2011年9月23日金曜日

ワインはディプロマティックに批判なさい

922日(木)
風邪を押してのワインアカデミーでのディプロマ・セッション参加、ようやく昨晩で終了。
泊まりがけセッションの間中は、各自学校近くに宿を取ります。そして、昼食は学校の向かいのホテルのビュッフェで、夕食は適当に街のレストランに集まって、翌日の授業に影響を及ぼさない範囲でワインを楽しむ、というのが恒例です。

今回はさすがに最初の二晩は、体調不良のためお付き合いできませんでしたが、3日目にようやく復活。前回私が日本から甲州ワインを2種持って来たので、今晩はお返しに豪出身でスイス在住のティムが極上のスイスワインをご馳走してくれることになっています。他にも色々な生徒がワインを持ち込んでいる模様。

で、持込ワインと店のお勧めを適当に混ぜ、赤白の順番だけ決めて食事中にブラインドで飲んでいき、皆でコメントを出し合います。当然、WSET Diploma方式で、クオリティ、その理由、品種と産地、価格帯、ヴィンテージ、飲み頃などについて、あーだこーだ、言い合うわけです。8時半から夕方5時半まで、みっちりテイスティングをさせられて、まだ懲りずにやってます:)

ただ、この集まりの、他と違ってちょっと恐いところは、「NG。酸化しまくってるし、安っぽい樽が強過ぎる。ちょっとこれは飲めません。€5以上出したくない。」などと言って、グラスに残ったワインを吐器代わりのビールジョッキに空けたりした場合、「それ、僕のワイン」「これ、兄が造ったワイン」といった反応がザラだと言うこと。涙目で睨まれます。
英語クラスの面々は、私とスペイン人、そして二人のスイス在住豪人を除いて、全て東欧から。


 プロ、それもワイン屋やソムリエ、ジャーナリストだけでなく、ワインメーカーやワイナリーのオーナーもクラスには多いうっかり貶し過ぎると、クラーい雰囲気になってしまうので、あくまでディプロマティックにワインを批判する術を学ぶことになります。

造り手としての誇りだけでなく、チェコ、ハンガリー、スロヴァキア、スロヴェニア、スペイン、オーストラリア、スイス、日本…と、それぞれのお国自慢も火花を散らします。
また、こちらのヒトは授業中であっても、きっぱり自説を述べるばかりか、「今のゆかりのコメントは、ボディもフレーバー・インテンシティーも、余韻もミディアム・プラスなのに、クオリティがアクセプタブルはおかしくないか」などと、他人のコメントにも堂々とケチをつけてきます。

チェコではかなり有名なソムリエールらしいクラーラが、
ワイン誌のテイスティングパネルも務めるワインメーカー、ペーターにワインを注ぎます。
そこへもってきてお酒が入ると、日本人的にはタラーっと冷や汗ものの言葉をぶつけ合うこともしばしば

今晩はブルゴーニュ、ボルドーのグラン・ヴァン、そしてローヌ大好きな私の仲好しティム君が「あんたはスノッブ」と虐められています
可哀想にティム君「いや、僕は美味しいワインを愛しているだけなんだ。このチェコのワインも素晴らしいし、君のワインも大好きだよ」とカポカポ、カポカポ、グラスを空けていくうち、すっかり出来上がってしまったよう。「ゆかり、オーストラリア的ワイルドな考えが浮かんじゃったよ」などと妙な台詞を吐いては、魔が差したキューピーような含み笑いをしています。
Australian wild thoughtにご満悦のティム

ねえねえ、ティム、いい加減にしないと明日の授業が辛いぞー:)