http://www.weingut-hirsch.at/show_content.php?sid=77
集められた寄金は、ペーター・シャハナー博士(写真中央)による、東南アジア諸国におけるミツクチの子供たちの手術資金に充てられます。
この€14000で、200人の子供たちの手術ができるそうです。 |
GV TrinkvergnügenやGV Heiligensteinを飲みながら開始を待ちます。 背後に見えるのは、ご存じハイリゲンシュタイン。 |
会を主催するのはハネスと奥さんのサンドラ |
最初のワインは確か€400で落とされました。 |
2本目はどんどん競りあがって€1200に。 |
まずはコンサートマスター、William Preucil氏とAlexsandra Preucil(奥さん? 娘さん?)によるバルトークのヴァイオリン・デュオ(44 Duos für 2Violines, Sz.98より8曲)。実はプリンセス、好きな作曲家の名前を問われたら、バッハがダントツ1番ですが、バルトークも間違いなく5本の指に入ります。でも、ヴァイオリンのデュオを生で聴くのは初めてかも。ルーテニア、ハンガリアン、スロヴァック、ルーマニアン、と様々な民謡が、彼独自の現代的解釈で再構築された、ご存じバルトーク音楽の精髄を、短い時間ながら堪能。
次はシューベルトの三重奏 B-Dur, D.471。最後がヒルシュとクリーヴランド響のつなぎ役となったとみられる、オーストリア生まれ、アメリカ育ちのクラリネット奏者オーエン・コトラーを迎えての、モーツアルトの5重奏 A-Dur , K.581。
そしてアンコールにベニー・グッドマンのためにAlan Shulman?とか言う、ヨーロッパから米への亡命ユダヤ人作曲家の書いたというクラリネット5重奏。聴いたこともない曲でしたが、これが、ジャズのイディオムを巧みに取り入れたり、ちょっとバルトークのコントラスツを彷彿とさせる部分もあったりで、クラリネットが水を得た魚のように洒脱に響きわたり、素晴らしかった!
さすが米の演奏者、…ってほど単純な問題ではないんでしょうけれど、やっぱりシューベルトやモーツアルトよりずっと音楽が「自分のもの」に聞こえたのはプリンセスだけでしょうか? プリンセス、音楽にもテロワールがある、というか、テロワール(=文化・風俗も含む風土)を感じさせてくれる音楽や演奏が好きなんですね。
実はこのチャリティー、前日近隣のグラーフェネッグでコンサートを行ったクリーヴランド響に属さない演奏者が二人も入っており、しかもレンタルしたチェロは3億円相当の楽器、とか。彼らの旅費やら楽器レンタル料が入場料に含まれるならチャリティーとしてフェアではない、とか、なんとかかんとか、田舎のことで、周囲では色々雑音も聞かれていたのですが、実際に素晴らしい音楽をこんなに身近にリラックスして聴ける貴重な機会を与えてくれ、経緯はどうあれ、€14000の寄付金を作り出した主催者のヒルシュ夫妻と、協力した演奏家、食材を提供した地場の生産者達、ボランティアでワイン&おつまみのサービスを担った親友クノル夫妻をはじめとする友人達の尽力を讃えたいと思います!
ところで、面白かったのは、クラシック音楽の本場オーストリアで、しかもこうしたイベントに集まる人々というのは、当然クラシックに明るい人ばかりだと思っていたのですが、さに非ず。楽章の変わるたびに拍手は起こってしまうは、4楽章が終わると「ブラボー」を叫ぶヒトやら…。でも、それがヒルシュのワイナリーの倉庫の、日暮れのハイリゲンシュタインが演奏者の背後に望めるような状況だと、何故か微笑ましい光景に映ります。東京のホールだったら、正統派クラシックファンの刺すような視線を集めるんでしょうけれど : )
微笑ましい話題をもうひとつ。
コンサート終了後、テイスティング・ルームではヒルシュの2011エアステ・ラーゲのワインが供され、ボイルしたソーセージやこの辺りのグルメに知らぬヒトのいないベチェットさんちの素晴らしく美味しいチーズが並べられています。
ワインも入りちょっと一杯機嫌になっていると、子育てが終わったらディプロマの勉強をして、もっとお城ワインのプロモーションを助けたい、と常々言っているエファが、私とミッヒに「どうしよう、リースリングかグリューナーかもわからない、私…」とため息をつきます。
するとミッヒが「我々ワインメーカーだって、ブラインドで出されたら、自分のワインはともかく、品種なんかみんな簡単に外すよ。熟成の容器だったり、畑の違いはわかってもね」と言うのです。
ね、そんな訳ですから、ワインを勉強中の皆さん、くれぐれも品種当てにあまり精を出されませぬよう。
美味しいワイン、美味しい肴で夜はふけて行きます。 |