2012年8月26日日曜日

シェーンベアガー創立20周年記念イベント その1@遠出の訳

さて、グチもこの辺にして : )

昨日土曜は、Weingut Schönbergerシェーンベアカーの20周年記念祝イベントにお呼ばれし、はるばるノイジードラー西岸をルストよりさらに南、ハンガリーから数百メートル、というところまで行って参りました。
シェーンベルガーは、元プロ ロック・サックス奏者にして音楽教師のギュンターとミカエラ夫妻が、Mörbischメアビッシュで営むビオディナミ(デメター認証)のワイナリーです。
さすが元シアトリカル・ロックバンドの
プロ・サックス奏者。絵になります。
車があれば別ですが、公共交通機関だと接続が順調でも3時間半、下手をするを5時間近くかかる距離。当然宿を取って行く必要があります(ここからだとウィーンでちゃんとした夕食を摂っても必ず泊まりとなります、トホホ)。
なので最後まで行くか行くまいか迷っていたのですが、背中を押した理由は以下の2つ。

1)スタイルの変化
今年5月末のVieVinumで試飲した彼のワインには、3年半前、拙著執筆のための取材の際とは、明らかな変化が認められたこと。
VieVinum時のブログにも記しましたが、タンニンがより軽く円やかでエレガントなスタイルへ、という方向は9年前からプリンセスが待ち望んでいたこと。取材時に「この重苦しいタンニンさえなければ、いい果実味なのになぁ…」と残念に思っていたプリンセスは、この変化を大変好ましく思う一方で、あまりに多くのワイナリーが、振り子が逆に振れたかのように一斉にこの方向に向かっているのを、多少怪訝にも感じていました。それで、実際に何を変えたのか、どうして変えたのか、などなどその背景について、生産者に直接色々聞きたかったのです。

2)汎ライタベアク・キャラクター
オーストリアの赤、と言えばブラウフレンキッシュ、ブラウフレンキッシュと言えばミッテルブルゲンラント、というのがこの国の常識。ではあるのですが、プリンセスは最初にオーストリアの土を踏んだそのときから、本場ミッテルブルゲンラントの赤は、少数の例外(モリッツのネッケンマークトやルッツマンスブルク、ゲゼルマン、イビー、シルヴィア・ハインリッヒなど)を除いて、質はともかく趣味の問題として、特にホリチョン近辺のワインは、重く垢抜けないスタイルが苦手でした。有機やビオディナミ採用と新樽比率の低下により、ヴェーニンガーのワインにしなやかさと鮮度感が出て、イビーにも更にエネルギー感が増し、セメシュなどトラディショナルでナチュラルなスタイルの造り手も見えてきた今でも、プリンセスの赤一番の関心事は、シュピッツァーベアクやアイセンベアク、ライタベアク…(おお、見事にbergばかり!!)、と言った、むしろ周縁の、エレガントなブラウフレンキッシュです。
中でもライタベアクは、その白(特にピノブランとGVの古木)の質の高さやお値頃感、それから、厳密にはライタベアクには含まれないけれども土壌(貝殻石灰 on シスト)や中気候(特に山から吹き降ろす冷たい風)に、その影響を非常に強く受ける“汎ライタベアク”とでも呼ぶべき地帯でできるブラウフレンキッシュ(i.e., ETのマリーエンタール、オーベレアヴァルト、ヴェンツツェルのバントクレーフテン、プリーラーのゴルトベアク辺り)こそ、力と繊細さを兼ね備えた世界トップレベルの赤を造れる最高のポテンシャルを持つのではないか、と常々思っているなど、とても興味深い産地。で、このメアビッシュという土地も、その汎ライタベアクに被るのでは、と思われたからです。※ライタゲビアゲからかなり距離があるにも関わらず、ルストと異なり、メアビッシュは法制上もライタベアグの範囲内です。

さて、例によってÖBBのサイトの乗り換え時間通りには走ってくれない週末のオーストリアの交通事情。4時間ちょっとの時間を費やしてたどり着いたメアビッシュは、ルストに負けず劣らず、いやルストよりも更に魅力的な瀟洒なリゾート・タウンの趣でした。










ドイツ語で案内を受けたプリンセス、実はこの行事を業界向けイベントだとハナから思っていたのですが、参加してみれば、これは根っからの一般顧客向け! 一人で参加しているヒトなど誰もいません…(涙)
けれどその分、ちょっと凹んでいたプリンセスの気分転換にはもって来いの楽しさでした!

と言う訳で、これから3回に分けて、イベントと翌朝のお宅再訪問の様子をお伝えします。
明日はまず、ノイジードラーゼーの遊覧船での2時間に及ぶテイスティング・クルーズの模様から。