2012年10月2日火曜日

ウィーン飲み食い事情 その1 モアケラー

水曜から土曜のお昼まで古い友人ソムリエG氏夫妻をウィーンに迎え、カンプタールとヴァッハウでいくつかのワイナリーにご案内しました。という訳で、ウィーン市内の一人ではあまり寄る気のしないレストランで食事をする機会を得ましたので、数回に分けて飲み食いとワイナリー訪問の様子をご報告します。

まずは3区にあるGmoakellerモアケラー。初日のランチで訪れました。
シュタットパークに程近い、3区Am Heumarkt 25にあるこの店は、1858年創業のヴィルツハウス(訳すならビストロ、かな?)。コンツェアトハウスのひとつ裏の通りで、窓際の席からは、アカデミーテアターが望めるロケーション。長くウィーンの文化人(特に舞台関係者や文学、音楽関係者)に愛されて来たようです。
実はG夫妻とウィーンのどこで食事をしようか、プリンセス非常に迷いました。元々お上りですからウィーンへはそう頻繁に行く訳でもなく、しかも一人で食事は美味しくありません。従って仕事上食事付の場合以外、なかなかじっくりレストランで食事をする、という気にもなれず、自分の舌で「ここがお勧め!」という店はまだ数少ないのです。

なので、オーストリアを代表するトップ・レストランは、やはりこの機会に試していただくとし、後は行ったことのない店、チェックしておきたい店をいくつかリストアップし、お城ワイナリーのミッヒ、エファ、ウィーン在住30年以上であるお爺ちゃんのペーター&お婆ちゃんのイルゼに相談してみました。
久しぶりに日本語でバカ話ができるのは嬉しい…
G夫妻の面が割れるけど、許してね:  )
実はその中で一番評判の悪かったのがこの店。特にミッヒは「あんなとこに連れてっても、何故連れて来られたか、外国人には良さが全然わからないよ。」と猛反対。
で、強く反対されるとどうしても行きたくなるのが天邪鬼プリンセスの真骨頂 : ) しかも「外国人にはわからない」とまで言われてしまっては、余計にどんなところか気になるではありませんか!
ルドルフ皇太子が愛人との逢引に利用したとか、ジョー・ザビヌルやファッティー・ジョージがセラーで演奏した、などなどのエピソードにも事欠きません。

さて、G夫妻とシュターツオーパー前でバッタリと出くわし、店へ。11時半なので、まだヒトは入っていません。Kärntenケアンテン料理と聞いていましたが、メニューはプリンセスの目には普通のウィーン料理。
至極真っ当な、奇を衒わないスタンダードなお味。決して安くなく、でも全く高くもなく…。ビールは軽くて進みます…おっと、2時間後には取材ですから、全部飲むのはまずいですねぇ…。こんなところでいいワインに出会うとは最初から期待もしていなかったのですが、出されたゲミシュターサッツは、軽くて、キリリとテンションがあって、塩辛い。正真正銘ウィーンの味! お店では銘柄すら尋ねませんでしたが、ウェブサイトにリンクのある、おそらくHajszanのもの。だとすれば畑WeissleitenはNussbergのすぐ近く! いや、これ美味しい!
しっかりテーブルクロスはかかっているし、白磁はおそらくアウガルテン。
Kürbis Öl =pumpkin seed oilのかかったカボチャスープも美味。
お昼になるとドンドン席が埋まって行きます。年長の男性はタイ着用も多く、結構身なりはちゃんとした人が多い。戸外はいかにもオフィスのランチ風情の男女で満席です。あ、ここを蘇らせた若いオーナーもかなりのイケメン
食事をしながらG夫妻と「ここって東京で言えば、浅草の大多福みたいなとこじゃない?」と話していました。屋外はともかく、伝統をとどめる室内は、やはり夜に訪ねてなんぼ(のはず)。伝統的建物+内装+テーブルセッティング+伝統的食事、そして何より常連客の文化的会話こそがご馳走。顔見知りの常連客や給仕と世話話をし、いつものお気に入りを食べ飲み、その全体的雰囲気に浸る、という店なのでしょう。

いや、よくわかりますよ、その魅力…。 我々にとっても十分快適でした!

Gmoakeller     Am Heumarkt 25
http://www.gmoakeller.at/gmoakeller/Das_Wiener_Wirtshaus_1.html