2011年9月8日木曜日

名物マリレン・シュナップスの蒸留に立ち会う


9月6日(火) 



お城の北側、ランゲンロイスに通じる道を挟んでお向かいのサックスさんちのワイナリーで、今マリレン・シュナップスMarillen Schnaps (或いはマリレン・ブラントMarillenbrand)を造っていると言うので、仕事を中断してお邪魔しました。

昔の馬小屋を改造したこの辺りの典型的小規模ワイナリー

ビルギット・サックスは規模の小さなWeingut Saxのおかみさんであると同時に、我がSchloss Gobelsburgのオフィスの一員でもあります。

セラードアの入り口を開けると、フワーンと漂うマリレ(=アプリコット)の酸っぱ甘いいい香り。部屋の左奥にその香りの元がありました…単式の蒸留器。


右の長い筒に窓が沢山あるのは、アルコール度数の違う蒸留酒を取り出すだめ。


写真を撮ろうとすると、スルスル、ッとフレームの脇に消えてしまう照れ屋のお父さん。でも私が下手糞なドイツ語(こういうことろで英語が通じることは、まずありません)で、自分はワイン・ジャーナリストで、ワイナリーには山と訪れたが、蒸留をしている現場を見るのは初めてだと告げると、蒸留器には電気式と薪を燃やすものがあること、最初に蒸留されるのはメチル・アルコールであること、2回蒸留するやり方もあるが、ここでは1回しか蒸留しないこと、などなどを話してくれました。「こうやって座ってるだけで、1時間半もあればできるんだ。眠っててもできるよ」と笑いつつも、ちゃんと竈の火は絶やしません。コンスタントにポット部分が60℃くらいをキープする必要があるのだそうです。


温度計はほぼ60度を指している。機械一式のお値段は250-300万程度、とか。





既にボトルに詰められたマリレン・シュナップスを試飲させてもらいました。
アルコール度が50%近くあるはずなのに、喉を刺すような感覚は皆無。アプリコット果汁をさらにピュアにしたような、角の取れた優しい味わいだ。特に透明でトーンの高い、それでいながらおだやかな香りが素晴らしい。

うーん、これは仕事中にはあまりにも危険:)

「とってもナチュラルで柔らかな味わい。いつまでも香りを嗅いでいたい。日本に帰るときは一本買わせて下さい。」と言うと、「手の甲にシュナップスを一滴垂らして、2分以上香りがもたないのは、フレーバー添加。2分以上経ってもちゃんと香るのが本物。」と教えてくれた。

段々打ち解けてくれたお父さん
帰りがけ、言われたとおり手の甲に一滴垂らしたマリーレンは、お城に戻って10分以上経っても、清清しい香りを仄かに保っていました。