今朝は収穫には出ず、我がシュロス・ゴベルスブルクの栽培&醸造責任者のフランツ・カーナー氏の"畑チェック"を密着取材しました。密着取材というと聞こえはいいのですが、何せ私のドイツ語と彼の英語能力はいい勝負(つまり、どちらも下手糞、ということ)。お互い独英のちゃんぽんですが、私からは英語主体で聞いて、彼はそれに対しドイツ語主体で答えることが多い。ただし全部理解できないのはまだいいとして、誤解はまずいので、彼の答えの趣旨を私なりのドイツ語で確認し直す、という手のかかる:)密着取材です。
「今年のブドウの出来は?」 の問いに「顔を見ればわかるでしょ」とこの笑顔。 彼がLammより個人的には好きというRennerの畑にて。 |
さて、収穫期になると、彼は毎日様々な畑に出向いてはブドウの状態をチェックし、各畑の収穫時期を決定。それに応じて人員やロジスティクス、醸造機器などの手配をします。また、ブドウの状態、収穫計画、果汁のアナリス結果、醸造の進行過程など、逐一オーナーのミヒャエルに報告し、全ての決断は彼との相談の上、なされるとのこと。
今朝向かったのはレンナーRenner、ガイスベアクGaisberg、ザクセンベアクSachsenbergの3つ。それぞれグリューナー、リースリング、メルローが植えられています。
まず、車内でこれまでの疑問を質しておきました。畑チェックの様子は明日のブログでお伝えすることにし、今日はその回答からお伝えしましょう。
質問その1)ゼクト専用の畑はあるのか。それとも全てが収量が増えてしまった畑の早期収穫ブドウで造るのか。
回答:専用畑はない。ゼクトはあくまで予想外に収量が増えてしまった畑のブドウを使って造る、いわばうちのワイナリーにとっての副産物。だからゼクトに使われるブドウ品種の割合は毎年違うし、ゼクト用にわざと収量を多めに残すようなことをして、沢山生産されるべきではない。
質問その2)全ての畑の収穫&選果基準は同じなのか(これは畑や造るワインの格によって選果基準を変えるか、という意味で聞いたのですが、上手く伝わらず、もっと大筋の答えが返ってきました)。
回答:畑によって違う。例えばシャルドネやウルゲシュタインUrgestein(=ベーシックなワイン)のブドウが植えられた畑(ie昨日のフント)は、一度に全部収穫してしまうが、エアステラーゲについては健全果の収穫と貴腐果の収穫の2回に分ける。健全果は畑別にワインにし、貴腐果は一緒にして貴腐ワインにする。
質問その3)垂直プレスを用い、木製の大樽で発酵&熟成させるトラディツィオンTraditionは別にし、他の全ての畑の果汁は同じプロセス&扱いで醸造されるか(これも格にかかわらず、同じ扱いかを尋ねたつもりが、年による違いと誤解されたようです)。
回答:年によって多少異なる。例えば2010年は酸が高かったので収穫は十分待つことができたが、発酵温度は低めで、発酵を終了させるのに助け(酵母添加など)が必要なことが多かった。逆に2011年は酸が低めでブドウの温度が高めなので、発酵が活発で、助けは必要ない。
尚、8月後半に入ってからの熱波による酸の低下が一時心配されましたが、9月後半から朝晩の温度がしっかり下がっていること、またここに来て(例えば今日は)真昼の気温も20度台前半に留まっていることから、もう酸の急速な低下は心配していない、とのこと。
また、昨晩から今朝にかけて雨も予想されていたので、今雨が降るとどうなるか尋ねると、収穫当日でなければ、1日や2日の雨は、気温が十分下がっている今のような状態なら問題ない、らしい。ただし気温が高い状態での雨は、悪い貴腐の発生を促し、他の病気も蔓延するので、それはとても困るのだそうです。
「今のところ今年のブドウの質はどう?」 と尋ねると「顔をみればわかるでしょ」とニッコリ笑ってくれました。