先週いくつか来客があり、正式に市場に出ているホイリゲでない11年ヴィンテージを初めてじっくり試す機会がありました。
テイスティングしたのは“Gobelsburgerゴベルスブルガー”ラインのGV Mess WeinとUrgestein。翌日“Domäneドメーネ”ラインのグリューナーとリースリング。どれもお城ワイナリーのボトムラインを担うベーシックなワイン達です。
ちょっと説明しておくと、お城ワイナリーにはベーシックラインがドメーネDomäneとゴベルスブルガーGobelsburgerの2つあります。表向きには前者はニーダーエスタライヒのアペラシオン、後者がカンプタール・アペラシオンとなっていますが、実際は両者無名の自己所有畑や自己所有の銘醸畑の樹齢の若いものが大半で、一部買いブドウの産地が多少異なるだけ(後者にはクレムスタール、トライゼンタールなどドナウ周辺アペラシオンが含まれる)。価格的にもほとんど差はなく(GVに至っては最廉価はGobelsburgerのLoess Terrassen)、主にオーストリア国内市場でのオン・トレード(レストラン)とオフ・トレード(酒販店)の商品ラインを分けることが重要な目的のようです。
さて、その味わい。
心配された酸の低下は気になるほどではなく、むしろ若いうちはアプローチのし易さにつながっている印象。アルコールはちゃんと適正範囲で収穫されていますし、皮の厚いGVのフェノール分過多を危惧する向きもありましたが、おそらくセラーでの工夫は色々あるのでしょうが、11年はとにかく風味が豊かでチャーミングなため、全く気にはなりません。
一番驚かされたのはRiesling! プリンセスは常々、グリューナーは日本で小売価格2000円以下でも十分ワイン好きを満足させるレベルのワインが探せると思っていますが、リースリングとなるとやはり3000円以上出さないと、本当の意味でそれらしいミネラル感を感じることができない、というのが持論です。
ところが11年のUrgesteinウルゲシュタインは、柔らかな香りがキリっとしたミネラルを包み込む感じで、その優しさと端正さのバランスが本当に素晴らしい! ウルゲシュタインは実はハイリゲンシュタインやガイスベアクなど、原成岩斜面の若木が中心なため、年を重ねるごとに品質が上がっています。日本に入っていないのが本当に残念…。
Domäneドメーネのリースリングにしても、ウルゲシュタインほどのミネラルではないにしろ、価格(日本での実売は1700-1800円程度?)を考えると、素晴らしい出来(こちらは日本でも買えます)。
通常このラインのグリューナーとリースリングを比較すると、どうしてもグリューナーの果実味やチャーミングさに対し、リースリングは面白みのない生真面目な印象を与えがちなのですが、そして実際、圧倒的にグリューナーの人気が高いのですが、11年に限り、この年独特の香り高さとおだやかな酸がむしろいい方に働き、グリューナーよりチャーミングなくらいです!
オーストリアを手軽に味わいたい、と思っている皆さん。2011年は『低価格リースリングに注目!』です。