2012年4月6日金曜日

オーストリア版“家政婦は見た”

今度の日曜、8日はイースター。「春分の日の後に来る満月の後の最初の日曜日」という、いわゆるmovable feast(移動祝祭日)ゆえ、商魂たくましい日本市場でもクリスマスやヴァレンタインデーのように商業化されることがなく、イマイチ馴染みがありませんね。
イエス・キリストの復活祭ではありますが、ギリシャ正教やラテン諸国では、元々ユダヤ教の祭日がキリスト教の復活祭と習合した形跡が、あちらでの”パスパ”という名称に残っていますし、一方でドイツやオーストリアの名称“オステアンOstern”は、ゲルマンの春祭りEostreエオステレ由来らしく、イースター・エッグやイースター・バニーの風習はこちらが出所とか。さらにこのゲルマンの祭りはもっと遡ればケルト起源だとも言われています。
イースター休暇でワイナリーとの連絡もあまりつきません。バニーの背後にある"The Austrian Mind"でも読むことにしよっと。
Trashfilm! Mond! Nazis! という新聞見出にも惹かれます。B級もナチ耽美モノ映画も大好きなプリンセス…。
右横は蜜蠟キャンドル。プリンセスの心を落ち着け、鼻をニュートラルに保つ秘密のツール : )です。灯しません。
さて、そんな訳で先週末から学校は休み。私がお城に戻った翌日から、家族は全員でメキシコへと旅立ってしまい、プリンセスはお城の使用人&エラちゃん、そして既に外出はできない100歳近い曾おばあちゃんとともにイースター休暇(といってもワイナリーのオフィスは今日も稼働)を過ごしています。

そうなると、当主夫妻の目が届く普段のお城の状況とは違った、使用人達の本性&本音に触れることができます。
いつも背筋をピンと伸ばして、来客のグラスやら吐器やらをテキパキとセッティングしている近所から通いのオバハンは、日に何度もオフィスに現れてはしょーもない世間話をしてガハガハと笑って行きます。
お城全体の掃除が仕事のルーマニア人(おそらく)家政婦は、ご主人様一家の居る普段、7時には現れて、ほぼ午前中一杯かけてお城中を掃除しているのに、ここのところ7時半頃から仕事を開始し、10時前にはもういなくなってしまいます。
夫人エファと同い年で、彼女からの信頼も厚いスロヴァキア人家政婦は、足腰が弱りボケも入っているウルママ(曾おばあちゃん)につきっきりで面倒を見るのが役割ですが、通常黙々とこなすところを、ご主人様不在の今は、逐一曾おばあちゃんの行動のあれこれを家政婦仲間に報告しています。

実は昨晩から、そのウルママが幻想に振り回されているらしい。11年前に既になくなっている夫を探そうとしたり、電話をかけようとしたり…。心の痛む状況です。
朝食時、その詳細報告を受ける中、彼女はプリンセスに「スロヴァキアではアルツハイマーやボケ老人は少ない。でもここオーストリアではものすごく多い」と力説。プリンセスが「食生活が理由?」と問うと「いや、働かないから」とひと言。「え、でもウルママはレストランを経営してたし、子供も3人いたし、働き者だったんじゃないの?」と返したところ、「忙しかったかもしれないけれど、エファと同じで、経営者としてのこと。トイレの掃除もしたことがないし、畑仕事もしたことがない。厳しい労働は必ず誰か他人がしていた。十分働かないと老いてからボケる。」と、真顔で宣う。
本人悪びれずに話していますが、それって潜在意識に「我々にそういう仕事を押し付けて、労働をしない者へは、祟りがあって当然」と刻み込まれていることが透けて見える発言です。ひえー、コワ!!

毎日タダ飯食って(真相はそう簡単なことではありませんが)ヌクヌクお城住まいしているプリンセスなんぞ、不在時には何を言われているか、大体想像がつく、というものです : )…。