2012年6月8日金曜日

スマラクト25年:2010~1986年

6月2日、VieVinumの一環として、宮殿の端、Kleiner Redoutensaalで行われた 25 Jare Smaragdのテイスティング・セミナーを改めてご報告します。

エメ・クノルJrを総司会、解説をフランツ・ヒルツベルガーSrとエメリッヒ・クノルSr、テイスティングの進行&英語にまとめ役をローマン・ホルファートMWが担当し、2010から1986年までのスマラクトを試飲しながら振り返る、というなんとも贅沢なイベント
御大お二人の解説、特にクノル氏のオフ・ビート(エメのオフ・ビートは父親譲りと、ここで初めて納得しました)な独語ジョークは私には理解不能部分が多く、得意の豚に真珠状態ではありました。が、そんな不満を吹き飛ばすほど、年代が遡るにつれ、ヴァッハウという土地の偉大さと、偉大な生産者の凄さが浮き彫りに。
試飲リスト、メモ&配布されたヴィンテージ解説をもとに、お気に入りベスト10ワインのみ振り返ります。※ ☆の数はプリンセスの感激度

☆2008 Piewald Kalkofen GV Smaragd
このカビの蔓延した、非常に難しかった年は、一方で非常にミネラル感の強い、土壌個性を反映したヴァッハウならではの味わいに。
☆☆☆ 2001 Hofstaetter Singerriegl Riesling Smaragd
プリンセスはこの年のオーストリアを飲んで嵌った経験を持ちます。典型的な、どちらかと言えば寒い年だったとか。今こうして飲んでみても、素晴らしい酸の伸びと、エレガントなミネラル・ストラクチャーは超魅力的。
☆☆ 2000 Sigl Steiger GV Smaragd
暖かい年のGVはあまり好みでないけれど、こうして熟成しリンゴの蜜のようなニュアンスが出ると別の魅力が出ることを発見。さてこの蜜は貴腐由来? それとも高い熟度から来るもの?
☆☆☆! 1997 Prager Steinriegl Riesling Smaragd
これもプリンセスの大好きな年。どちらかと言えばゆっくりと熟し、成熟期の昼夜の気温差が大きい年だけに得られる、まるでモーゼルのような勢いのある酸と、ヴァッハウらしい堅固なミネラルが両立。素晴らしい!
☆ 1996 FX Pichler GV Kellerberg Smaragd
この年も収穫が遅かったようで、酸とストラクチャーのバランスはいいのだけれど、一昔前のFXスタイルで、やっぱり大柄で苦い…。
☆☆ 1995 Rudi Pichler Riesling Kirchweg Smaragd
貴腐を完全に排するRudiのワインは、貴腐の多い年にこそ異彩を放つ。フレッシュな酸と穏やかな蜜風味がエレガント。長い余韻。
☆☆ 1993 Leo Alzinger Riesling Steinertal Smaragd 
やや線は細いものの、躍動感溢れる若々しい酸と余韻の長さは見事。
☆☆☆ 1992 Nikolaihof Im Weingebirge Smaragd
酷暑で酸が下がるこういう年こそビオディナミの威力を知ることができる。スーっと喉を通ってしまう軽やかな酸とやさしい甘味。

☆ 1988 Jamek Weissburgunder Hochrain Smaragd
既に濃い黄金色。25ワイン中唯一の非GV, Riesling。まだまだ酸も果実味も生き生き。ミネラルのスパイス感はいかにもヴァッハウ。

☆☆☆ 1987 Knoll GV Smaragd
冷涼で収穫が遅かったというこの年は、多少弱いけれど、熱い年のGV特有の苦みもなく、全ての贅肉が削げ落ちた典雅な趣。

因みに最後を飾ったのは1986 Hirzberger Riesling Hochrain Honifogl。早熟で熟度の高いバランスの良いワインを生んだ年らしいのですが、多作で凡庸なクオリティーだったのか、私のグラスのワインはかなり弱っていました。
この年Federspiel-Honifogelという格付制度が発足し、翌年HonifogelはSmaragdと名称変更し、今に至っています。

満足感一杯のテイスティングではありましたが、80年代後半から2001年頃のワインの凄さから、ヴァッハウが今どれだけ進歩しているか、と問われると、他産地に較べて、その進歩は正直見えにくい。まあ、前から偉大だったので仕方ないんですけど。
DACにもErste Lageにもくみせず孤高の立場を貫き、自然農法普及率も著しく低い(には十分な訳があることも力説したいです)“偉大なる産地ヴァッハウ”…その行く先を、愛情が深いだけに、プリンセスは複雑な気持ちで見守っています。