もともとやんごとなきお育ち(ウソ。単に不器用なだけ)のプリンセスは、味にはうるさいですが食べるの専門 : ) 。料理はネコマンマみたいなものしかできません(自慢することではありませんが)。
ましてや、常に家族だけでも7-8人分を賄わねばならず、しかも専門の調理人まで雇うお城の台所に立つなど『もっての他!』
…と思っていたのですが、私がここに来る際、家族が気を遣ってウィーンの日本食品店で買い込んでくれていた、うどん、ビーフン、味噌、みりん、加えて私がお土産に持って来た海苔、鰹節などが食品倉庫の場所を占領しており、なんとか始末してくれ、との夫人エファからの悲鳴…。
仕方がない、ということで、料理人レナーテさんの許可を得て端肉の豚肉と余り野菜をいただき、シンプルな焼きうどんを作る羽目に。
アシスタントは長女アナちゃん。
私のヘンテコなドイツ語の指示で実にテキパキ動いてくれます。
調理機器には恐怖すら抱く料理ベタの私など、触れるのも恐れ多いハイテク電磁調理台やピカピカの換気フードなどの使い方も、10歳にしてしっかりマスターしているこの子は賢い!
住み込みお手伝い、ダナにも助けられました。
何せ興味のないことには一切脳のメモリが振り充てられないプリンセス。調理器具やら調味法の名前なんかドイツ語でツユひとつ覚えていません。身振り手振りでの、フライパンをくれ、もっと大きいのじゃないとダメ、今度は大鍋だ、もっと強火にならないのか、生姜を擦ってくれ…などなど、よくぞ勘を働かせて(彼女英語は一切できませんので)、即座に私の要求に応えてくれたものです。
二人の絶大なる協力を得て、焼きうどんとインスタント味噌汁のディナーは、なんとか8人分、食べられる状態に仕上がりました。
目出度し、目出度し。
で、なにかと感激症のエファは「Fest Essen 晴れの晩餐みたいね」と言って、オーバーに褒めてくれます。
掛け値なしに、ただなんとか食べられるレベルの出来なだけに非常にこそばゆい。
おまけに和食大好きの当主ミッヒは「夕食はあと何分後?」と言って消えたかと思ったら、あのお誕生日にも開けてくれたゼクトを持参。
炒めモノの直後、しかも慣れない作業で汗だくのプリンセスは思わずゴクゴクっと、グラスに注がれたゼクトを反射的に一気。「美味しい!」とこれも反射的に口を突いて出ました。
するとミッヒが「これ、2001年のLate disgorged」と、言うではありませんか!!
「え、そんなもの造ってたなんて知らなかった」と私。
「売り物じゃないよ、自家用」とミッヒ。
なるほど、エティケットの右肩にはRDの文字。しかもよく見れば、それは手書きです。
※右上に手書きでDRの文字。2010年末のdisgorgeだそう。 |
それがまた、仕上げに廻しかけた醤油と、イッチョマエにトッピングとして添えた、鰹節フレーク&アナちゃんが切ってくれた海苔の風味にいい塩梅に溶け合い、凡庸な焼きうどんを数段格上の味わいに仕立て上げてくれました。
出汁醤油系にRDの上質な酵母=蛋白質っぽい旨みは抜群に合います!
Vielen Dank, Mich!
こんなご褒美がいただけるなら、私、毎週でもお料理しようかしら???