いつどの畑を収穫するかは、栽培&醸造責任者のカーナーさんのみぞ知ることですので、プリンセスは残り少ないリースリングのベスト・サイトでの収穫を逃さぬよう、今日は6時過ぎには朝食を済ませ、6時45分の収穫隊出動態勢に備えました。
ワイナリー集合6時45分。この時点の気温0度。 |
しかしワイナリーは既にフル稼働。お城のバックヤードはこんなにハイテク。 |
プリンセス、出遅れたか?
今日はずいぶん沢山の実をチェックしていました。ブドウの出来には非常に満足のよう。 |
いや、誰も連れて行ってくれなければ、自転車で自力ででも合流しましたよ: )
それくらい、下方の、畑名なしのワインに使われるフントのリースリングと、ハイリゲンシュタインとともにカンプタール、そして我がお城ワイナリーを代表するエアステラーゲ、ガイスベアクのブドウの違いをこの目で確かめ、味わってみたかったんです。
さて、どう違ったか、って?
やっぱり氏素性の違いって大きい。第一、景色が違う。南東向きの斜面は眺めもいいし、常にそよそよと心地よい風が流れているし。
ガイスベアクからの眺めはこんな感じ |
ブドウもフントでは落としていた貴腐のついた実を、ここでは貴腐ワイン用に、木に房ごとそのまま残します。…とは言うものの、健全果と貴腐果が混ざっている方が普通ですから、貴腐果が半分以上ついているものは木に残し、健全果が半分以上のものだけ切り落とします。その際、貴腐のついた実は突き or 摘み落とすように、との指示。
例によってプリンセスは、ついている貴腐の色やしぼみ具合、乾燥しているか、ヌメヌメしているか、など、様々な状態を見較べ、つまみ食いしながらの作業です。
で、わかったのが、一見フントとガイスベアクのリースリングに、例えば貴腐の割合などに、特に大きな違いはないのですが、圧倒的にガイスベアクの方が、貴腐は貴腐でも善玉貴腐の割合が高い! ということ。善玉貴腐は食べても美味しい。とても甘いのにベタベタ口に残らないのは、甘さだけでなく酸も凝縮するから。一方、悪玉貴腐は匂いを嗅ぐと酸っぱいし、味もお酢のよう。そういうものが多いからこそ、フントでは貴腐は全部落としていたのですね。
食べて美味しいのですから、実は善玉貴腐の実は、わざわざ落とさなくても、ワインの味わいを損なうことはありません。
ただし、善玉と悪玉の見分けは、健全果と貴腐果を見分けるのほど簡単ではないので、貴腐を落とさなくていい、となると、プリンセスのような未習熟労働者も多い場合、どうしても悪玉も混入する率が高くなります。或いは選果に恐ろしく時間がかかり、非効率極まりない。また、あまりに高い糖と酸が、土壌由来のミネラルの微妙な味わいを隠してしまう、という側面もあり、このため最近は貴腐を廃する生産者が多い。その代表がヒルシュやルーディ・ピヒラー、シュタット・クレムスなど。逆に積極的に善玉貴腐を残すのがヒルツベルガーやニコライホーフ、クノルなど。この、貴腐果の扱いはオーストリアの白ワインのハウススタイルの違いを決定する大きな要因であることは覚えておいていいでしょう。
一人涼しげな面持ちは、我が当主ミッヒー。カーナーさんだけでなく、彼も収穫の様子を小まめにチェックします。 |
畑に落とされた悪玉貴腐の沢山ついた房 |
お楽しみに!