平地に見えますが、この畑は前方東側が斜面になっています。 |
朝6時45分から、ピノ・ノワールの収穫に参加しました。開始時の気温なんと9度。一度外に出てから、慌ててダウンを取りに返る寒さです。
お城の下からバン2台で繰り出します。 |
お城から南方に2kmほどの高台。ハイデボーデンHeidebodenの下方にあるヴァクセルバウム・ハイデWachselbaum? Heideと称するらしき畑(畑作業の女ボス、クリスティーナのドイツ語は本当に聞き取り難いし、とにかく要らぬ口は利けない雰囲気なので、何度も発音してもらう訳にも行きません。でも、そんな畑、地図にはないなぁ…)での収穫です。
ピノ・ノワールPinot Noir、こちらで言うところのブラウブルグンダーBlauburgunder或いはシュペートブルグンダーSpätburgunderは、中世に修道士がブルゴーニュからオーストリアにもたらして以来この地に育ち続ける、半ば地場品種のようなもの。
1本のブドウの木についているブドウの房数はざっと15から18? 結構多めです。ただし、畝幅が2m以上x 90cmくらい(あくまで私の目算)なので、1ha当りのブドウの木の数が半分前後と考えると、大体収量はブルゴーニュ並の30hl/ha台に収まるのでは、という印象です。
収穫の要領ですが、メインの梢から出ている新梢についているブドウだけ収穫し、副梢と言われる、後から出てしまった余計な梢についたブドウや、状態の悪いブドウは落とします。大体地面から90cmくらいのところに主梢が仕立てられていますが、そのラインより上についたブドウも基本的に落とすか、そのまま木に残します。
こんな感じになっています。下の方に固まっているブドウだけ収穫します。 |
もちろん、木自体がやられているようなブドウには最初からノータッチ。 |
状態の悪い房、実はこうして地面に落とします。 |
上方の副梢についた実は収穫しません。 |
こういう状態の房が一番困ります。 でも、萎んでブヨブヨしているところは、大概妙な味わいです。 |
難しいのは、その状態の見分け方。レーズン状に乾燥した実はOKだけれど、萎んでブヨブヨする状態はNGだと教えられました。
かつてNZで楠田浩之さんの収穫を手伝ったときには、何せ一緒に収穫したのが楠田卓也兄、シノワの後藤さん等々…オタクの窮めつけのような面々。「怪しいのは落とせ」とばかりに、律儀に落としに落としまくって、その畑の収量を確か13hl/haだかなんだか、とんでもない低収量にしてしまいました。
そりゃあ、落としまくれば間違いなく綺麗な味わいになるでしょう。
でも、それでは歩留まりが悪過ぎて、ワイナリーの経営を傾かせます。各ワイナリー、或いは各ワインに丁度いいさじ加減、というものがあるはずなのですが、そこまで撰果の基準の徹底がされてはいないようです。…、で周囲の様子を伺うと、結構サクサクなんでも収穫カゴに入れているように見えます。いや、彼ら、彼女らは何年もこの作業をしているのですから、瞬時に厳しい撰果ができるのかも知れません。
プリンセスは勿論無償労働ですから、「ここは勉強させてもらおう」ということで、新梢に正常についた実、副梢についた実、レーズン状の実、ブヨブヨ状態の実、などなど、「どうなんだろう?」と思うものはいちいちつまみ食いをしながら、収穫を進めていきました:)
8時半過ぎに15分程度の休憩。収穫労働者は、どうやらこのタイミングで朝食をとるようだ。 因みにお昼12時のきおんは25度を超していました。 |
こうしてプラスティック籠に収穫されたブドウは、トラクターで回収されます。 |
いやあ、面白かった!
同じ木でも全然糖度が違うし、レーズン状のは甘くて美味しいけれど、萎んでブヨブヨの実はお酢になる手前みたいな味わいのものが多い。
それがわかってしまうと、美味しくないブドウから美味しいワインができるはずはないので、いきおい撰果が厳しくなってしまいます。
プリンセスにはやはり、超高値のウルトラ・プレミアムの収穫しか、させてはいけませぬ。