2011年9月6日火曜日

美味しさか、「らしさ」か


9月3日(土)
家人に尋ねてわかったことだが、昨日ご紹介した、金、土、日と続くこのイベントは、地元の消防隊が運営しているとのこと。食事や飲み物をサーブするのも消防隊員とその家族だ。
ところで、オーストリアでは大都市を除いて消防隊員は全てヴォランティア。そしてどんな小さな町にも、こうしたイベントの収益を元手に購入した消防車が一台はある。火事の通報が流れると、隊員は仕事場から制服に着替えて現場に向かうというシステムだ。
「ならば、多少はお役に立ちましょう」ということで、庭の落ち葉掃除で喉が乾けばシュプリッツァーを、夕食もエファ方の両親イルゼ&ペーター、そして子供達とここでとることにする。
Harlan Estate 06, もちろん美味しゅうございました。
そうそう、今日はミヒャエルの友人がお城を訪れており、昼食のおこぼれにHarlan Estate06をいただきました。非常に官能的で豊満なワイン。紛れも無く素晴らしいワインなんだけど、物凄くよくできているんだけれど、何故か訴えるものがないなぁ。


ワインって美味しいことは勿論大切なんですが、味わいに必然性がないと訴えるものがないんです。必然性、つまり「らしさ」ですね。それは土壌や気候から来ることもあれば、歴史や伝統から来ることもあるし、造り手のポリシーから来ることもあれば、その年の天候から来ることもあります。そういうものよりも、ユニヴァーサルな「美味しさ」が前面に出ると、どう表現しましょう…、このワインの場合は、顔立ちの造作の大きなアメリカ美人が、ヨーロッパ著名ブランドの洋服と宝石で着飾り立てたような、非常にレベルは高いのに、何かプラスティックな、上質なのは確かなのだけど、何か全てのパーツがリアリティーのないところで浮遊して、結合していないような、そんなイメージなのです。


アーティストがその作品にリアリティを求めるように、ワインも、そのリアリティが美味しさと結びついたときに、最高傑作になるのだと思うのです。