2012年1月12日木曜日

ルスト女子会@ハイディ・シュレック ①2011ヴィンテージまとめ編

 10日夕方に試験を終え、宿に戻って寛ぐのもそこそこにルストの町中にあるハイディ・シュレックのお宅へ。
由緒ある佇まいのお宅。
ワインの名前にも登場するライオンをあしらったファサード。

お伽の国に紛れ込んだかのようなルストの町
 そうです。知るヒトぞ知る、プリンセス的にはオーストリアで最もエレガントでピュアな貴腐ワインを造るハイディ・シュレックHeidi Schröckそのヒトから、2011年のバレルサンプル&カレント・ヴィンテージ・テイスティングのお誘いを受けました。しかもそこへ、あのライタベアクの女王シルヴィア・プリーラーSilvia Prielerが、やはりバレルサンプルとカレントヴィンテージを携えて10kmほど離れた(そうそう、プリンセスが日曜に暗闇を歩く起点となった)シュッツェン・アム・ゲビアゲからやって来て、一緒にハイディの手料理を囲む、という超豪華なお招き!
着いてみればハイディのアメリカ人アシスタントワインメーカーであるリサも同席しており、中年女性4人、さながらルスト女子会の様相。

楽しそうだなぁ…と、皆さんは思うのでしょうねぇ…。

確かに素晴らしい体験です。楽しくない、って言ったらバチが当たります!
でも、この日は何せ午前中に赤白6種ずつ計12種のワインのブラインド試験。A4x12ページ分英語でびっしりテイスティング答案を書かされた上、午後は論文試験でこれまたA4で軽く15ページ、計27ページを越す答案を書いた後のこと
全14種(ハイディ・シュレック7種:うちバレルサンプル5種、シルヴィア・プリーラー7種:バレルサンプル2種)を、しかも食事をしながらテイスティングする、というのは、実は集中力を傾けて公正・綿密・分析的にワインを味わう、というプリンセスの職業上の使命を考えると、かなり難易度の高い仕事、と言わざると得ません。
それに、食事があれば当然ワインは飲みたい訳ですが、そうすると途中からどのワインも美味しくなって: ) しまうので、素敵な食卓でハイディの美味しい手料理を前にペッペッとワインを吐き出さねばなりません。さすがにベーレン以上の極甘口、特に07以来ほとんど造られてもいない(天候上貴腐があまりついていなかったり質が良くなかったり)超稀少なRuster Ausbruchルスター・アウスブルッフは、最後に出るので有難くゴックンさせていただきましたが : )。
カラフにデカンタされたグラウブルグンダー10を加えて計14種
ではまず2011年のまとめから。
1)質量ともに生産者を喜ばせた年である点は、プリンセスの住むドナウ周辺産地と変わりなし。特に赤の質は秀逸とのこと。ただし赤はまだMLF中なので、この日はバレルサンプルは白のみ試飲。

以下白の辛口バレルサンプルについて。
2)ボトリングに最短でもまだ2ヶ月以上を残している時期としては異例と言っていいほどチャーミングでアロマティック! 品種特有の果実味もしっかり感じられます。
2)ブルゲンラントでも8月後半から9月初旬の熱波による酸の低下が心配されましたが、実際には酸は低めではあるものの、決して低くはない(品種にもよりますが、平均より0.5g/l低いかどうか、という程度)。ワインを柔らかく感じさせる程度で、フレッシュさを損なうようなワインはひとつもありませんでした。
3)天候によって両極端な表情を見せる(例えば豊満な09と鋭利な10では対照的)Furmintフルミントは、10のミネラルの核を残しつつ、優しい果実香味がそれを包み込む、という若くして楽しむのに理想的なバランスになりそう。
4)どちらかと言えばハイディは11らしいチャーミングさの良く出た、シルヴィアはそういう年にもかかわらずライタベアクらしいミネラルのコアがしっかり感じられる、そんなワインになっているような印象を受けました。
向かって右より:Silvia , Heidi, and Lisa
明日、あさってと、ルスト女子会②Heidi Schröck編女子会③Silvia Prieler編、そして15日には昨日尋ねた、やはりルスト近辺でプリンセスが大好きな生産者(こちらはイケメン!)Wenzelヴェンツェル編、と造り手別に3日にわたってテイスティングを振り返ります。
お楽しみに!