2012年2月23日木曜日

グロース Gross…梅雨どきに飲みたいワイン

まだ根雪も残る中、梅雨の話をされても…ですよねぇ。
でもGrossのワイン、特に彼らのベーシックなクラシックタイプのワインは、是非「鬱陶しい梅雨時にゴクゴクと」飲んで欲しいと、プリンセスは思います。

では、ワイナリーを訪れてのテイスティングでのお勧めと気になった点をご報告します!
テイスティングルームに溢れる凛とした空気を感じていただけるでしょうか?
☆Welschriesling ヴェルシュリースリング STK 2011
注:STK &Steirische Klassikについての詳細は以下サイト参照のこと。http://www.stk-wein.at/weine.html 要は新樽のかかっていない軽快なワイン。
青リンゴの風味にスキッ、キリッとした酸。「梅雨ワイン」最右翼。単体でゴクゴク飲んでも美味しいが、野菜多めのターフェルシュピッツのアップル&クレンソースとの相性の良さからして、水炊きやポトフ、野菜や香草を上手く使った軽めの肉料理や魚料理をすっきり引き立てること請け合い。

Jakobiヤコービ 2011
この辺りで300-400年にわたって使われて来た農作業暦 Mandel Kalenderがラベルの楽しいワイン。Sauvignon Blanc主体で、年によりWeissburgunderがブレンドされる。熟したアプリコットと柑橘系のノーズ。程度な酸とミネラル。エルダーフラワーの風味。軽いスパイス。中程度の余韻。TPOや料理を選ばない、気軽でしかも非常に良質なワイン。

☆Weissburgunder Steirische Klassik 2011
落ち着いたオレンジやナッツの香り。酸はやや緩いものの、カマンベールチーズの皮のような旨味とキレイでサラリとした果実風味が魅力的。中程度の余韻。ヴァッハウからシュタイヤーマークまで、この国のヴァイスブルグンダー(=ピノ・ブラン)は見過ごされがちな宝物だ!

Muskateller Perz 2011 Fassprobe
川の堆積物である砂地の畑。その前に試したGelber Muskateller Steirisch Klassikとの畑&樹齢差による格の違いを見せつけた、ミネラル感とキメの細かいテクスチャー。節度あるアロマ。

☆Sauvignon Blanc Steirosche Klassik 2011
エルダーベリーの穏やかで柔らかなアロマ。この控えめさこそGrossの魅力! 適度な酸とミネラル感と余韻。あまりに秀逸過ぎて思わず見過ごしてしまう程のバランスの良さ。シュタイヤーマークの良心、とでも呼びたい味わい

Sauvignon Blanc Sulz 2011
海の堆積物と川の堆積物の混ざった南向きの畑。Grossの単一畑中最も暖かい。ヴァイスブルグンダーにも感じた白カビチーズ&オレンジの香り。ミネラル感とSBにしては落ち着いた酸。比較的わかりやすい果実味。

☆Sauvignon Blanc Sulz 2010
涼しげな香り。湧き出すような勢いのある酸。後半に軽い蜜のタッチ。長い生き生きとした余韻。柑橘系のフィニッシュ。

Ratcher Nussberg 2010
グロースラーゲ。石灰の強い海洋堆積土(石灰、マール、オポック)。香りはハーバルでストーニー。でも味わいがいつものNussbergではないような…。酸に切れがないし、多少ペターっとのっぺらぼう。余韻は長い。

ここでプリンセス、ちょっと勇気が要りましたが「このワインは減酸をしましたか、MLFを意図的に止めませんでしたか?」と聞いてみました。
どうやら両方ともYesだったよう。
前日のブログのヒルシュ(カンプタールDACのグリューナー)と、シュタイヤーマークのグロースラーゲの長熟を意識したSBを単純に比較していいものかよくわかりませんが、「減酸も、MLFを意図的に止める行為も、その微妙なサジ加減やタイミングがとても難しい割には、得るところが少ないのではないか」「かなり高い酸があっても、果汁が健全であれば、多少時間を要するけれど、自然に任せた方が、最終的に絶妙に味わいのバランスを取るのではないか」というのが、現時点でのプリンセスの予測です。でも自分でワインを造った経験がある訳ではありませんので、全くお門違いな予測かも知れません。これについては、もっと色々な生産者の意見を聞いてみたいと思っています。

Sauvignon Blanc Privat 2010
ここからテイスティングのお相手はお兄ちゃんのヨハネスに。ヌスベアク最後のセレクションで、干乾び縮み始めた状態のブドウだけで作った、彼によれば「一番価格は高いけれど、テロワールを反映しないし、ウチのフラッグシップではない」ワイン。確かにクリーミーでリッチ&フルボディだけれど、フィネスやティピシティ、アイデンティティは感じない。ものすごく贅沢な、オレンジマーマレード、クローヴ、ヌガーなどのリッチな旨味が、これでもか、これでもかと出て来るワイン。

実はプリンセス、この20代前半の頃から(今おそらく25歳くらい)「いかにも農夫」な風情を漂わせるお兄ちゃんの大ファン : )
毎日畑でしっかり仕事をし、仔細に土とブドウを観察している人間にしかわからない「真理」を決して上手とは言えない英語で、でも懸命に語ってくれるからです。深い真実の前に、小手先の語学力など問題ではありません。
今回も、「2月1日にアイスヴァインの収穫をした」と話すと、「そりゃ遅過ぎる。何度もそれまでに凍ってるからね。本当は一番いいのは11月にアイスヴァインが収穫できた時」と、これまで誰も教えてくれなかったことを話してくれました。
慌ててお暇するる前に、パチリ。
向かって左が弟ミヒャエル。右が兄のヨハネス
ウィーン大学で醸造学を修めた理知的な弟ミヒャエルと、いかにも勉強嫌いだけれど餓鬼大将転じて頼りになる兄貴ヨハネス、そしてマーケティング&セールスを担当するやはり若きシュテファン。後ろにしっかり控える賢父アロイス。
なんとか日本市場に根付いて欲しいワイナリーです。