2011年10月8日土曜日

畑チェック密着取材 続編

106日(木)に行ったカーナーさんの“畑チェック”密着取材の続編です。お待たせしました!
チェックするブドウはほんの数粒。計器類は一切なし。舌が頼りです。
失礼ながらカーナ氏をイケメンと思ったことはありませんが、こうしてブドウをチェックする姿はとっても凛々しい!
まずガイスベアクGaisbergの麓にあるレンナーRennerにて。
レンナーのGVの状態はすこぶる良好。ただし味わいはまだちょっと固い。
ここはラムLammと並ぶグリューナーのトップヴィンヤードで、極薄い(30cm程度)表土の下は所謂ウルゲシュタイン、変成し風化した花崗岩。ラムの方が知名度は高いですが、カーナーさん一番お気に入りのグリューナーの畑はこのレンナー。ラムはその名の通りロームの表土がより厚く、しかもその下の岩が、石灰分を含む火成岩(注:原成岩=変成岩と言うヒトもいます)ということで、ラムの上にあるハイリゲンシュタインレンナーの上にあるガイスベアクのリースリングが、隣り合って並ぶ丘ながらかなり異なる味わいであるのと同じように、ラムとレンナーの持ち味もまたはっきり違います
だから4つの飲み比べはかなり面白いどう違うかは、ここに書くより実際に試していただきたいもの。でもまだ日本で普通に買えませんそう言えば09年の飲み比べを前回夏の帰国時に神楽坂のラリアンスでやりました。予定より早く訪れそうなプリンセス仮崩御:)の際には、酸の伸びと綺麗さでは他の追随を許さない2010年でやりたいと思っています。畑をグリューナーかリースリングの2つに絞っての、複数生産者の比較もいいですね。お楽しみに。

さて、カーナーさんが収穫期を見極めるためにここで行ったことは、至ってシンプル実を2つ3つ食べて、もう2つほど実を潰しただけ。屈折度計も何も使いません。で、収穫時期を尋ねるとあと14日前後、とキッパリ。
実をつまんで
味わいます。種も噛み砕いて味わっています。
その2週間の間にブドウはどう変化するのかというと、既に一日を通してかなり涼しく、朝晩は5度近くまで気温が落ちるので、酸はほぼ維持され、甘さは若干増し、何よりも果皮がもっと透明になるのだそうです。そうそう、シャルドネも日に透かして種が見えるくらいのものが、いかにもジャストポイントに成熟した豊かでかつ締まりのある風味でした。
皮がこんな風により透明になって…と説明した後、
同じ木から茶色に熟した種と青い種を即座に取り出し、試させてくれました。
「種も茶色に成熟するんでしょ?」と尋ねると、緑色の種と茶色い種を同じ木から取って潰した実からつまみ出し、「噛み砕いて食べ比べろ」との指示。ほう、同じ木からなのに、緑の種は口中がジーンとするくらい苦い茶色のはそれが苦味というよりある種のスパイシーな旨みに転じています。なので、種も一緒に発酵させる黒ブドウの場合は、種が茶色に熟すのを待つ必要がありますが、プレスして種は取り除かれてしまい果汁のみ使用する白の場合種の成熟を待つ間にフレッシュさを失うロスとの兼ね合いで(下線部分は私の補足)、緑の種が混ざっている状態で問題ない、とのこと。


次に上方のガイスベアクへリースリングはフント同様、貴腐果混じりが多いし、粒の数が多くて不揃いなのは、やはり品種の特徴だそう。
こういう状態の房は来週は収穫せず、木に残して貴腐ワインにします。
今年は量質ともに貴腐の出来がよさそうです。
ガイスベアク畑の下草は、ご覧のように雑草の列(後ろ側)と、
根がよく水を吸う側物の種を撒いた列(手前側)が交互に並び、両者を一年ごとに交代させます。
チェックの様子はレンナーと同様。健全果は来週中に収穫し、貴腐果は残すそう。その際どの房を貴腐果として残すのか、健全果として収穫する房の選果の厳しさはフントとどの程度違うのかこの目で確かめたいのですが、来週だと私は泊まりで学校なので不在…。クライマックスを見逃してしまうのか、プリンセス???(来週異常寒波が来ればいいのに…)


続いて向かったのはメルローの植わるザクセンベアクSachsenberg。ハイリゲンシュタインやガイスベアクのある北側と逆の、お城を挟んで南東にある完全なレス(黄土。黄砂と同じ。石灰分を多く含む非常に粒子の細かい砂)土壌の緩斜面の畑です。
やはりブドウを摘み取って食べた後、皮の状態をチェックしています。
黒ブドウはこのように種がしっかり熟していなければなりません。
ここでは「実をつまみ取ってみろ」の指令。まだ実離れが悪く、ちょっと力がいります。この実離れがメルローの収穫のポイント。味もちょっとエグい。これは10日後くらいの収穫になりそう。

ところでカーナーさん、ゴベルスブルクで働く前は、あの土博士にして私の土壌知識の師匠、プラーガーのトニ・ボーデンシュタインの下で働いていたそうです。ゴベルスブルクのワインとプラーガーでは、スタイルこそ全く違いますが、両者を貫くピュアで端正なミネラル感には、そんな背景もあったのですね。
因みに彼は01, 04, 08など、収穫の遅めの年が個人的に好みだとか。「でもワインライターはそういう年は嫌いだよね」と言うので「日本人は別。私は01年を飲んでオーストリアのファンになったし、09より10の方が好き。」と反論。けれどやはり09の出来は特別なようで09のラムは恐らくシュロス・ゴベルスブルクのこれまでの最高傑作」だと応酬されました。

あ、そうそう、グループ畑のシャルドネはどのワインに使われるか、という問題。必要に応じて少しずつ(もちろん法的に許される範囲で)様々なGVにブレンドされるそうです。この事実を知ったあなたはウルトラのつくシュロス・ゴベルスブルク・インサイダー:)です!