お城ワイナリーからの距離という意味では、何度かブログでご紹介したヒルシュに続いて、ふくろうのマークでお馴染みのヒードラーHiedlerが、有名どころとしてはご近所ワイナリー№.2的存在。
自転車で20分ほどの距離にあるのですが、ヒルシュと違って道のりが平坦でないことと、普段よく通る道筋にないため、お城住まいになって以来、まだ1度しか訪ねていません。
で、そろそろ崩御間近の10日、あちらの収穫がひと段落したのを確認し、お城ワイナリーも通常のブドウの収穫が終わり、翌日に貴腐の収穫を残すのみ、という状況を見計らって、2011年の収穫状況を当主ルードヴィックにインタヴューして来ました。
郷土伝統的建築でもなくハイテクでもなく、スペイン人である夫人マリアの趣味も反映したに違いな建物。 エティケットでおなじみの森の守り神『ふくろう』が門柱に鎮座しています。 |
1)アルコール度はどうしても高め。
2)皮が厚く、フェノール分が高い(特にグリューナー)。
少し解説をしておきますと、
1)のアルコールについては、「今年は14.5~15%の白が出る可能性もある」と、困惑の表情。
また、通常いつも早めに収穫し、DACワインを作る畑であるシュピーゲルSpiegelでも、今年は法制上はReserveとなってしまうため、13.1%以上になってもReserveと名乗らなくてもよくなるよう、法令を改めるべく運動している、とか。
ところで、熱波の影響は当然酸にも及びますが、7月から8月中盤まで比較的涼しく日照が少なめだったため、根がよく張っており、恐れられたほど酷い低下を招かなかったかったのは救い。
また、発酵中に失われる酸量が今年は少なかったことや、自然に起こるMLFで失われる酸量も少なめに見積もられることから、最終的ワインの酸量は、天候から考えれば比較的よく保たれそうだ、と言っていました。
2)については、プレスの際、皮から過多のフェノール分を果汁に出さないよう、細心の注意とテクニック(ネウマティックプレスを回転させない、圧力を弱める、など)が必要だったそう。
夫人マリアのラテン気質は、今ではすっかり夫ルードヴィックにも伝染。ワイナリーは陽気な雰囲気に溢れています。 |
「消費者のマインドだよ」と。
一時期アルコールの高い、威風堂々たるスマラクト的ワインをもてはやした消費者の嗜好は、近年真逆にスイングし、アルコールが軽めでエレガントなワインを好む傾向へとシフト。「ラベルのアルコール分を見ただけで敬遠されるのではないか」と心配そう。
セラー見学と、2010年ヴィンテージから、新顔など数種かいつまんだテイスティングの様子は、後日『その2』でお伝えします。