2012年2月3日金曜日

アイスヴァインのプレス&発酵

今日はアイスヴァインのプレス作業を振り返ります。
6時45分に収穫作業が終了。摘み手には朝食とグリューヴァイン(或いは紅茶)が振る舞われます。
…が、プリンセスがカーナーさんに「プレスはいつ?」と尋ねると「Jezt!」というので、慌てて外に出ると、7時8分にはこういう状態で今摘んだブドウがネウマティックプレスにソーティングテーブルを経て流されて行きます。
7:08ブドウがプレス機へ。

 ブドウがガチガチに凍っているので、「何事か?」と思うほど物凄い音を立てています。「よくプレス機が壊れないなぁ」と言う位ケタタマシイ。まだ温度が低過ぎて果汁が搾れない、というのでソーティング・テーブルから2,3粒拝借し、食べてみました。…完璧にシャーベット。指で潰しても汁は出ません。
凍った実。この状態では搾れません。

ところで、プレディカーツヴァインには色々申請が必要で、特に貴腐とアイスヴァインの収穫には必ずインスペクターが立ち会うことになっています。なるほど知らないおじさんが一人。収穫から戻ると我々一人一人と"Guten Morgen"と固い握手を交わして挨拶。法定温度より高い温度で絞った方が当然量は水増しされますから、そういうことのないように、監督している訳です。
待つこと30分あまり。ようやくブドウが絞れる状態に。
ネウマティックで絞られる果汁は下方の樽で発酵されます。
見慣れぬ小樽は、なんとウイスキー用。
プレスはネウマティックとヴァーティカルの2種で行います。これは単にロジスティック上の理由。適温に達したら即座に全てのブドウを絞るために、ウチには2つのプレス機しかないので、一挙に稼働させるしかないのです。
でも、両者その後の扱いは異なります。ヴァーティカルで絞ったものは、その時点で空気に十分触れているので、ステンレスタンクで発酵。一方ネウマティックは空気に触れないので、小樽で発酵させます。
でも、この小樽、見慣れぬもの。それに新樽。聞けば地元のウイスキー樽メーカーから借りている(3か月間使用したらメーカーに返却する)そう。要は、獲れるか獲れないかわからないし、何樽分になるのかもわからない貴腐やアイスヴァインに固定設備投資はできないのです。
「え? でもから出る風味とか、酸化具合に違いはないの?」と質問すると、「長く熟成するなら違いも出るだろうけれど、発酵中は風味はつかないし、3か月だけだから問題ない」とのこと。
貴腐とアイスヴァインに使用。
Traditionのプレスにも登場したvertical press
果汁が空気にムキ出しですから、その後はタンクで発酵

ね、果汁が入ってきています。
朝食の様子。今度は急に暖まってカメラのピントも緩みがち?
なにせマイナス10度前後での作業。ワイナリー側は専用調理人の用意した暖かいソーセージとグリューヴァイン、そしてお茶で労をねぎらいます。
おそらく一番安いツヴァイゲルトに水、フルーツの皮と砂糖、スパイスを加えたものでしょうが、このグリューヴァインが冷えた体に沁みわたります! 一杯300mlは入ろう、というマグで2杯目をお代わりしようとして「ねえ、このグリューヴァインのアルコール度わかる?」と聞くと、ワイン3に対し水1との説明。「じゃ、アルコール10%くらいはある訳かぁ…」と、この直後にオフィスワークが山と溜まっているプリンセスは躊躇してしまい、後ろ髪を引かれる思いで、あと一口分だけいただきましたとさ(涙)。