とっても愛らしいWies/Eibiswald駅 |
無事マーケティング担当のサンドラと駅前で落ち合えたのはいいのですが、車に乗り込むやいなや「生憎今日からオストシュタイヤーマークの白ブドウの収穫が始まってしまったので、ライテラーさんはブドウの搬入で大忙し。作業の合間に30分だけは時間を取ると言っているから、それで許してね」…と告げられてしまいました。
プリンセス、こちらに来て初めてよくわかったのですが、ワイナリー当主の忙しさというのは、ワイナリーの大きさとはあまり関係がありません。社長の忙しさが会社の大きさにあまり関係ないのと一緒です。あまり大きくなくても当主はあくまでも当主で、ワイナリー内ではデンと構えて、収穫中も作業はケラーマイスターに任せる場合もあれば、このライテラー氏のように、今や自社畑50ha、購入ブドウ20ha分の規模になっても、その醸造作業のほとんどを自らの手で行うところもあります。
で、後者の場合、収穫期にワイナリーを訪れるのはほとんど犯罪に近い。…と、わかっていて訪問を強行したのはプリンセスの責任…というか、なんだか間が悪いというか、申し訳ないというか、そんな気持ちでワイナリーに到着。外は雨模様で、あまり見栄えのいい畑の写真も撮れそうにありません。うーん、ちょっと凹む…。
16世紀に建てられたライテラー家代々の家屋。ワイナリーはこの向かいに。 |
テリア好きなもので、もう一匹を撮り忘れました。 |
春のシャキっとしたの日差しの中、雪を戴くコアアルペ山脈を望みつつ、最初にウェルカムドリンクとして戸外で出されたフリッツァンテの爽やかさをプリンセスは忘れることができません。
今日はテイスティングルームの中で、最初の一杯にそのフリッツァンテ2011年をいただきます。きれいなピンク色で清々しい風味の軽快な泡が、少し沈んでいたプリンセスの気分を、スパっと明るく切り替えてくれました。
コアアルペの雪を思わせるクールな香り。口に含むと木苺のフレッシュな果実味が、シルヒャー独特の目の覚めるような酸と弾けるミネラルによって際立ちます。チャーミングなのに凛々しい…初めて口にしたときに、すぐにこのフリッツァンテのファンになってしまったことを、昨日のことのようにマザマザと思い出しました。
ふたクチ目を味わいつつ、「ああ、このワイン、お花見に持って行きたい」「ピクニックのサンドイッチにも」「戸外のカフェでランチに」…と、続々と陽気なシーンが浮かんでは消え、また浮かぶのに自分でビックリしたことも…紅茶浸しのマドレーヌ並みにプリンセスの記憶を心地良く刺激してくれました。
3種目は南チロルSüdtirolのゼクトの名手、セップ・ライテラー氏とのコラボによる、こちらは瓶内二次発酵で24か月間澱と触れさせた本格ゼクト"R & R Brut 2009"。ベースワインはシルヒャー半分にピノ・ノワールとピノ・ブランが更に半々。色も淡いオニオンスキンで、香りに熟成感と複雑さ、シルヒャーとは異なるピノ系のイチゴ風味があり、口に含むと品の良い酵母っぽさが。シルヒャーゼクトの爽快感(悪く言えばやや青っぽい感じ)も一切なく、泡も遥かに滑らかでスルーッと喉に液体が流れ込む感じ。ここまで来るとグレード的にやはり別物。
泡3種を飲む限り、ゼクトはイマイチ価格とグレードの関係に説得力が足りず、R & Rはもちろん格段上質な味わいながら、シルヒャーの個性が薄れる分、プリンセスにとっては「らしさ」に欠けるだけむしろ魅力半減。
…ということで、このワイナリーはやっぱり、泡はフリッツァンテの魅力が突出していることを再確認。
因みにこのフリッツァンテも冬前には日本上陸の予定。気軽な泡なので、クリスマスや年末年始のサブ泡として、休日のランチや戸外でのブランチ、ピクニック、お花見等々色々なシーンに溶け込むのが今から想像できて楽しみです。
さて、次回はシルヒャーと白、そして赤のテイスティングと超特急インタビューの様子をお送りする予定です。