昨日の授業は、いやぁ参った…鼻が全然利かないので何をテイスティングしても、砂を噛むようです。全部苦くて不味い…。
MWを受験中の講師ジュリア・セヴェニッチに「ねえ、このオレンゴン、まるでブルゴーニュでしょ、森の下草のような複雑な熟成香に、シルキーなタンニン…。感激ものよねぇ」と訴えかけられても、何のことやら、な悲しい状態。
…でもプリンセスはくじけません。試験本番に風邪で臨まねばならない事態だって、ない訳ではありませんから、その時の心構えくらいは、この場で習得しよう、とばかりに、無嗅覚の中、いかにワイン・テイスティングの答案を書き上げるか、丸一日人体実験を繰り広げました。
普通、外観⇒香り⇒味わい⇒結論、と書き進めるのですが、この状態でそれは無理。外観を見てある程度熟成度合いに見当をつけたら、全く知覚不可能な香りをすっ飛ばして、味わいをみます。
そこでわかったのは、比較的感知可能な順に;
- 香りがまった嗅げなくても、一番よくわかるのはタンニンの量です。これは味わいというより触覚ですからね。でも、「甘い」とか「ファイン・グレイン」などの質の把握までは難しい。
- 次に、余韻の長さも比較的よくわかります。
- 甘さも大分感度は落ちているものの、なんとかわかります。
- アルコールは喉や口中の温かさである程度感知できるのですが、通常高めで感じる独特の甘さや、更に高くなると出てくる苦味のニュアンスまで感じることができません。
- 悲しくなるくらいわからないのが、ワインの命であるふたつの要素、『酸』の高さと『香り&味わいの風味のニュアンス』です。
この一番肝心の部分を、精度が悪いながらも感知可能な要素と、いつもは補助手段にしかならない外観から可能な限り多くを読み取った情報とを組み合わせて、これまでのテイスティング記憶の引き出しから言葉を探し出して、それらしく得点の取れるテイスティングノートになるよう、作文:)して行きます。
これ、なかなか知的ゲームとして楽しい!
ひょっとすると、普段の私の得点を百とすると、60-70いけてるような気もします。
とはいうものの、熱のある中、別に理論編の講義も受けつつ17種のワインをこの方法でテイスティングし、答案を仕上げるのは、言葉では語り尽くせぬ負荷のかかる、精神的&肉体的に消耗し切る作業でございました。