時間にゆっくり時間を取って、街を散策したいと思います。