2011年10月21日金曜日

かくも残酷な真実

まずA畑の様子から。
山の西側を望む。

下方、ゴベルスブルクの村方向を望む。

東側、ガイスベアクを望む

畝越しに見下ろす下方の畑とランゲンロイスの町
次にB畑の様子をどうぞ。

ゴベルスブルクの町より数十メートル標高の高い台地状の畑

畑北西、レスの丘を望む

北方向。右側遠くに見えるのが我がお城。背後の山はハイリゲンシュタイン&ガイスベアク

信じられます? この違い!
しかも2つの畑の写真は同日の、15分と時間を空けずに撮影されたもの。
両方とも植えられているのはリースリングです。
もしあなたがどちらかの畑の傍らでピクニックをするとしたら、どちらで時間を過ごすでしょう? 
そして、どちらの畑から造られたワインが飲みたいと思いますか?

…。あなたのご想像通り、ブドウの出来も ;

A畑はこんな感じ
青い葉が多いところに注目。梗もまだリースリングらしい強さを保持しています。
付近でも珍しい石灰を含む砂岩やコングロマリット土壌が見えます。
対してB畑はこんな感じ
仮にいい貴腐に冒されていたにしても、木に残しておけないほど、
既に木が死んでいるというか、梗がかなり弱っでいます。
それでは正解は、…って別にクイズをしていた訳ではありませんが、
A畑は我がワイナリーの、いやカンプタール全体を代表する、というよりオーストリアの代表的リースリング銘醸畑のひとつに数えられるハイリゲンシュタインHeiligenstein
B畑はノインツェン・ヨッホNeunzehn Jochと名前こそついてはいるものの、カンプタールDACやジェネリック・ニーダーエスタライヒに使われるブドウを産する無名畑です。

そして肝心のブドウの味わいですが、両方から比較的よく熟した健全果を食べ比べてみると、同じ日のほぼ同時間の同品種か、と訝るほど両者の味わいは雲泥の差前者は甘くて酸っぱくて、風味が凝縮しており、味わいに立体感があります。後者は甘さが足りず、酸ばかり高く浮いており、風味も薄っぺらい

また、おそらく皆さんはエアステラーゲ(こちらの所謂グランクリュ)には手をかけて、無名畑はテキトーに栽培していると思っているでしょうが、実際はむしろ逆で、無名畑はトラブルが多く、普通のブドウを収穫するにも手がかかります。一方銘醸畑は病害が少なく、作業が楽な上、美味しい実をつけてくれるのですから、働くのが楽しいほど。

プリンセスがワインに興味を持ったのは、もちろん私が酒飲みで、ワインがその中でも美味しかった、ということもありますが、ここまで嵌ってしまった訳は、ワインというものが、時にドキっとするほど、世界の真実をまざまざと突き付けてくるからに違いありません。

そして、ここにお見せしたように、ワイン畑に民主主義は存在しません
気高いものはあくまでも気高く、凡人はどう背伸びしても一級品には成り得ないのです…。