2011年10月27日木曜日

見落とせない、悪天候予想の心理的影響

こちらに来て初めて見えたきた側面、って色々あるのですが、今日は収穫における雨の影響のお話。

前提条件としてわかっていただきたいのは、ワインの質はブドウの質に基づく、ということ。
そして、少なくとも我がお城ワイナリーの労働者達は、想像していた以上に高い質のブドウを収穫すること(劣化果をしっかり除く=こちらでプッツッェン=掃除する、と称します)に誇りを持っており、作業レベルは驚くほど高い、ということ。
また、この辺りの傾向として、辛口ワイン用ブドウの収穫は雨の増える初冬前に終える、といのが伝統的ストラテジー。収穫期はまだ長雨は少ないので、2,3日の雨は上がるの待って収穫すればいい、と結構皆余裕の構えです。

そんな傾向に反して、収穫期に大雨が続いてしまったりしたら、厳密な選果をしようにもできない状況、つまりここまでの畑仕事は無残にも報われない、という場合も勿論有り得ます。だから物理的な長雨というのは、当然最も忌むべき状況です。

けれどおそらく、常により現実的な問題であり続けるのは、悪天候の天気予報が続くことの心理的影響です。

例えば通常4日かけて収穫する広い畑で、2日目に「あさってから2-3日は雨」という予報が出されたとします。その間収穫はできませんし、この後続々とエアステラーゲの収穫が控えています。その後の長期予報もなんだか連続晴天が望めないということになれば、当然3日でこの畑の収穫を終わらせたい、ということになります。
そういう状態になれば、2、3日目の選果は初日より粗くなるのは当たり前ですよね。

午後になって空模様が怪しくなってきた時なども、雨が降りだすまでに今日の作業予定を終えようと「マキ」の指令が出ますから、こういう時も同様に、選果の質が粗くなります。

また、いよいよ予定通りに作業が進まなければ、休日労働ということも有り得ますので、悪天候が続けば、生活の予定も狂うため、労働者の顔も曇り勝ちになります。

ことほど然様に、実際に雨にやられたブドウの悪影響も去ることながら、悪天候予想続きは畑仕事の質をどんどん落として行き、この辺りの気候(実際にブドウを劣化させるほとの長雨は収穫期には少ない)から考えると、むしろそちらの方が影響が大きいのではないか、とさえ思われます。

因みに言い訳めきますが、プリンセスの持ち帰りワイン会のお知らせメールが、あんなに混乱をきたしたのも、次の晴天までに、できる作業は全て終わらせたい、という焦りの結果。
毎日が晴天であれば、もっとゆったりプランを練り、校正に時間を取ってお知らせすることができました…。