2012年8月17日金曜日

やられた! カード番号盗まれました…

のんびりピクニックを楽しんでいるかに見えた水曜の朝、日本から「カード会社にカード使用の件で連絡するようにとtel有り」とメールが入りました。
すぐに電話をしてみると、その日の朝5時頃と7時頃に私のカードでロンドンの演劇チケットが2回分、ドイツの航空会社の航空券、ノルウェーの航空会社の航空券、合計およそ10万円の買い物がネット上でされている、と告げられました。なんでも従来の購買パターンから外れた取引があると、すぐにチェックが入る仕組みになっていて、引っかかったんだそうです。
私がカードを落とした訳でもなく、勿論そんな買い物をした覚えもないことを確認。カードを止めて電話を切りました。クワバラクワバラ。

さて、問題はここからです。

実は我がお城の使用人の一人が、その前の晩、3週間交代の勤務を終えて故郷である隣国に帰って行きました。
彼女から聞かされていたところでは、戻った当日か翌日に夫とともにロンドンに住む娘を訪ね、ロンドン観光を楽しむ、とのこと。
さらに彼女は数日前、私にこんなことを漏らしていました。「娘は英製造業で品質管理の要職にあったが、新任の同僚が上司といい仲になり“ベッドキャリア”を築いたので嫌気が差し、ノルウェーで新しい職を探しており、そちらが決まってから現職を辞めるよう言っている」と。
こんな話も聞かされていました。「娘の英銀行口座のお金が独に無断で移動されていて、彼女は貯金を全て失った」そう。(「そんなバカな!」と思いましたが、とにかくお互い不自由なドイツ語での会話ですから、あまり突き詰めないことにしています。)

あまりにカードの不正使用先と話の顛末が一致し過ぎないでしょうか?

そう疑ってみると、プリンセスの周囲は今回オーストリアに戻ってから、おかしなことが続いていました。
まず、帰ってほんの数日後、いつも机の上に置きっ放しにしてある外付けDVDプレーヤーがどこを探しても見つからないことに気付きました。このDVDプレーヤー、日本帰国時にも出張にも持ち歩いたことはなく、紛失のしようもないモノ。一瞬「盗まれたのか?」という考えも頭をかすめましたが、私をよく知るヒトはご存知の通り、プリンセスは正真正銘の“片付けられない女”です。いつ奇想天外な場所からモノが出てこないとも限りません。「ちゃんと片付けもできない人間が他人を疑うのはよそう」と、邪念を振り払っていたところでした。
またカード不正使用が明らかになる前日の夜、日本から戻る際に空港のユニクロで買った未開封の下着が見当たらないので不思議にも思っていました。けれどこれも「よく探せば出てくるだろう」くらいに考えていたのです。
因みに私の部屋は、留守中使用人によって大掃除されます。また、こちらに戻ってから、夏休み中ということで、使用人といっても極々家族に近い人間しか存在しないため、自室に鍵もかけていませんでした。

プリンセスを悩ませているのは、この使用人がお城に8年も仕えるベテランかつ本当に働きモノで、恐らくモースブルッガー家からの信頼も最も厚い人物である、という事実。
中途半端な状況証拠で他人を疑うのは良いことではないし、おかしな噂話を従業員や使用人の間に無責任にバラ撒くような真似だけは慎まねばなりません。

けれどもここまで辻褄が合いすぎると、プリンセスとしても彼女を疑わない訳には行かないのです。

しかも、彼女が自国に帰っていくその日の昼間、私がオフィスから自室に戻って来ると、部屋の前でバッタリ彼女と遭遇。自室の前は洗剤等をストックする倉庫ですから、プリンセス本人はそれをなんとも思っていなかったのですが、彼女自身は大層慌てた様子で「怖がらなくていい」を連発しながらそそくさといなくなってしまったのです。

そしてなんともモノ哀しいのは、その日、その盗まれた未開封の下着とともに、プリンセスは洗濯したばかりの下着も一緒にしておいたのですが、きっと彼女はプリンセスの部屋で私の気配を感じ慌てる余り、古い下着を捨て置く余裕がなかったのでしょう…、新品と一緒になくなっていたことです。

現在事件はカード会社によって調査中。航空券の搭乗者名を照会すれば、すぐに真相は解明しそうなものに、相変わらず金融機関のやることは、被害届のネット送信すら拒否。これからエアメールで届くのを待ち、更にそれを日本に返送し…調査が本当に始められるまでにたんまり2週間近くかかってしまうことでしょう。

彼女を犯罪者に仕立て上げたい訳ではありませんが、これはやはり犯罪ですし、泣き寝入りすれば、また起こるでしょう。
それに、お城を管理するミッヒとエファには、彼女が犯人であった場合には、きちんと起こったことを伝えねばいけないと思っています。
私が知りたいのは『真相』それだけです。

プリンセス、こういうことがあると、自分がお城の家族や従業員、使用人にどのように見られているのか、なんだかとても重苦しい思いに沈みます。

私としては3週間後、彼女がお城に再び戻って来る前に、なんとかコトの真相が突き止められていることを願いたい。
真相が調査で突き止められなかった場合、彼女と面と向かって話をするのか(やっていたとしてもyesという可能性は限りなく低く、Noと言われたところで私が信じられるわけでもなし)、まずエファとミッヒに相談を持ちかけるのか…。

本当に気の重いプリンセスであります。