名札用の首から吊り下げるバンドに、部屋の鍵、正門横の鉄扉の鍵、自転車の鍵、の3つ鍵をつけたおいたものを土曜に紛失しました…。
前にも書きましたが、プリンセスには大きな泣き所があります。
病的注意散漫&物忘れ、軽はずみな行動…、早く言えば超ドジなのです。
病的注意散漫&物忘れ、軽はずみな行動…、早く言えば超ドジなのです。
幼少の頃から、常に落ち着きがない、授業を真面目に受けない、と教師から目をつけられ、約束の日時を一週間取り違えたり、14時と4時と間違えたり、数字を一桁入れ違えて転記し、郵便物が届かなかったり、満点だと思って書き進めた答案の解答欄がひとつズレていることに最後に気づき、パニックになったり、レポートの締切日を取り違えて留年したり、約束されていた昇給をあまりの凡ミスの多さに拒否されたり、出張に行けば必ずジャケットやサングラスのひとつやふたつは紛失し、大切な国際セミナーに旅立つ成田のチェックイン・カウンターでパスポート期限切れを知らされたり…、と、まあ数知れぬ失敗を重ねて来ました。
今回の鍵の紛失には、思えば色々伏線がありました。
1.まず、いつまでたっても長期滞在許可のメドが立たないことが心配で、心ここにあらず、の状態でした。
2.そこへ持ってきて、今週は収穫が始まり、おまけにウィーンでのミーティングやら、テイスティングやら、急な長期出張の打診&交渉&段取りやら、目の回る忙しさでした。
3.そして、土曜の午後を丸々使ってSmaragd
2010テイスティングに行こうと思っていたのに、金曜になってバルセロナ在住の知人が土曜にウィーンに来る、と言い出し、急遽金曜の午後にテイスティングを押し込んだものの、全部を踏破できず、土曜彼女に会う前に、もう一度テイスティングをねじこもうと焦っていました。
4.最後に、我がお城のロジスティクスのややこしさに、相当苛立っていました。
4つ目は説明が必要です(…とそのことを考えるだけで、頭を灰色の雲が覆うような気分になります)。
外門は2つあります。どちらの鍵も私は所有していません。なので、毎日の開門時間を把握して出入りするのですが、例えば駅に行くのに、片方が閉まっていて、もう片方から出直ししようとすると、お城は広いので、片方の門に行って戻り、もう片方の門から出直そうすると、15分程度のロスになります。
土曜も実は、出ようと思った方の門が閉まっていて、狙った電車に乗り損ねました。しかも、その日は帰宅がウィーンからの終電になる予定で、その場合徒歩圏内の最寄駅ゴベルスブルクを通る電車はもうないので、最後の乗換駅ハーダースドーフまで自転車で行く算段だったため、門まで自転車で坂を降り、自転車を持って急勾配を再び上がり…という徒労を繰り返す訳です。で、疲れ切ってその後に乗った電車の乗り換えを間違え、結局時間切れで友人と会う前にテイスティングに寄ることは諦めました。
空間的に広いことだけが問題ではありません。お城にはエラ(フィッツジェラルドから命名)という巨大な犬がいて、普段は大人しい、とっても可愛い番犬なのですが、この犬には野生が残っており、例えば小動物、例えば家族以外の侵入者、使用人などを家族しか入るべきでない領域に見つけると、猛然と襲いかかり、かなり危険です。
なので、その日お城のどの場所でどういう催しがあるか、どの部屋でどの来客があるか、等々によって、この犬をどこに格納しておくか、どのドアは開け放しておくか(逆に鍵をかけるか)をいちいち変更せねばなりません。
そういうこともあって、家の裏口やオフィスの入り口など重要なドアを全て開けられる共通鍵は、主人夫妻と夫人方の両親しか持っていません。
しかも、共通鍵には出入りする身分によっていくつかの種類があるのですが、どの鍵はどのドアとどのドアを開けられるのか、ちゃんと言い当てられる人は誰もいないのです。
よって俄かプリンセスの場合、どのドアからお城の特定の場所に行きつけるか、自室からどこを通って外に出るか、は毎日ある種賭けのような状況なのです。
わかっていただけます? このちょっとしたカフカ気分…。
で、お城の敷地に入る予備鉄門の鍵をなくして、どうやって部屋に辿りついたか、って?
セキュリティー上詳細には書けませんが、敷地には家族のみ知る抜け穴から(洋服を傷めぬようジャケットを裏に着て:)潜入しました。
自室の鍵がないのにどうやってベッドに辿りついたか? 夜中に家人を起こすのはためらわれましたし… 結論から言って、辿り着きませんでした。
実は、私の部屋と台所の間には薪などの加工・貯蔵のための作業ピロティーのような場所があり、それらの道具やらお城の掃除道具やら洗剤やらをストックする倉庫と私の部屋は壁を隔ててつながっているのですが、その収納倉庫のドアの鍵はかけないことになっています。
なので、倉庫の空きスペースに、積まれていた椅子用クッションを4枚並べ、簡易ベッドとし、絨毯だか毛布だかわからない小汚い毛織の布をかけて仮眠をとりました。
トホホ…
これが土曜の夜のプリンセスの寝床 |
自転車と自室の鍵は予備がありましたが、一応外から出入りできる鉄門と客間の鍵の両方に共通の鍵を亡くし、お城の主人家族に多大な迷惑を掛けることになってしまいました。
ハーダースドーフ駅までの道を歩き、鍵が落ちていないか確認しましたし、電車のロスト&ファウンドや土曜に行ったカフェやレストランにも連絡は取りましたが、今のところ見つかっていません…。
お世話になっている上にこの不始末…本当にごめんなさい。
こういう事件があると、過去の同様の失敗体験がムクムクと蘇り、神様に「人間やめなさい」と言われているような、つくづく情けない気分になるプリンセスなのでありました。