2011年9月6日火曜日

ゼクト用ブドウ収穫開始!

9月5日(月)
今日からゼクト用のブドウの収穫が始まる予定、というのは知っていたが、なんだか天気は晴れたり曇ったり、小雨がぱらついたち。昼時に労働者用昼食部屋を覗き、確かにRenner畑で朝から作業を始めていることを確認。チーフ・ヴィティカルチャリスト&ワインメーカーのカーナーさんに頼み込んで午後から収穫作業に加わった。


収穫3種の神器:はさみ、手袋、そして水

Renner(読み方はレンナ­ーとレナーの間)は、ハイリゲンシュタインHeiligensteeinとともにカンプタールを代表するリースリングの銘醸畑ガイスベアクGaisbergの麓部分にあるグリューナーの畑。その一部の樹齢15年未満の若木から、ゼクトに使うブドウを収穫する。



地元民、ガイゼンハイムからの研修生、ルーマニアからの労働者達などに混ざって収穫開始。
要領は写真の作業前(上)と作業後(下)をご覧いただければわかるように、新梢に対し、ブドウがひとつだけ残るように他の実を鋏で切り落とす、謂わばグリーン・ハーヴェスト。その落とす実をゼクトに使うのだ。それって賢いと言うべきか、それじゃ高品質は望むべくもない、と言うべきか…。けれど、落とした房の実はかなり甘い。


作業前
作業後





















           それにしてもこうして中腰で一日9時間以上の作業。別に力が要る訳ではないが、かなりの重労働だ。

作業は朝6時45分から12時、午後1時から5時まで。
しかしゼクトのベースが全てグリーン・ハーヴェストの果汁、のはずは断じてない。本場のシャンパーニュも品種間、畑間、ヴィンテージ間のアッサンブラージュが命のワイン。おそらくブレンドの妙が色々あるのだろう。その辺のところはちゃんと追跡確認しておかねば。
常々私はオーストリア・ゼクトの王者はブリュンドゥルマイヤーだと思っているのだが、同じカンプタールで、メトード・シャンパーニュで造られる2つのゼクトのスタイルと品質の差はどこにあるのだろう。彼のところもグリーン・ハーヴェスト果をアッサンブラージュしているのか、今度聞いてみよう。
さて、新梢に対し1房だけブドウを残す作業の結果、1本のブドウの木に通常6房が残ることになる。そしてあと2週間ほど風味の成熟を待って、今度はエアステ・ラーゲEaste Lage(所謂グラン・クリュと1erクリュを合体させた概念)“ガイスベアク”の名を冠したワインに使うブドウを収穫することになる。


3時ころから雲行きが怪しくなり、雷鳴の後、大雨に。直前に予定作業完了。ほっ。
畑が大分濡れたので翌朝は作業を9時からに延期。我々の願いは叶い、火曜は見事な秋晴れとなった。


大雨が降り出す3時半前に、見事に予定区画の収穫完了。
正午と午後5時にトラクターで小型の収穫ボックスをピックアップし、ブドウはそのままワイナリーへ。ソーティング・テーブルで更に葉などを取り除き、ブドウはそのままホールバンチで即座にネウマティック・プレスにかけられる。うちには垂直プレスもあるのだが、今日の作業に関しては使われていなかった。

ソーティングテーブルで混入した葉や、質の悪い実は除去。

そして、ネウマティック(空気圧式)プレスへ
畑で念入りに、更にソーティング・テーブルで選果されたブドウは、グリーンハーヴェスト果と思えぬ粒ぞろい。


ゼクト用果収穫初日に尋ねるのも早過ぎるか、とも思ったが、カーナーさんに今年のグリューナーのキャラクターについて、聞いてみた。


やはり8月最後の熱波の影響で、現時点で糖度は高いが酸はやや低目、ということ。
最近のヴィンテージでは、今年同様熱波があり、収量と品質、どちらも満足の行く出来だった07年に近い、らしい。
ただし07年は成長期に雨が多く、一転した7月の熱波の後、収穫期は非常に冷涼かつ晴天に恵まれ、最終的には綺麗な酸のよく伸びる、所謂クラシックな味わいの年になった。


ゼクト用ブドウの収穫を終えて2週間後、スティル・ワインの収穫の頃がどんな天気になるのか。今後の天候変化と最終的なワインになるまで、スタイルがどう変遷して行くのか、ワクワクドキドキものだ。