先日のシェーンベアガー20周年記念イベントですっかり仲良しになった、ギター・コンサートのオーガナイザーであるエルマーから、
「14日は誕生日だよね。食事の美味しいシュタイヤーマークで、ワインでも一緒に飲まない?」とお誘いを受けました。
それって、もしかして百年ぶりのラヴ・アフェアの予感???
…と大きな期待を寄せたのですが、
残念ながら彼はガムリッツで仕事。たまたま私の誕生日の晩だけ時間が空くとのことで、プリンセスに特に誕生日祝いの予定が入っていないのなら、
美味しいものはシェアしないと楽しくないから、一緒にシュタイヤーマークの食を堪能しようよ、というお誘いでした。
丁度プリンセスもヴェストシュタイヤーマークのReitererライテラーを訪ねたかったところなので、すぐにワイナリー訪問のアポを取り、誘いに乗ることにしました。
…と書くと簡単なのですが、その前の週のウィーン行きですら、あれだけハプニング満載のプリンセス。ましてや
南の果てスロヴェニア国境付近まで、電車に乗っている時間だけでも6時間はかかる、という遠出…。
ちゃんと行って帰って来られるのでしょうか?
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グラーツ駅。 |
無人駅で今回はしっかり電車に乗り込み、車中の自販機で目的地Wiesまでのチケットを購入。プリンセスはVorteilscardというOBBの割引カードを持っているので片道€30を切りましたが、普通料金だと€60近くします。因みにキャンペーン料金だと電車で€70もかければミラノにもミュンヘンにもブダペストにも行けますから、まあ、それに近い長旅です。
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ラウホ家製のロザリー:Isabellatraubensekt。肉屋なので豚のラベル : )
珍しいハイブリッド種からのウェルチグレープジュースのようなゼクト |
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サプライズ5皿コースの突出しはコーンの殻にコーンスープの入った一品 |
シュタイヤーマークはオーストリア東南一帯に広がる州。美味しい肉と野菜の産地、或いは温泉保養地として人気があります。ワイン産地としては東からスュドオストシュタイヤーマーク(南東:トラミーナー、SB他)、スュドシュタイヤーマーク(南:SB)、ヴェストシュタイヤーマーク(西:シルヒャー),と並んでいます。一番の都会はグラーツで、ここはオーストリアではウィーンに次ぐ大都市(…といっても圧倒的にのどかです)。
日本からシュタイヤーマークに行きたい、という場合、ウィーンに到着したその足で飛行機に乗ってしまうのも手。けれど
もう少し時間のある方には、是非電車での旅をお勧めします。というのは、
オーストリアのワイン産地がいかにアルプスの端っこに押し出されるようなカタチで存在しているか、を電車だとしっかり実感できるからです。
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ラウホ家経営ヨハンのハム。美味しい! |
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キノコの旨味たっぷり |
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これはイノシシの生ハム。意外に上品。 |
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隣町シュトラーデン、フラウヴァルナーの
ゼームリング88。スキッ! |
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生の鹿肉 |
…という訳でプリンセスは一日に一往復しかないOBBの誇る長距離列車Railjetに乗って、2時間半かけてウィーン・マイドリンクからグラーツを目指しました。
※レイルジェットは、車内Wifi完備、カフェ車両や車内飲食サービス(当然有料)もありながら、特急料金もない、なかなか使える列車です。
グラーツでローカル電車に乗り換え、さらに1時間以上かけてWies/ Eisbach駅へ。ここでWeingut Reitererライテラーのマーケティング担当サンドラがプリンセスをピックアップしてくれるという算段。
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シュタイヤーマーク名物かぼちゃの種のオイルはかぼちゃのスープに垂らすのが常套手段。
が、これはそのオイルそのもののスープ。レモンが効いて油の重さをスパっと切ります。
グロースのヴァイスブルグンダーとの相性も抜群。 |
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彼も将来を嘱望されるヤング・ジェネレーション・ソムリエの一人。 |
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グロース ヴァイスブルグンダー |
そのライテラー訪問記(と言ってもこの日から収穫が始まっており、肝心のクリスティアン・ライテラー氏と話ができたのは、ほんの30分くらいでしたが)は後回しにし、今日はワイナリー訪問の後、シュタイヤーマーク指折りのレストラン”Steirawirt シュタイラヴィルト”でのバースデ・ディナーの様子をご報告します。
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ホワイト・トマトジュースなどトマト・ア・ラ・カルト。リースリングを合わせたいけれど
ここはシュタイヤーマーク。何を合わせるのかと言えば… |
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ラックナー・ティナッハーのモリロン。
よく酸が伸びてトマトの皿に合いました |
エルマーとフェルトバッハ駅で待ち合わせ、彼のヴァンでトラウツマンスドーフへ。レストランに入ると「!」、と閃くものがありました。「ここは3年半前の取材でアタフタと立ち寄って、肉の前菜をひと皿だけ食べたところだ! 自家製の生肉がハンパなく美味しかった!」…と。そうそう一緒に来たのはクリストフ・ノイマイスター。ワイナリー併設の、こちらも評判のレストラン“Sazianiサツィアーニ”が休みの日だったのでここへ来たんだった…、と芋づる式に色々なことが思い出されます。
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古人参とその泡ソースがけ |
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ヴィンクラー・ヘルマーデンのグラウブルグンダー。
ビオ転換効果か、旨味に力があって、古人参のクセをいい感じに包みます。 |
はい、ディナーの様子は写真でご確認いただいている通りです。4~6皿の皿数が選べるサプライズ・コースにお勧めのワインをグラスで合わせていただきました。
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ゲルノート・ハインリッヒのピノ・ノワール。もちろん上質ですが、
ここはせっかくなので、ブラウアー・ヴィルトバッハーを合わせたかった… |
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鴨の皿。野性味と洗練のいいバランス。 |
いや、素晴らしい!
まだ
27歳、オーストリア国内で最も若い星付きシェフ(こちらではHaubenkoch=帽子付と表現しますが)のリヒャルト・ラウホは、我々の去り際もまだ厨房にかかりっきり。サービス・スタッフも皆若いのに料理も接客のレベルもとても高い。でありながら、そこは小さな町のレストラン。
特別ドレスアップして行かなくても違和感なく溶け込めるし、コースでもアラカルトでもゆったり寛げるその気軽なおおらかさがとても嬉しい。
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ETアイスヴァイン(キュヴェ) |
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スイーツの国のデザートはさすがに美味! そして繊細! |
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コーヒーにこれだけついて来ます。 |
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ラベンダー入ブラウンシュガー |
シュタイヤーマークを訪ねる楽しみが、またひとつ増えたプリンセスであります。
ご満悦!
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客をいじるオーストリア流正統派ケルナー。 |
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スピリッツがズラリ…壮観! |
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シェフ リヒャルトの姉、ソーニャ・ラウホ |
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肉屋のレストランは美味しい、というのはオーストリアの常識。
シュタイラヴィルトとヨハン(肉&デリカテッセン)はどちらもラウホ家の経営。 |
注:このディナーは完璧割り勘でした。ああ、淡き期待も破れ去りぬ…
※ドルリ・ムア訪問記の続編もちゃんと今週中にアップ予定。お楽しみに。
以下登場ワイナリー、レストラン他のリンク。
http://www.weingut-reiterer.com/
http://www.neumeister.cc/home/front_content.php
http://www.steirawirt.at/steirawirt.html
http://www.johann.st/cms/front_content.php
http://www.johann.st/johann.html