2012年8月12日日曜日

夏休み畑偵察 その2 シュタインセッツ

シュタインセッツ越しにお城とハイリゲンシュタインを望む。
お城ワイナリーことシュロス・ゴベルスブルクの所有畑は、お城の北側 (ハイリゲンシュタインとガイスベアクの丘周辺)と、 と南側の緩斜面に大別されます。
北側は原成岩をレスやロームが覆っている土壌で、言わずと知れたリースリングとグリューナー・ヴェルトリーナーの銘醸畑が目白押し。
一方南側はレス主体で、白のベーシック・ワインに使うブドウを育てている他、黒ブドウや独特のグリューナーの畑が広がります。

その、“独特”というのがシュタインセッツSteinsetz畑
実は、現在はここゴベルスブルクより遥か南に位置するドナウ川ですが、大昔にはこの辺りを流れていたようで、かつてのドナウが運んだ砂利が堆積し、後の地殻変動で隆起した一画が、そのゴロゴロ出てくる石に因んでシュタインセッツ(石が置かれた場所、くらいの意)と呼ばれているのです。
シュタインセッツはエアステ・ラーゲではありませんが、旧ドナウが削ってきたであろうアルプス産の石灰を多く含む小石に起因する溌剌としたミネラルと、温まりやすい小石土壌が育む豊かな果実味と厚みが非常に魅力的なワインを造ります。この美味しくて個性的なスタイルと、ラム、グループなど銘醸畑のグリューナーに比較して非常にお求め易い価格の相乗効果で、お城ワイナリーの単一畑ものとしては断トツの人気者です。

さて、今朝は美しい朝焼けに誘われ、朝食後にシュタインセッツへ足を伸ばしました。神々しいばかりの朝の陽光に花々が映えること!
ご近所の薔薇
お城の庭。白薔薇が見事。
ここも庭。光の降り注ぐさまにしばし見とれていました。
手前がシュタインセッツへの近道。この辺りの土壌は見ての通り砂がちなレス。
この小さな断崖がシュタインセッツの入口。小石、そして中央下方の黄灰色部分は石灰。



ブドウの根元に石(シュタイン)がゴロゴロ。
おお、既にかなり美味しそうな状態!
おまけの1枚。シュタインセッツ後方の畑の木。石コロはもうありません。
妙に葉が小さい! クローン違いか、発育不全か…。
さて、このシュタインセッツを南北からサンドイッチするカタチで、北側のお城に向かう下り緩斜面と、後方(南)西側のやや標高の高くなる台地(Alte Haide, Haidegrund, Haide)には、ピノ・ノワール、St. ラウレント(=ピノのハーフ)、ツヴァイゲルト(ピノのクオーター)のピノ系3姉妹とメルロが植えられており、既にヴェレイゾンが始まっています。



以上はシュタインセッツ後方(南)側の畑のツヴァイゲルト
北側、お城に最も近いホーフシュタット畑のメルロ?
さて、シュタインセッツを北から南へ抜け、更に南奥の畑(キルヒグラーベンKirchgraben)のツヴァイゲルトが既に色付き始めている(ベレイゾン)を見届けた後は、同畑の縁を東から西へと歩き、さらに北側の縁を斜めに下りて、お城のすぐ南に広がるホーフシュタットHofstadt畑を観察。

例によって畝の左右の仕事の違いを品定めしていると、プリンセスの目に入るものが…。問題は向かって左側の列のブドウ達。近くに寄ってしかと目を凝らすと…?
植わっているのはグリューナー。さて、このいかにも仕事の異なる畝の左右に、一体何が???
プリンセスが鳥肌を立てたその光景は、明日ご報告します!