9月5日(月)
今日からゼクト用のブドウの収穫が始まる予定、というのは知っていたが、なんだか天気は晴れたり曇ったり、小雨がぱらついたち。昼時に労働者用昼食部屋を覗き、確かにRenner畑で朝から作業を始めていることを確認。チーフ・ヴィティカルチャリスト&ワインメーカーのカーナーさんに頼み込んで午後から収穫作業に加わった。
Renner(読み方はレンナーとレナーの間)は、ハイリゲンシュタインHeiligensteeinとともにカンプタールを代表するリースリングの銘醸畑ガイスベアクGaisbergの麓部分にあるグリューナーの畑。その一部の樹齢15年未満の若木から、ゼクトに使うブドウを収穫する。
地元民、ガイゼンハイムからの研修生、ルーマニアからの労働者達などに混ざって収穫開始。 |
作業前 |
作業後 |
それにしてもこうして中腰で一日9時間以上の作業。別に力が要る訳ではないが、かなりの重労働だ。
作業は朝6時45分から12時、午後1時から5時まで。 |
常々私はオーストリア・ゼクトの王者はブリュンドゥルマイヤーだと思っているのだが、同じカンプタールで、メトード・シャンパーニュで造られる2つのゼクトのスタイルと品質の差はどこにあるのだろう。彼のところもグリーン・ハーヴェスト果をアッサンブラージュしているのか、今度聞いてみよう。
さて、新梢に対し1房だけブドウを残す作業の結果、1本のブドウの木に通常6房が残ることになる。そしてあと2週間ほど風味の成熟を待って、今度はエアステ・ラーゲEaste Lage(所謂グラン・クリュと1erクリュを合体させた概念)“ガイスベアク”の名を冠したワインに使うブドウを収穫することになる。
3時ころから雲行きが怪しくなり、雷鳴の後、大雨に。直前に予定作業完了。ほっ。 畑が大分濡れたので翌朝は作業を9時からに延期。我々の願いは叶い、火曜は見事な秋晴れとなった。 |
大雨が降り出す3時半前に、見事に予定区画の収穫完了。
正午と午後5時にトラクターで小型の収穫ボックスをピックアップし、ブドウはそのままワイナリーへ。ソーティング・テーブルで更に葉などを取り除き、ブドウはそのままホールバンチで即座にネウマティック・プレスにかけられる。うちには垂直プレスもあるのだが、今日の作業に関しては使われていなかった。
ソーティングテーブルで混入した葉や、質の悪い実は除去。 |
そして、ネウマティック(空気圧式)プレスへ |
畑で念入りに、更にソーティング・テーブルで選果されたブドウは、グリーンハーヴェスト果と思えぬ粒ぞろい。 |
ゼクト用果収穫初日に尋ねるのも早過ぎるか、とも思ったが、カーナーさんに今年のグリューナーのキャラクターについて、聞いてみた。
やはり8月最後の熱波の影響で、現時点で糖度は高いが酸はやや低目、ということ。
最近のヴィンテージでは、今年同様熱波があり、収量と品質、どちらも満足の行く出来だった07年に近い、らしい。
ただし07年は成長期に雨が多く、一転した7月の熱波の後、収穫期は非常に冷涼かつ晴天に恵まれ、最終的には綺麗な酸のよく伸びる、所謂クラシックな味わいの年になった。
ゼクト用ブドウの収穫を終えて2週間後、スティル・ワインの収穫の頃がどんな天気になるのか。今後の天候変化と最終的なワインになるまで、スタイルがどう変遷して行くのか、ワクワクドキドキものだ。