2011年12月6日火曜日

オーストリア応援団長より団員の皆様へ        その1 プロこそ意識改革を!

帰国中プリンセスは、オーストリアワインを売ったりサービスしたりしている人々、そして一般のオーストリアワイン・ファンの話を随分色々聞きました。
そして、聞いていてときどき悲しくなりました

「オーストリアでワインを造っていることを知るお客様は少ない。」
「美味しいけど売れない。」
「ウィーン・ワインは売れます。ウィーンに行ったことのあるお客様は多いですから。」
そう言えば、最近ベートーヴェンのお馴染み”悩める肖像画”がエティケットの“日本向け特別仕様第九ラベル”なるグリューナーが発売されたとか。

そもそも、「オーストリアワインの市場開拓」といえば、判で押したように百年一日の如く「ホイリゲ」と「クラシック音楽」しか切り口が出て来ないのは寂しい限り
日本といえば「フジヤマ」「ハラキリ」「ゲイシャ」ってのと全く同じ発想ですよ、それって。

本当は、オーストリアワインは、団体ツアーでウィーンを訪れる中高年にだけではなく、美味しい食べ物や美味しいお酒、質の高い音楽や絵、芝居好きに、或いはエコ意識の高い生活者に切り込む取っ掛かりを山のように持っているのに!
にもかかわらず、オーストリアワインの消費が日本でなかなか伸びないのは、ワインを提供するプロ達が知っている、ワインのプロにも理解できる『お客様の興味』のレベルが、モーツアルト、シューベルト、ベートーヴェン(悪いけどドイツ人: )、シェーンブルン宮殿、ホイリゲ、シュニッツェル…に留まっているから、というのが真の理由ではないのか、と最近プリンセスは疑っています。

仏に行けばトップホテル&三ツ星レストランの味とサービスを貪欲に吸収しようとするトップソムリエ達さえ、オーストリアを訪ねるとなると「美味しいホイリゲとカジュアルなレストラン、宿は普通のB & Bでいいから」となり、この国のトップホテルやレストランに興味を示しませんオーストリアのガストロノミー&ホスピタリティ業界のレベルはスイスと並んで欧州随一と認められているにも拘わらず、です。

ですが、もっと深い見方をすれば、文化的付加価値を取り去っても、しっかりワイン自体の本質的魅力、品質の高さを伝えられてこそのプロだ、と言うのが正論でしょう。

シャンボール=ミュジニィは、シャンパーニュは、シャブリは、バローロは、現地に行ったことのあるお客様だけが飲んでいる訳ではないでしょう?
仏文化を語れなくともブルゴーニュはお勧めできるでしょう?

ワインのプロとして、あなたが心からオーストリアワインの品質を評価できるならば、何もオーストリアワインをことさら文化と結びつける必要もないのです
文化的装飾か知名度に寄りかかってしかワインが勧められないのは、本当のプロではありません。

ただ、それは正論なのですが、どうも今、オーストリアワインの質の良さを伝えるために、土壌や気候、ビオディナミを含む特定の栽培&醸造テクニックに並々ならぬ興味を示す「オタク」ばかりを相手にし、タコツボ化したオタク集団の中で満足しているプロが多過ぎるような気も、一方でするのです。

テクニカルな深みに嵌ったり、枝葉末節に走るあまり 「提供する側がお客様の幅を狭めてはいないか?」とも逆にプリンセスは危惧しています。
デパートや酒販店などの「オーストリアワインフェア」に集う人々には、超のつくワインオタクが多く、その輪に入るのは勇気が要る、という話も耳に挟みました。

オーストリアワインを、土壌や気候、特定のテクニカルな情報に反応できる層だけの“カルトワイン”や“レアモノ”にしておくのは、あまりに勿体無い!
前述したように、この国のワインには、もっと『フツーに』良質の生活を楽しみたい層にアピールする、味わいやスタイルの素地と切り口(食、ホスピタリティ、歴史、美術、登山、スキー、クラシック音楽、オペラ、芝居、心理学、ビオディナミ、オーガニック、エコ…)が沢山あるからです。

お客様の側は、それぞれもっと重層的で多面的なオーストリアの面白さを自分に引き寄せて楽しむ素養を持っているのに、ワインを提供する側のオーストリア理解こそが、観光地土産ワインレベルに留まっているか、或いは一足飛びにオタク&カルト路線をひた走っているだけのような気が、プリンセスにはしてなりません。

だからプリンセスは、仏や伊、スペインの食文化を吸収するのと同じ真剣さと貪欲さで、現代芸術を論ずるのと同じクールな目線で、AKB48に熱狂したり家政婦のミタを面白がるのと同じ気楽さで、オーストリアの食文化と付き合えるプロの増加を心から望んでいます。一人で全部は無理かも知れませんから、色々なアプローチがあっていいと思います。

お客様の興味関心&好奇心を充たせるよう、或いはオーストリアワインの個性と品質の高さを真っ当に伝えられるよう、もっとこの国の文化芸術を、食生活を、ホスピタリティ&ガストロノミー業界を、ブドウ&ワイン造りを、娯楽&芸能を、日本のプロには知って欲しい

観光ウィーンしか知らないお客様には、その市中に同国を代表するサイトのひとつ“ヌースベアク”があることや、市中のワイン畑を保護するために様々な法的措置が取られていること、また車でそこから20分かからない距離に、より地元に根付いたホイリゲの集まるフェースラウやグンポルツキァヒェン、1時間~1時間半も走れば、辛口白の銘醸地ヴァッハウやカンプタール、エレガントな赤白ブルゴーニュ品種を産するライタベアク、貴腐の町ルストやイルミッツ…等々が存在することを、さりげなく話してあげましょうよ。
そして「第三の男」で名高いウィーンのプラーター遊園地の観覧車からは“ヌースベアク”が眺められること、そのプラーターに2年前、シュタイアレック出身者が素晴らしいレストラン“アイスフォーゲル”http://www.stadtgasthaus-eisvogel.at/englisch/geniessen.htmを開店し、観覧車の中でレストランのフルコース・ディナー&同国を代表するワインの数々が楽しめることも話してあげましょうよ!
「ベートーヴェンが第九を作曲した」観光客の溢れるホイリゲだけでなく、ローカルが好んで通う渋いカフェやバイズル、自家製ビアハウス、ザッハー、デメル以外のコンディトライの一軒も勧めて上げてください。

このブログも、時にはそうしたサービスを提供する日本のプロ達にとっても肩の凝らない情報源になるよう、お城に戻ったら、また日々様々な報告をして行こうと思っています。