昨晩は一昨晩と打って変わって、真面目なビジネス・ディナー(の積り :)で『和食にワイン』の元祖、小田島にお邪魔しました。
会のセッティングをしてくれたのはK橋ワインでドイツ、オーストリア、アルザス、ロワールを担当するU女史。
呼びかけに応じたのは、在独13年で博士号を取得され帰国。現在日本のワイン誌の草分V誌や自然派ワインで名高いインポーターR社のメルマガ他で執筆活動をされているK氏。日本ドイツワイン協会連合会理事にして、壁が壊れる前後のベルリンで和食サービス体験し、現在すき焼き店 I を経営するF氏。ドイツワインのインポーターとして30年の歴史を持つHの営業にして、ワイン業界の生字引、かつプリンセスの高校時代の同級生でもあるF女史(以上独逸シンパ)。K酒販店経営者でワインエデュケーター、墺ワイン大使でもあるK氏。同じくワイン大使で神楽坂LソムリエのI氏。そしてプリンセス(以上墺シンパ)という、一昨晩とはまた別の意味で濃い面々。
本当のことを言えば、プリンセスは仕事だか遊びだか区別のつき難い飲み会が大の苦手。
けれど「ドイツ語圏、もっと言えば一部東欧まで含むハプスブルク文化圏のワイン生産国は協同して、仏伊スペイン等ラテンワイン文化圏に対するアイデンティティーを作り上げ、市場にアピールすべき」と考えるプリンセス。
であれば、ドイツワイン啓蒙に力を尽くす人々ともアイデアを交換したいし、オーストリアワインを現場で売ったり、教えたりしている人々が吸い上げた市場の生の声も聞きたい…ということで、普段のポリシーを曲げて、この会のセッティングをプリンセス自らU女史にお願いした次第。
開始早々「ソムリエ試験からドイツが外された」だの「古くからのドイツワイン愛好家は辛口をドイツワインとして認めない」だの「一般の客からは全ての背高ボトル(ドイツ、アルザス、オーストリア)は甘口だと思われて敬遠される」だの「オーストリアでワインができることすら知らないヒトが多い」…と、時代が20年以上逆戻りしたか、と錯覚するようなクラーイ話題が繰り広げられます。
それがリアリティというものです。
ところで、ワインのプロには2つのタイプがあり、一つ目は元来酒好きでワインを最も好むタイプ。二つ目はお酒には弱く、あくまでワインを鑑賞対象として愛でるタイプ。
昨晩はどうやら前者ばかり集まったらしく、凄いスピードでワイン(一人1本=7本+追加持込3本+お店から2種?)を空けて行きます。
滑らかになった舌は瞬く間に転ぶようになり…
この辺りから所謂オフレコ話やインサイダー情報が飛び交い、普段なら口にできない荒唐無稽なアイデアも熱い口調で語られます。もともとワインですっかり気持ちよく出来上がっていますから、どんなホラ話にも皆でウットリできたりするものです: )。
まあでも、お酒の抜けた今も、とても実り多いミーティング(飲み会?)だったとプリンセスは大満足しています。
永くドイツワインの啓蒙に励んで来られた皆さんは、やはり筋金入りのドイツワインファンで、何かを真剣に愛せるヒト特有の純粋さや謙虚さを持ち合わせていました。Kさんにはドイツワインの格付が潜在アルコール度数と関連付けられたのは1971年以降、という、それがゲルマンワイン圏の伝統であるという思い込みを打ち破る事実を教えられました。Fさんからはトリアには格式と美があるのに、リューデスハイムは熱海の温泉街風情である理由を教えていただきました。
和食にワインというコンセプトを最初に実行した小田島さんからは固い握手をいただきましたし、小田島のソムリエ宮穂さんは「もっとこなれた価格帯のオーストリアを」「和食店では国産ワインとのコラボを」といった現場からの提言を下さいました。
「ホイリゲを核としたオーストリアワイン啓蒙イベントを」「シュトゥルムを持ち込もう」「ホイリゲのチェーン展開」「ドイツ&オーストリアワイン スタンプラリー」「エアステラーゲ 独墺協同啓蒙」「クラシックコンサート会場での出演者ゆかりのワインカフェ」などなど、様々なアイデアが語られ、そして自分のお気に入りボトルを追加で開けては「このワインはどう?」「これも飲んでみて下さい」という、若手参加者からの問いかけを嬉しく思いました。
勿論、全てのアイデアに賛同できる訳でも、全てのワインがプリンセスの好みだった訳でもありませんが、そんなことは全く問題ではありません。
業界の先頭を走る皆さんが、これだけオーストリアワインのことを考えてくれている、という事実こそ重要です。
ドイツ&オーストリアワインを盛り上げるための方法や方向は決してひとつではない筈です。
昨晩集ったそれぞれが、それぞれの立場でそれぞれの理想を貫く努力をしたとき、ドイツもオーストリアワインも、全体としてより大きな存在になっているでしょう。
そして再びプリンセスのポリシーに戻りますが、それができるかどうかは、むしろこうした同じ方向を向いている人間同士が志を確認し合う会より、いかに一人でも多くの「まだこちらを向いていないヒト」を引き入れられるか、それを促進できるような集いなり仕組みなりを企画演出できるか、にかかっていると思うのです。
※カメラメモリ故障のため、ワイン&お料理紹介は割愛します。…残念。