ああ、今ボトルの写真を見るだけでもヨダレが出ます… |
前にブログにも書いた通り、丸々一日のハードな試験の後、食事をしながら、しかもシルヴィア・プリーラーのワインと入れ替え差し替え試飲する、というテイスティングに集中するには最悪の環境。おまけに私を除く3人はすっかり女子会モードで始終笑い転げているような有様。なので、あくまでもご参考程度にお読み下さい。
キャベツとトマトのスープ。 ロマンティックなハイディ曰く、”ファンタジー・スープ”だそうです。 |
尚2011年はバレルサンプルで、hは収穫、btはボトリング予定を示します。
ムスカテラー フォーゲルザング Muskateller Vogelsang 2011
いつも最初に収穫されるのが、このムスカテラー。バラやオレンジブロッサムなどフラワリー&ジャスミンのような香りが豊かで、酸は高くないのはいつものことながら、アルコールは10年より1%高いので、食前酒にだけでなく、ジンジャーやパクチョイなどの香草を使用したエスニック系野菜料理などにぴったり。ただこの品種をボーンドライに仕上げるこちらのスタイルは、日本人にはどれくらい受け入れられるだろう?h:9月中旬, still on fine lee, bt:3月
☆フルミント トゥルナー Furmint Turner 2011
100%健全果より。全く貴腐がつかないのはフルミントとしては珍しいこと。カモミール、リンデンバウムの香り。火打石的ミネラルはシストと石灰岩の混ざる土壌から。量は多いけれど絶対にカリカリしない柔らかなミネラル感はハイディならでは。フルミントとしてはいつもより穏やかな酸(6g/l)のため、豊かで円やか。風味がよく開いていて現時点で美味しく飲める。h:9月末, bt:5月末
●ヴァイセ・レーヴェン ヴェルシュリースリング Weisse Löwen Welschriesling 2010
10月8日収穫の遅摘みのブドウより。アカシアの樽で1年熟成。香りにも余韻にも蜂蜜のような軽い貴腐タッチがある。多少苦味があるので、それが好き嫌いを分けそう。因みにブルゲンラントではフルミントとともに、このウェルシュリースリングも“伝統の見直し”の動きの中で再注目を浴びている。ハイディ曰く「父がワインを造っていた頃の香りがする」ワイン。
グラウブルグンダー Grauburgunder 2010
オレンジとカラメルの香りに高い酸。樽が強いのに重くなく、バタースコッチの風味満載なのにベタつきは一切なく、ブルゴーニュ以外の樽+MLF+バトナージュの三点セット嫌いの私を感服させた、威風堂々と陽性なのにエレガントな、世界にどこにもないグラウブルグンダーだったはずだが、この年はちょっと弱弱しい。ブッチギリのエネルギー感が魅力のこのワインには、やはり10年という年は辛かったか。
●ロゼ ビスカヤ Rose Biscaya 2011
Merlot, Pinot Noir, Syrach, Petite Verdot, Teroldego, Lagreinというほとんどが違法持込苗 : ) から造られたロゼは、バレルサンプルを入れたクラッハーTBAのボトルから注がれ、益々怪しい!! 色は濃い目。何せ女傑ハイディのロゼだし、安いし、イチゴの香りもフィレッシュだし、サマーワイン、ランチワインとして、イケテルのでは?
ターフェルシュピッツ。これ、意外に白にも合うんですよね。 |
しっかり熟度はありながら、軽めのブラウフレンキッシュ。マジパン、リコリス、ヴァイオレット、チェリー、ヴァニラなど、軽いスタイルでありながら、風味は結構複雑。田舎臭いところは全くないけれど、うーん、白ほど「おお」っと思えないのは何故だろう…。
ザンクト・ラウレント クラクスナー St. Laurent Kraxner 2009
2001年にミュラー・トゥルガウに接木をしたものとか。そのせいかどうかは不明だが、ハイディにしては珍しく垢抜けない。実はミュラートゥルガウについて笑い話があるのだけれど、それはまたの機会に。
ブラウフレンキッシュ ルスターヴァルト Blaufränkisch Rusterwald 2009
ルストの丘の頂上でのブドウで造られ、3年近く大樽で寝かせた、所謂本格的フル・ボディのブラウフレンキッシュ。スミレの風味も凝縮感も申し分ないのだが…。土壌が肥沃なせいか…それとも白の透明感を赤にまで求める私が悪いのか…。ハイディのワインとしては、あと一歩の洗練を求めたい。
フォーゲルザング ハルプトロッケン Vogelsang halbtrocken 2009
Welschriesling, Weissburgunder, Muskatellerのキュヴェ。15g/lの残糖には、酸フェチの私としてはもう少しキリっとした酸が欲しいところ。ヴェルシュリースリング由来のアーシーなミネラルと、ムスカテラー由来の華やかなアロマの混合した摩訶不思議なキャラは、プリンセス的にはあまり好みでないけれど、ハマル人もいそうな個性。シリアスというよりは独特の風味を気軽に楽しむワインだろうから、とすれば、この酸のバランスでいいのかも知れない。
「これったらドイツのレシピなんだけど、美味しいじゃないの!」と女子会は大盛り上がり。 こちらではドイツの=不味い、を意味します。ドイツファンの皆さん、失礼。 |
WelachrieslingとWeissburgunderがほぼ半々。柔らかな透明感のある甘みに、丁度すっきりとバランスした酸。ヴェルシュリースリングを貴腐にした時独特の香木のようなニュアンスと、ヴァイスブルグンダー由来のオレンジやアーモンド風味がアクセントになって、かなり甘いのに飲み飽きることのない文字通りワンダフル(驚きに溢れる)なワイン。シルヴィアも「私は貴腐ワインはベタベタ甘くて嫌いだけれど、ハイディのだけは特別」と言っていました。よーくわかります、その気持ち! 軽さのある甘みが、リンゴや柑橘など酸を生かした軽めデザートに広範に合うし、極軽い苦味がシナモンやクローヴ、ヴァニラなどを使ったデザートやドライ・フルーツ、多少熟成した旨み凝縮系ハードチーズなどにもぴったり。これはとっても使い易い貴腐ワイン! おまけに価格はアウスブルッフの半分強!
☆☆ルスター・アウスブルッフ オン・ザ・ウィングス・オヴ・ドーン Ruster Ausbruch on the wings of dawn 2008
この年はオーストリア全土がカビに悩まされたにもかかわらず、ルストでは貴腐があまりつかなかった中、ハイディはちゃんとルスター・アウスブルックを造りました。でもトゥルナーのフルミントは、貴腐がひと樽分にもならなかったので、この年はいつものPinot Gris, Gelber Muskateller, Sauvignon Blancの他にTurnerのFurmintも入っています。オレンジトフィー、シナモン、クローヴ…貴腐香は確かにあるのだけれど、曇りは一切なく、極甘なのだけれど、酸がキリっと通って一切ベタついたところのない、プリンセスがいつも感嘆するハイディのスタイルそのもの。旧樽での熟成。
●ルスター・アウスブルッフ シュレック&クラッハー Ruster Ausbruch Schröck & Kracher 2007
常にルストの貴腐ワインに敬意を抱いていた、故貴腐ワインの巨匠アロイス・クラッハーの提案で始まったシュレック=クラッハー プロジェクト。ブドウは最も湖に近い湿気の高い畑のWelschriesling 100%。丁度湖西岸ルストと東岸イルミッツの間のスタイル(ルスト:酸が高くミネラルが多い⇔イルミッツ:貴腐率最大。残糖が高く超濃厚)で面白い。知名度では東の横綱クラッハーに並ぶべくもない西の横綱ハイディ。でもプリンセス的にはルスト・スタイルの方が圧倒的にエレガントで好きです!!
右に見えるのはスピトゥーン(吐器)。 わざわざハンガリーの職人に造らせています。 |
日本ではまだあまり知られていないハイディ・シュレックですが、実は世界中の目利きが発売前からどんどん予約を入れ、リリース時にはなかなか買えない超人気生産者なのです。
でも皆さん、今年から彼女のワインがもっと日本で沢山飲めるようになるよう、プリンセスがお願いして来ました。
ご期待下さい。
ご期待下さい。